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朝日2002/10/09夕刊
(斜字・ハイパーリンクは引用者)
uploaded 2002/10/10
最高裁の大法廷は、司法の権威を強調するような重厚な造りだ。約570平方メートルの広大な法廷の天井は、高さ約23メートルもある吹き抜け。御影石の壁に西陣織のタペストリーがかかり、大聖堂を思わせる荘重な雰囲気がただよう。
だが、総じて司法は憲法判断を回避する傾向が強く、この立派な法廷が使われるのはせいぜい年に数回だ。
大阪弁護士会の上野勝さんは、数少ない法廷で2度、憲法訴訟の弁論をした。最初は3年前(1999年3月24日)。逮捕された容疑者と弁護人の面会制限を捜査機関に認めