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「ブレンダと呼ばれた少年」復刊問題

updated 2005/07/25

 (カッコ内の西暦、
赤字による間違いの指摘は引用者による。)


Who is David (Brenda) Reimer?

Wikipedia: David Reimer

Who was David Reimer (also, sadly, known as "John/Joan")? (Intersex Society of North America)

ジョン・コラピント著「ブレンダと呼ばれた少年」について (Intersex Initiative)

macska.org

Milton Diamond, Ph. D. (Hawaii University)


Book Reviews of "Brenda"
ブレンダと呼ばれた少年 (扶桑社版)
ブレンダと呼ばれた少年 (扶桑社版カヴァー)
著者  ジョン・コラピント
定価  1680円(税込み)
発行日 2005/05/23
ISBN  4-594-04958-3
判型 四六判

書籍紹介

性が歪められたとき何が起きたのか? 男らしさ、女らしさは操作できない…

性科学の権威ジョン・マネーの勧めで性転換手術を受けた男の子が、ブレンダという名前で女の子として育てられた。

しかしブレンダは「性別の自己認識は環境によって決まる」というマネーの理論を裏付けるためのモルモットとして利用されたに過ぎなかった。

そんな彼女を“悲劇”が待っていた。


Amazon.co.jp

「ブレンダと呼ばれた少年」(無名舎版)(Amazon.co.jp)

As Nature Made Him: The Boy Who Was Raised As a Girl (Amazon.co.jp)

X + Y = Z
By Natalie Angier
AS NATURE MADE HIM
The Boy Who Was Raised as a Girl.
By John Colapinto.
Illustrated. 279 pp. New York:
HarperCollins Publishers. $26. (New York Times Book Review 2000/02/20)


A sensitive account of a traumatic childhood
'As Nature Made Him: The Boy Who Was Raised as a Girl' By John Colapinto
(HarperCollins)
304 pages
By Josh Zelman (CNN Book Review 2000/03/30)

◆性を取り戻すための壮絶な戦いの記録◆ 評者・広岡 守穂(中央大学教授・政治思想)(読売 2000/12/10)

【書評】「ブレンダと呼ばれた少年」 ジョン・コラピント著、村井智之訳 (産経 2001/01/07朝刊読書面)

 男性、女性という性別は生まれる前から決まっているのだろうか、それとも環境によって男性、女性として自覚され、決定されていくのだろうか。

 一九六七年の米国で生後八カ月の双子の男の子の赤ちゃんの一人が包皮切除手術に失敗して、性科学の権威、ジョン・マネーの勧めで性転換手術を受け、女の子として育てられることになった。その名は「ブレンダ」。しかし、実態は、マネーの「性別の自己認識は環境によって決定される」という説を裏付けるための“実験”だったのだ。

 マネーは学会にこの説を発表し、一大センセーションを巻き起こすが、やがて「ブレンダ」の身の上に重大な問題が起こる。全米でベストセラーとなったノンフィクション。(ジョン・コラピント著、村井智之訳/無名舎・一八〇〇円)

[書評]ジョン・コラピント著 ブレンダと呼ばれた少年=小西聖子・評 (毎日 2000/11/12朝刊読書面)

 <無名舎/マクミランランゲージハウス・1800円>

 ◇性のアイデンティティの分化とは

 男と女、自分がそのどちらに属するか――ジェンダー・アイデンティティは多くの人にとっては自明のものである。けれどもすべての人にとってそうというわけではない。身体的な自分の性別が、自分の心の性と一致しないこともある。

 一九六五年、カナダのウィニペグの病院で一卵性双生児が生まれた。ブルースとブライアンは、普通の男の赤ん坊だったが、八カ月の時、母親は二人の包茎に気付く。包皮切除はありふれた手術だったはずなのに、ブルースは医師のミスでペニスを電気メスで焼かれて失ってしまう。両親はペニスをなくした赤ん坊の将来を案じ、米国ジョンス・ホプキンス病院の名高い性科学者ジョン=マネーに相談の手紙を書いた。

 マネーはペニスのない子どもを女の子として育てることを両親に強く勧めた。性転換手術が行われ、ブルースはブレンダと名前を変え、スカートをはかされた。そっくりの双子は姉と弟として育てられ、問題のない幸せな生活を送っていることがマネーによって学会に報告された。このマネーの「双子の症例」はジェンダー・アイデンティティが後天的に獲得されることのまたとない証拠とされ、一九九七年まで、世界中でこの驚異的な症例のことが語られてきたのである。

 一九九七年、二人の研究者ダイアモンドとシグムンドソンは『小児および青年期医学誌(「青年期」は本文では「成人」と誤訳されている。こんな基本的な言葉の誤訳はちょっと。読みやすくて面白い本なのに)』に論文を書いた。実はブレンダは女性のジェンダー・アイデンティティを結局受け入れず、十四歳の時に性を男に変えることを自ら決意し、デイヴィッドと自から名乗ったことが論文に報告された。これは衝撃的なニュースだった。それまでの三十年間、たくさんの、曖昧な性器を持つ子どもや、ペニスのない男の子どもが、性転換手術によって女性として育てられていたからである。

 これはすべて実話である。マネーとハワイ大学のダイアモンドの確執も本当のこと。ダイアモンドらの学術論文を基に、ジャーナリストのコラピントがデイヴィッドに取材してできたのがこの本である。全米ベストセラーとなったあとも、学問的論争は続いているようだ。

 ペニスを取って、もちろん睾丸(こうがん)も取って男性ホルモンが出ないようにして、女の子として育てて、さらに女性ホルモンを投与しても、デイヴィッドは自分が男だというアイデンティティを持った。でも、これは生まれた時の身体がすべてを決定するということではない。実際、遺伝子形は男性で、完全な女性形の身体を持って生まれ、女性として育てられ、それでもアイデンティティは男性という青年も本書のなかで紹介されている。

 脳や性の発生の生物学的研究によって「先天的」という言葉は解体されつつある。性のアイデンティティの形成には、胎児における脳の性の分化が重大な役割を担っているのだが、こういう「先天的」な問題にも、遺伝子だけでなく、ホルモンやその動態に関わる多数の要因が存在することがあきらかにされてきた。もちろん「後天的」な要因も存在するから、性のアイデンティティの分化とは実は非常に複雑で多様な結果をもつものなのである。ブレンダ→デイヴィッドの成長の写真を眺めつつ、男―女の単純図式を改めよう。(村井智之訳)

<ほん 新刊>(北海道新聞 2000/11/12朝刊)より

*ブレンダと呼ばれた少年*ジョン・コラピント著

 医療ミスで男性器を失った乳児は、性科学の分野で名高い医師の判断で性転換し、女児として育つ。この症例は、「性の自己認識は育つ環境で決まる」という医師の自説を証明する絶好の実験台となり、その「成功」は同種の手術の普及を進めた。その影に隠された悲惨な真実を、綿密な取材で三十年ぶりに明かす。村井智之訳。(無名舎 一八〇〇円)

NEW『男女共同参画』 法改廃狙い (東京 2005/07/25朝刊「こちら特報部」)

 女性も男性も性別にとらわれず、個性と能力を発揮できる社会を実現するための道筋を示した「男女共同参画基本計画」。その本年度の見直しで、自民党の関 連プロジェクトチーム(PT)が計画の柱であるジェンダー(社会、文化的な性別)という考え方の否定に乗り出した。狙いは計画の根幹にある「男女共同参画 社会基本法」の改廃だ。こうした保守派は、否定の根拠として、米国のある医療事件を挙げるが…。 (田原拓治)

 ことし四月の自民党「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査PT」(安倍晋三座長)の発足については、今月二日付「こちら特報部」で紹介した。

 その後、PTは「過激な性教育」批判から「男女共同参画社会のベースにジェンダー論があると、家族破壊、国家破壊になる」(五月のPT集会で、事務局長・山谷えり子参院議員)とし、ジェンダーという概念自体の否定に乗り出した。

 山谷氏は今月十四日の党内閣部会などとの合同会合でも「誤解を招くジェンダーという言葉を(本年度見直しの)改定基本計画で直してほしい」と訴えた。

 ジェンダーという言葉はなじみが薄いが、生物学的な性別を表す「セックス」に対し、人為的につくられた「社会、文化的な性別」を指す。例えば、「女性は補助職向き」「男性は仕事、女性は家庭」といった考えは、既成のジェンダーに根ざすとされてきた。

 人為的な産物なら改革は可能だ。実際、一九九九年施行の男女共同参画社会基本法ではこうしたジェンダーに基づく差別、偏見の排除を法の柱にすえてきた。

 一方、保守派はジェンダーは虚構だとし、性別にはセックスしかなく、「男は外で働き、女性は家事・育児」といった役割分担はセックスの差異に基づき歴史的につくられた伝統、文化で不変だと強調してきた。

■女性学も批判 教員ら反発

 山谷氏は「女性学やジェンダー学を大学で充実させるとの文言が(男女共同参画基本計画に)あるが、これも問題だ」とも述べ、ジェンダー学に携わる教員らの反発を招いている。

 では、ジェンダー論否定の根拠とは何か。

 同氏は「『ブレンダと呼ばれた少年』にあるようにジェンダー論は米国では間違っているとされている」と、同国で実際にあった事件を題材にしたノンフィクション作品を指摘した=メモ参照。

 翻訳本は五月、「新しい歴史教科書をつくる会」会長の八木秀次・高崎経済大学助教授の解説付きで、扶桑社から復刊された。

 八木氏は解説で、少年の悲劇を生んだ米国の性科学者ジョン・マネー氏が説く「性別の自己認識(性自認)は与えられた環境により決まる」との学説こそ、男女共同参画を推進した日本のジェンダー学者らが依拠したものと決めつけた。

 そのうえで「男らしさや女らしさは脳科学が証明するように生得的なもの(セックス)が基礎」で、環境が「らしさ」を左右するというジェンダー論は、マ ネー氏の「生体実験」の失敗で破たんしたと宣告。「マネーの学説に依拠している我が国の男女共同参画政策は大きな批判を受けることになるだろう」と山谷氏 の発言を“解説”している。

 では、日本のジェンダー論者は、マネー理論を支持しているのだろうか。

 明治学院大の加藤秀一教授(ジェンダー学)は「日本のジェンダー論では、性自認は生得、環境的な要素の複合体とみなすのが一般的認識。また、筋肉量一つ とっても、生得的な性差を否定するのではなく、それが女(男)らしさの押しつけにつなげられることを批判してきた。生まれたときは中性というマネー理論と の混同は曲解だ」と憤る。

 男女共同参画基本法の策定に携わった東京大学の大沢真理教授(社会政策)も「ジェンダーに着目することで、生得的な性差にも敏感になる」と反論する。

 ちなみに、翻訳本の解説で大沢氏らを名指しで批判した八木氏に対して、勤務先の高崎経済大と「つくる会」を通じ、取材を要望したが返答はなかった。

 一方、「ブレンダと呼ばれた少年」で「マネーの嘘(うそ)を暴いた」(八木氏)と保守派に評価されているのがハワイ大医学校解剖学・生殖学教授のミルト ン・ダイアモンド氏だ。だが、同氏は自著の「人間の性とは何か」では、性別が生物学的因子(脳)だけに由来するという説、「生まれたときは中性」というマ ネー理論の双方を否定している。

 本紙の取材に対し、同氏は「人間の性別は生物学的な資質と社会、文化的な力が働きあった混合体。個人において、その混合がどう現れてくるかは、だれも予想できない」と話した。

 保守派は、ジェンダー論が「性的秩序、性規範の否定」(PHP刊『新・国民の油断』で八木氏)を引き起こすと断ずるが、ダイアモンド氏は「(ジェンダー 論が登場する)ずっと以前から、日本では“将軍”の時代に女性になりたかった男性やその逆のケース、同性愛者もいたではないか」とそんな懸念を一蹴(いっ しゅう)した。

 さらに、同氏は「私は倫理的に個々人が他人を傷つけない限り、性的関係やジェンダーの表現について、各自の性向に委ねることが許されるべきだと考える。 他者に男らしさや女らしさを背負わせてはならないし、特定の道を強いてはならない」と強調。生き方を選ぶ権利を無視して、判断ができない乳児期に「特定の 道」を強いた点こそがマネー氏の誤りと指摘した。

 事件を告発した同氏は、男女共同参画の理念と同様に「男(女)らしさ」よりも「個」の優先を主張しており、保守派とは逆の「事件の教訓」を導いている。

 「ブレンダの悲劇」によってマネー理論は否定された。だが、山谷氏の解釈とは裏腹に、日本のジェンダー論、個人を尊重するという参画理念の正当性は逆に強まったとも映る。

 ただ、保守派はジェンダー論否定のもう一つの証左として、男性(あるいは女性)として育ちつつも、性別違和感を訴える「性同一性障害」を挙げる。胎児の脳への母体のホルモン分泌異常が「障害」の原因という推論があるからだ。

■生得か環境か二者択一誤り

 だが、数多くの当事者と接してきた精神科医、針間克己氏は「有力な推論だが、現実は複雑で、生得か、環境かという二者択一で原因は割りきれない」と語る。結局、保守派の矛先はどこに向いているのか。性の領域だけなのだろうか。

 「新・国民の油断」で八木氏との共著者である「つくる会」名誉会長の西尾幹二氏はこう記している。

 「集団就職が盛んだった時代、(就職先の社長らの勧めで、青年たちは)何も文句を言わないでどんどん家庭をつくって、うんと子供を産んで(略)日本は生 命力にあふれていました。個を無視しているからいけないとか、自己決定がどうとか、そういうくだらないことは誰も言わなかった」

 対照的に、ダイアモンド氏は「個」や「自己決定」を尊重する立場から、こう結論付けている。

 「ジェンダーや性的関係について、個人の選択や意見に介入する権利など、だれ一人持ってはならない」

<メモ>

 「ブレンダと呼ばれた少年」
 米国のジャーナリスト、ジョン・コラピント氏のノンフィクション。包皮切除手術に失敗し、男性器を損傷した乳児(デイ ヴィッド)が1967年、米国の性科学者ジョン・マネー氏の勧めで、女性ホルモンの投与を受けつつ、女児(ブレンダ)として育てられた。だが、「ブレン ダ」は男性としての自己を訴え続け、14歳で男性として性別再判定を受け、後に結婚する。この問題を追った性科学者、ミルトン・ダイアモンド氏はマネー氏 の「性別の自己認識は完全に環境により決まる」という説を批判し、新生児に性転換手術を施す危険性を警告した。

 政府の「ジェンダー」概念の扱い 内閣府男女共同参画局は、ジェンダーを「社会的、文化的に形成された性別」と規定、国際文書で正式に利用され、政府も 支援している概念としている。具体例として、男性から女性への家庭内暴力(DV)などは「女性は男性に従い、我慢すべき」というジェンダーによる思いこみ が背景にあると指摘し、そうした押しつけは見直されるべきとしている。

記者席:「ブレンダ」の悲劇に想う (朝日 2005/06/21夕刊・科学面)

 生後8カ月の男児が包茎手術の失敗でおちんちんを失った。両親から相談された性科学の権威J・マネー博士は、女の子として育てることを勧めた。年一度の面談や折々届く母親からの報告を元に、博士は「性役割は育て方で決まる」と発表する。
 
 思春期に入ったその子が深刻な心理的葛藤を抱えたことは、月刊誌「科学朝日」の編集部員だったとき知った。86年12月号に、ハワイ大で研究中の池上千寿子さんに最新情報を寄せてもらえたからだった。
 
 5月に出たノンフィクション「ブレンダと呼ばれた少年」(扶桑社)を読み、事の顛末(てんまつ)が詳しくわかった。15歳で男に戻った少年は、25歳で子持ちの女性と結婚した。そして昨年、38歳で自ら命を絶った。
 
 驚くべきは、マネー博士の自説への固執ぶりである。事実を見ようとせず、批判には耳を傾けない。
 
 もっと驚いたのは、最後の解説だ。この例を男女共同参画に見直しを迫るものと位置づけているのだ。
 
 マネー博士の説の間違いを指摘したハワイ大のM・ダイヤモンド教授に連絡をとった。「生まれつきか育て方か、一方ではなく、両方の相互作用が性を決めるのです」と教授は言う。そして「男とは、女とは、こうあるべきだといった自分の好みを他人に押し付ける権利は、何人といえども持っていない」と強調した。
 
 これこそ男女共同参画の理念ではないか。痛ましい悲劇から汲み取る教訓を間違えてはいけない。
 
 科学医療部次長 高橋真理子

関連書

Sexual Signatures: on Being a Man or a Woman
by John Money, Patricia Tucker
out of print


性の署名―問い直される男と女の意味
ジョン・マネー
(), パトリシア・タッカー (), 朝山 新一 (翻訳)


Love and Love Sickness : The Science of Sex, Gender Difference and Pair Bonding
by John William Money

ラブ・アンド・ラブシックネス―愛と性の病理学
ジョン・マネー
(), 朝山 春江 (翻訳), 朝山 耿吉 (翻訳)

all books by John William Money (Amazon.com) 


"Backlash" Articles

【書評】「ブレンダと呼ばれた少年」ジョン・コラピント著、村井智之訳 (産経 2005/06/19朝刊)

ジェンダーの根本とは何か

 今、日本の教育現場では男女の区別は差別のはじまりとされ、ジェンダーフリー(性差否定)運動がすすめられている。本書は、こうしたジェンダー学の理論的支えになった米国の性科学者の学説が、実は根拠のないものだったことを示す米国でベストセラーとなったノンフィクションである。一九六七年、男性性器が傷ついた生後八カ月の赤ちゃんが、性転換手術を受けて“ブレンダ”という女の子として育てられる。手術を促した医師は“女の子として問題なく育った”と論文を発表し、これが七〇年代の世界的なフェミニズム運動の理論的支えとなり、日本では虚構が明らかになった今もジェンダーフリー運動のよりどころともなっている。

 しかし、実際の“ブレンダ”は自分は男ではないかと葛藤(かっとう)し、両親はその苦しみように真実を打ちあけ、十四歳で再び性転換して「デイビッド」という男子に戻ったのである。本書は何時間にもわたる本人へのインタビューで構成されている。

 デイビッドは「まるで洗脳」「あんな拷問はない」と心に受けた傷を打ちあける。成長したデイビッドは結婚するが、二〇〇四年五月に自殺してしまう。男の子なのに無理やり女の子として育てられる苦しみと混乱の物語を読みながら、現在の日本の教育の場で“区別は差別”という奇妙な理論によって、男女混合騎馬戦や身体検査の強要の酷(ひど)さを思った。日本の子供たちは男らしさ女らしさを否定的に扱われ、人格形成を妨げられ、中性化させられていく不自然さを、乱暴な言葉や無気力で表現しているのではないだろうか。

 本書は、平成十二年に無名舎から出版されて絶版になったが昨今の“ジェンダー”をめぐる関心の高まりから復刊されたものである。国会議員の間でも話題になっている。現在三割ほどの大学などで女性学、ジェンダー学が必修化されているが、本書がそもそも“ジェンダー”とは何かを根本的にとらえ直すきっかけとなることを期待する。(扶桑社・一六八〇円)

 参議院議員 山谷えり子

ジェンダーフリーの虚構暴露 『ブレンダと呼ばれた少年』復刊 来月にも (産経 2005/04/11朝刊社会面)

 ■米ベストセラー

 ジェンダーフリー(性差否定)やフェミニズムの理論的支えで、「性別は後天的に決めることが可能」との学説を唱えてきた米国の性科学者の虚構性を暴露した米ジャーナリストによるノンフィクション「ブレンダと呼ばれた少年」が、扶桑社から復刊されることとなった。

 同書は米国で
平成九(1997)年(1)、「AS NATURE MADE HIM」の書名で出版。日本では平成十二(2000)年、無名舎から出版された。

 著者は同国のジャーナリスト、ジョン・コラピント氏。内容は生後八カ月に手術の失敗で男性性器の大半を喪失した双子の一人を性転換し、両親がブレンダと名づけ女の子として育てるという話。手術を両親に促した医師は「実際に女の子として順調に育っている」と論文などで大々的に発表、世界的に注目を集めた。

 しかし、内実のブレンダは男らしさの表出で周囲と軋轢(あつれき)を生んだ。学校では孤立して内面に深刻な傷を負った末、十四歳で再び性転換し「
ディビット(2)」に。同書は十四歳時のインタビュー(3)がもとになっており、科学者のモルモットとなったことを告発。人工的に「女の子」として育てられた男の子の苦悩を描き、同書は米国でベストセラーとなった。

 その後、ディビットは結婚するが
心の傷が癒やされず(4)、昨年五月に自殺。弟も今年、後を追うように自殺した(5)

 国内ではいったん出版された邦訳が絶版になったが、ネットなどで復刊を求める声が高まっていることを知った扶桑社が版権を取得。早ければ五月中にも出版される運びとなった。

 日本ではこの科学者の論文はいまだに「生物的性差の基盤の上に、心理的、社会的、文化的性差が築き上げられる考え方を否定し、人間にとって性別はセックスではなくジェンダーであると明瞭に示した」などと絶賛され、男らしさや女らしさを否定するジェンダーフリー運動の理論的なよりどころとなっている。


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当記事の問題点
(1)"As Nature Made Him"の出版は2000年2月。
(2)"David"は「デイヴィッド」ないし「デイビッド」(「ヴ」を使わない場合)と表記すべきであろう。
(3)コラピントがデイビッドにインタビューしたのは1997年、デイビッドは当時30歳を過ぎていた。
(4) デイビッドの母は「自殺する兆候はまったく感じられなかった」と語っており、また妻との別居や金銭問題を抱えていた。したがって、マネーの実験と自殺との因果関係は不明。
(5)双子の兄(弟)は2002年に自殺しており、今年(2005年)に「後を追って自殺」することはありえない。

袋小路のジェンダーフリー (世界日報 2005/03/30〜04/05)


『ブレンダと呼ばれた少年』ネット上で復刊望む声高まる 「復刊ドットコム」交渉開始を表明 (世界日報 2005/02/26)

(写真) ダイアモンド教授の医学論文が契機となったジョン・コラピント著『ブレンダと呼ばれた少年』
 フェミニストがジェンダーフリーのよりどころにしている米性科学者、ジョン・マネー氏の学説がウソであることを暴いた米ジャーナリストによる著書、『ブレンダと呼ばれた少年』(無名舎、原著『AS  NATURE  MADE  HIM』)が、復刊される可能性が出てきた。

 同書は、マネー氏が一九七二年に学会で発表した「双子の症例」(包皮切除手術で外性器を破損した双子の一人を性転換し両親に女の子として育てるよう説得、「実際に女の子としてうまく育っている」とした論文)が、完全に虚偽の報告だったことを究明。十四歳で、女の子から男の子に再認定された人物のインタビューをもとに書かれている。

 だが、原著は米国で九七年に出版され、ベストセラーになったにもかかわらず、日本で二〇〇〇年に出版された邦訳の方は翌年、なぜか絶版となっていた。

 しかし、わが国でのジェンダーフリー政策の弊害が目立ってくる中で、その理論的根拠にマネー学説があることが浮上。改めて、ジェンダーという言葉やジェンダーフリーの不気味さに対する懸念が強まっていた。

 本紙では、両者のつながりを連載(「ジェンダー論の系譜」昨年九月)で明示。さらに、同学説の誤りを究明したミルトン・ダイアモンド博士とのインタビュー記事も、今月十六日付で報道したばかり。

 一方、ジェンダーフリーの風潮の拡大を警戒する複数のインターネット上の掲示板では、急速に同書の復刊を求める声が高まってきていた。

 復刊を望む声をネット投票で受け付け、百票に達すれば、出版元に復刊交渉を開始する形を取ってきた「復刊ドットコム」には、連日のように復刊を望む投票が寄せられ、二十五日ついに百票を上回った。

 復刊ドットコムは、「これより復刊スタッフの方で順次出版社や著者に働き掛けを行う」と表明。すでに多数の復刊を実現した実績を持っているだけに、復刊への期待が膨らむ。

 現在、無名舎は解散しているが親会社の方は健在。ジェンダーフリーを警戒したり批判する視点からの雑誌報道や新刊書も相次いでおり、復刊に向け大きく世論が動きだしたと言えそうだ。

05年東京都議会文教委員会 (2005/02/18)

文教委員会の記録
平成17年2月18日 第2号
東京都議会文教委員会速記録第二号
平成十七年二月十八日(金曜日)

〇古賀(俊昭)委員 

(中略)

 今まで私、こういう議論でいろいろなことを紹介してまいりましたけれども、ジェンダーフリーの論拠となっているものの一つに、マネーという人がいるのです。アメリカの性科学者。この人は、男の子でも、女の子として育てれば女の子になるという実験をしたということで、非常に注目を集めた人です。日本でいえば昭和四十二年ごろに、男性性器の手術をやって、それに失敗をして、このマネーという科学者が、その男子を女の子として養育するように説得をして、それを実践したという一つの実験をやったわけです。

 これがジェンダーフリー論者にとっては好都合の理論だったわけですよ。男の子でも、女の子として育てていけば、男ではない、女の子になるのだということを実験して成功したという事例を科学者が発表したわけですから、これは社会的、文化的に形成された性別というものを、その概念をより強化するためにはもってこいの理論であったわけですけれども、実はこれは失敗したんですね、この実験は。

 それは余り知られていないのですけれども、その後、子どもさんは、十四歳でちゃんと男の子の名前で、男の子として認定をされて、結婚までしているのです。ところがそのことは余り議論されていない。いまだにこのマネー理論というのが幅をきかせているという実態があります。

 それからまた有名なのは、ミードという、これもアメリカの人類学者、この人がパプアニューギニアで調査を実施して、ある部族で男女の役割分担が逆転していると見えた内容を本にあらわして、これがまたフェミニストたちに大歓迎されて、性別による役割というのは、文化的、社会的な価値によって決定されるものだということになったのですけれども、肝心のこのミードという人は、後になってというか、そういうことが世界中に広まったものですから、自分は性差の存在を否定するような実例を見つけたなどとはどこにも書いていない、書いた覚えはないということで否定をしています。

 今までジェンダーフリー論者の人たちが盾にしてきた理論というのは、相次いで否定されてきているということを、ひとつわかってもらいたいわけです。

 先ほどのマネー氏の実験というのが、実際は書かれているような内容ではなかった。つまり、女の子として育てれば、男の子でも女の子になることはないのだということを証明した大学教授もいるわけです。それは、有名な、皆さんももうご存じだと思いますけれども、「ブレンダと呼ばれた少年」という本で出ています。だから、今、ジェンダーフリーの人たちも、こいのぼりは否定しないとか、ひな祭りは否定した覚えはないのだとか、一時女性財団がつくったジェンダーチェックというのにいろいろ掲げたようなことは、もう表向きはいわなくなっているのですけれども、こういう思想的な背景、根拠が崩れても、なおかつまだ先ほど申しましたように−−条例の制定時であるとか、学校現場ではこういう事例があるということを、ひとつ皆さんにも承知しておいてもらいたいと思うのです。

 いろいろいうことはあるのですが、例えば私、不思議に思うのは、男女の性差を認めないで、男女混合名簿でごちゃまぜがいいといっていながら、女性専用車両とか女性専用外来という−−一緒がいいという人は、こういうことには一切抗議、どなり込むかと思ったのですけれども、全く知らぬ顔、目をつむっておられる。

 オリンピックの例えば男女別の競技もあるし、シンクロナイズドスイミングを男性がやっても、もちろんそれはいいわけですけれども、何か一貫しないということは私は常々感じていますので、そのことも申し上げておきたいと思います。やはり男は男らしく、女は女らしくということで何も問題ないというふうに私は思います。

 この間、私はある商店街で買い物をしていました。おもちゃ屋さんで、小さい女の子が人形を抱いてあやしていましたよ。あれはやはり女の子だから、自然に赤ちゃんをあやすように、そういうそぶりができるというふうに思うのです。別に教えたわけでもない。男の子に人形を持たせてあやすということは、普通、小さい子の場合、ないと思うのです。

 だから、本性として備わったそういう男らしさ、女らしさというのはあるわけですので、それを何かごちゃまぜがいいという発想に対して、今回、学校現場の正常化を願って陳情が出されましたので、ぜひ採択されるよう、私の意見を申し上げて終わりにいたします。

(後略)

政府のジェンダー定義は誤り マネー理論崩したM・ダイアモンド博士(ハワイ大学)に聞く (世界日報 2005/02/16)

 「男の子でも女の子として育てれば女の子になる」と、“実例”をもとに学会で論文を発表した米性科学者ジョン・マネー氏の説を利用して、フェミニストは「社会的文化的に形成された性別」と定義される「ジェンダー」という概念を編み出した。内閣府は、その定義をホームページ(HP)に掲載し、ジェンダーフリーの政策を推し進める傾向にある。このほど、マネー氏の虚偽を暴き、その理論を破綻(はたん)に追い込んだハワイ大学のミルトン・ダイアモンド教授(解剖学・生殖生物学専攻)は本紙のインタビューに応じ、内閣府のジェンダー定義が誤りであることを明確に指摘した。
(山本 彰)

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ミード学説の引用は邪道

「平等理念」の抜本見直し不可避、「上野千鶴子氏は学問的でない」


Milton Diamond
ハワイ大学医学校解剖学生殖生物学部教授。
ジェンダーに関する多数の論文があり、
『人間の性とは何か』などの邦訳著書もある。
現在、インターセックスに関連する提言で世界的注目を浴びている。

 ダイアモンド教授は、まず「ジェンダーはセックスとは切り離せないもので、生物学的基盤の上に社会的に築かれたもの」との認識を示し、内閣府が「男女共同参画基本計画」(二〇〇〇年)でうたい込んだ「社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)」という見解の誤りを正した。

 同教授は、マネー氏が発表した論文「双子の症例」(注)に疑問を抱き、マネー氏との間で「男らしさ、女らしさは生まれつきの要因があるか、養育だけで決まるか」の論争が米国で展開される形となった。

 論争は、最終的に、マネー氏のウソを突き止めたダイアモンド教授が勝利。同教授はジェンダーに関する第一人者となった。

 それだけに、ダイアモンド教授が内閣府の掲げるジェンダー定義に異論を唱えたことは重大だ。わが国の男女共同参画行政を支えるジェンダー理念は、その根底が崩れたことを意味し、根本的見直しを迫られることになる。

 また、ダイアモンド教授は、内閣府がHPでジェンダーの理念を補強するため、米人類学者、マーガレット・ミード(一九〇一−七八年)の学説を掲げている点についても言及。「ミードの学説をジェンダーの説明に用いるのは、明らかに間違っている。多くの学者が彼女の学説を既に論駁(ろんばく)しており、今や彼女の学説に耳を傾ける人はいない」と指摘した。

 その上で、同教授は「内閣府が、本当に男女の機会の平等が与えられるべきだと考えるなら、ミードに言及する必要はない。人々を平等に扱うのは人道的な考えであり、誰の説も必要としない」と批判した。

 ミードは約七十年前、パプア・ニューギニアで調査を実施。ある部族で男女の役割分担が逆転していると見えた内容を本に著した。それがフェミニストにより「性別役割は文化、社会だけで決定される」との見解にまとめられ、今のジェンダーの定義の大本となっている。

 一方、ミード自身も「自分は性差の存在を否定するような実例を見つけたなどとは、どこにも書いた覚えはない」と述べている。

 ダイアモンド博士はまた、日本の代表的フェミニストで東大教授の上野千鶴子氏が、二〇〇二年に出版した『差異の政治学』で、依然としてマネー理論が有効であるように記述し、ジェンダーがセックスとは無関係であることを力説している点に関しても「彼女は全く学問的ではない。自分の主義主張を宣伝するために何でも利用しようとしている。正直ではない」と憤りをあらわにした。

 さらに、マネー理論が破綻してからは、「マネーを利用していた米国のフェミニストは現実的になり、…すべての人が同じだ、などとは言わなくなった」と説明。

 日本が、いまだに間違った学説に基づき、男女の性差を否定するジェンダーフリー政策を推し進める中で、米国は、もはやそうした理念に依拠した男女平等政策とは決別しつつあることを示唆した。

 ダイアモンド教授の指摘は、政府が誤った理念にのっとり、男女共同参画行政を推し進めていることを浮き彫りにした。古い廃れた学説を利用するフェミニストの影響を排除し、同教授のジェンダー定義を踏まえた、バランスの取れた政策に切り替えることが求められる。


(注)「双子の症例」

 一九六七年、カナダ生まれの一卵性双生児(男児)の一人が包皮切除手術の失敗により、男性器の大半を損傷。このため、ジョンズ・ホプキンス大学教授のマネー氏が両親に、その男児を女の子として養育するよう説得。マネー氏は七二年、その実験がうまくいっているかのように論文「双子の症例」で発表して、全米にセンセーションを巻き起こした。

 だが、実際には、その実験は失敗。その子は十四歳で、デイヴィッドという名で男の子に再認定され、後には結婚もしていた。

 九七年、この事実をダイアモンド教授は突き止め、それを医学論文に発表。同年、この内容はジャーナリストにより著書にまとめ上げられて全米が注目、マネー理論は完全に破綻した。

 同書の邦訳『ブレンダと呼ばれた少年』も、二〇〇〇年に日本で刊行されている。

 不幸にも、デイヴィッド氏は昨年五月、幼少期のトラウマを苦に自殺。その二年前には、精神病を患っていた弟も不審死している。


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用語の混乱狙うフェミニスト
男・女らしさは普遍的なもの

 ミルトン・ダイアモンド博士との一問一答は次の通り。

 ――ジョン・マネー氏の論文が、フェミニストのジェンダー定義に影響を与えているが、ジェンダーとセックス(生物学的性別)との違いをどう考えるか。

 ジェンダーというのは、生物学的基盤の上に社会的に築かれたものである。その組み合わせがどう現れるかは、個々人によって独特である。それらの振る舞いが、単に環境や養育によって決定されるというほど単純なものではない。マネーのアイデアは、単純に割り切りすぎていて、しばしば性的な発展をミスリードしている。

 ――ところが、日本の代表的フェミニスト、上野千鶴子東大教授は、著書「差異の政治学」の中で、マネーはセックスがジェンダーを決定するという生物学的還元説を否定し、人間にとって性別とはセックスではなく、ジェンダーであることを明瞭に示した、などと書き、マネー理論が失敗だったことを隠している。

 マネーがなぜ間違ったかは、単純な話である。彼は、単にウソをついていただけだ。その本は、いつ刊行されたのか。

 ――二〇〇二年だ。

 彼女は、全く学問的ではない。それがウソであることを明示した私の研究論文を知らないでいる。私は、その論文を一九九七年に書いた。その本を〇二年に出したなら、五年間もの違いがある。全く、何の言い訳も成り立たない。

 ――国立女性教育会館の研究成果をまとめた「女性学教育/学習ハンドブック(新版)」(〇三年)も、「マネーはその著『性の署名』の中で、長い間女の子として育てられた子どもは、たとえ解剖学的に男の子であっても女の子としての性自認(ジェンダー・アイデンティティ)の方が解剖学的な性よりも強力である事例を報告している」などと書いている。

 「性の署名」は、マネーが七六年に出した本であるが、これも彼がウソを言っていたことが分かっている。

 ――昨年二月に日米中韓高校生意識調査が公表され、日本だけ「男は男らしく、女は女らしくすべきだ」について、他の三カ国に比べて極端に肯定的評価の割合が低かった。これについて、内閣府男女共同参画局の担当者は「素直に喜びたい」と述べている。

 その担当者がなぜ、そういう答えをしたのか理解できない。日本、米国をはじめどこでも「男らしさ、女らしさ」という概念があり、これは普遍的なものだ。

 ――内閣府は、米人類学者、マーガレット・ミードの学説をHPに掲載している。彼女は七十年も前、パプア・ニューギニアに「男女の性別役割が逆転した社会がある」と唱え、これがマネー理論と共に、ジェンダーは「社会的文化的に形成された性別」とフェミニストが主張する根拠となってきた。

 ミードの学説をジェンダーの説明に用いるのは、明らかに間違っている。彼女は米国人をミスリードした。多くの学者が彼女の学説を既に論駁(ろんばく)しており、今や、彼女の学説に耳を傾ける人はいない。

 ――内閣府はHPからミードの学説を取り去るべきだと考えるか。

 もし私が内閣府のアドバイザーなら、「本当に男女に機会の平等が与えられるべきだと考えるなら、マーガレット・ミードに言及する必要はない。人々を平等に扱うのは、人道的な考えであり、誰の説も必要としない」と言うだろう。

 ――男女共同参画局が、ミードを引用しているのは、ジェンダーという言葉が生物学的性別と無関係だということを言うためではないか。

 ジェンダーとセックスを切り離すことはできない。男らしさ、女らしさを除去しようとしても不可能だ。力仕事のために人を雇うとき、恐らく男性の方が向いているし、保育のために人を雇うとき、多分、女性の方がうまくやる。だからといって、力仕事をしたいと欲する女性や、保育をやりたがる男性を門前払いすべきではない。

 恐らく、日本のフェミニストは、ジェンダーという言葉を男女という生物学的意味にも「男らしさ、女らしさ」という社会的意味にも用いようとしている。それが彼らの利益になるからだ。そのために混乱が生じている。

 ――そうした用語の混乱があり、政府もジェンダーに間違った定義をしているため、「男らしさ、女らしさ」を否定するジェンダーフリーが男女共同参画社会基本法に入り込み、行政が男女の意識改革を迫るような政策を推進している。

 行政は、それを強く推進することはできないだろう。なぜなら、社会がそれに反発するからだ。だから、どの程度、それを推進するかは社会が決めているのだ。

 個々人は、すべてが同じになるよう強制されるのを望むとは思わない。人々は、個人に応じた扱いを欲している。カテゴリー的に女性または男性として、というのは意味がない。なぜなら、ある女性は他の女性とは違うし、ある男性も他の男性とは違うからだ。

 ――男女共同参画社会基本法は「女性の政策等への立案・決定への参画、家庭生活の活動と他の活動との両立」などを強調し、ある意味で、あらゆる女性をそういう方向に駆り立てようとカテゴリー的に扱っている、といえる。

 それこそが、的を射た批判である。男性も女性も、やりたい仕事への申し出を可能にすべきであり、採用も性別によるのではなく、個々人の能力に応じて決められるべきである。ただ、日本も米国でもより多くの女性が、男性よりも家庭に止まって育児をしたいと思うに違いない。その場合、誰もそれをさげすんだりしてはいけない。

 ――昨年五月、少女ブレンダとしてマネー教授の実験台にされてきたデイヴィッド・レーマー氏が自殺したが。

 自殺の主な原因は、彼が小さいころ女の子として育てられてきたためだ。自殺の報を聞いたとき、私は泣いた。まさにこれは悲劇以外の何ものでもない。

 ――米国では、マネー理論の間違いが公に指摘されてから、フェミニストの考え方はどう変わったのか。

 フェミニストは、マネーの理論を利用してきた。ただ、米国のフェミニストは、マネーの実験の失敗について語るようになり、もっと現実的になった。「すべての人が同じだ」などとは言わなくなった。

 (これに比べて)上野千鶴子氏は、自分の主義主張を宣伝するために、利用できることは何でも利用しようとしている。正直ではない。

ある性医学者が行った恐るべき実験 嘘から始まったジェンダーフリー――『ブレンダと呼ばれた少年』が物語る“性差”の真実
高崎経済大学助教授 八木秀次 (産経新聞社発行・扶桑社発売「正論」2005年2月号)

編集者へ・編集者から (「正論」2005年3月号)

迷走する「男女共同参画社会」(32)第四部 ジェンダー論の系譜 2 「ブレンダ」失敗で理論破綻 女性学、いまだにマネーが有力根拠 (世界日報 2004/09/15)

迷走する「男女共同参画社会」(31)第四部 ジェンダー論の系譜 1 狂気のマネーの性転換手術 (世界日報 2004/09/14)


News Articles

David Reimer, 38, Subject of the John/Joan Case, Dies
By THE ASSOCIATED PRESS (New York Times 2004/05/12)

WINNIPEG, Manitoba, May 11 - David Reimer, a man who was born a boy but raised as a girl in a famous medical experiment, only to reassert his male identity in the last 20 years of his life, died on May 4. He was 38. His family says he committed suicide.

Mr. Reimer shared his story about his life in the pages of a book and on Oprah Winfrey's television show.

His mother, Janet Reimer, said she believed that her son would still be alive had it not been for the devastating experiment, which led to much emotional hardship.

"He managed to have so much courage," she said Sunday. "I think he felt he had no options. It just kept building up and building up."

After a botched circumcision operation when he was a toddler, David Reimer became the subject of a study that became known as the John/Joan case in the 60's and 70's. His mother said she was still angry with the Baltimore doctor who persuaded her and her husband, Ron, to give female hormones to their son and raise him as a daughter.

As he grew up as Brenda in Winnipeg, he faced cruelty from the other children. "They wouldn't let him use the boys' washroom or the girls'," Ms. Reimer recalled. "He had to go in the back alley."

His sexual reassignment was then widely reported as a success and proof that children are not by nature feminine or masculine but through nurture are socialized to become girls or boys. David's identical twin brother, Brian, offered researchers a matched control subject.

But when, as a teenager, he discovered the truth about his past , he resumed his male identity, eventually marrying and becoming a stepfather to three children.

In 2000, John Colapinto wrote "As Nature Made Him: The Boy Who Was Raised as a Girl," providing David an opportunity to tell his story. He wanted to save other children from a similar fate, his mother said.

While he had spoken anonymously in the past, he entered the public eye after the book was published, beginning with an appearance on "Oprah" in February 2000.

His mother said he had recently become depressed after losing his job and separating from his wife. He was also still grieving over the death of his twin brother two years earlier, she said.

Laugh fondest memory
Losing wife, job, brother led to depression
By Katie Chalmers (Winnipeg Sun 2004/05/16)


Reimer helped expose gender theory as a 'lie'
By Katie Chalmers (Winnipeg Sun 2004/05/16)


A life of struggle
Guilt haunts parents of boy raised as girl
By KATIE CHALMERS, STAFF REPORTER (Winnipeg Sun 2004/05/16)


NZ psychologist silent on former patient
By AINSLEY THOMSON (New Zealand Herald 2004/05/13)


Suicide of man raised as a girl (AFP 2004/05/13)

Being Brenda
They were meant to show that gender was determined by nurture, not nature - one identical twin raised as a boy and the other brought up as a girl after a botched circumcision. But two years ago Brian Reimer killed himself, and last week David - formerly Brenda - took his life too. Oliver Burkeman and Gary Younge unravel the tragic story of Dr Money's sex experiment (The Guardian 2004/05/12)


Boy raised as a girl suffered final indignity
By GRAEME SMITH (Globe and Mail 2004/05/11)


Sex, lies and a quest for identity
The boy raised as a girl suffered for social experiment
David Reimer's life says much about forces shaping us
DEBRA BLACK STAFF REPORTER (Toronto Star 2004/05/11)


Man raised as girl commits suicide
by Patrick Letellier (PlanetOut 2004/05/11)


Sad end to boy/girl life
Subject of gender experiment
By KATIE CHALMERS, STAFF REPORTER (Winnipeg Sun 2004/05/10)


INDEPTH: DAVID REIMER
David Reimer
The boy who lived as a girl (CBC News Online 2004/05/10)


Man raised as girl dies (CBC Winnipeg 2004/05/07)


Remembering David Reimer
All Things Considered
NPR's Melissa Block talks with John Colapinto, author of As Nature Made Him: The Boy Who Was Raised as a Girl, about David Reimer, who killed himself at the age of 38 years on May 4. Reimer had become a focus in the "nature vs. nurture" debate after he was raised as a girl, along with his identical twin brother. But, Reimer later in life decided to live as a boy. He decided to go public after the publishing of the book in an effort to reverse the findings of the study. (National Public Radio 2004/05/12)

Gender Gap
What were the real reasons behind David Reimer's suicide?
By John Colapinto (Slate 2004/06/03)


Horizon: The Boy who was Turned into a Girl (BBC2 2000/12/07 9.00pm)

Why This Boy Was Raised As A Girl
David Reimer's Story (Oprah Winfrey Show 2000/02/09)


The True Story of JOHN / JOAN By John Colapinto (The Rolling Stone, December 11, 1997. Pages 54-97) (size 135kByte)
As Nature Made Himのもとになった「ローリング・ストーン」誌の記事

Sexual Identity Not Pliable After All, Report Says
By Natalie Angier (The New York Times, March 14, 1997)

著者John Colapintoが当事者への取材をするきっかけになった、ニューヨークタイムズの記事


A Proposed Bill to Ban Male Circumcision:
The Clash of Gender, Religion, and the Protection of Children
By SHERRY F. COLB (FindLaw's Writ 2005/04/06)


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「ブレンダと呼ばれた少年」復刊問題 - TransNews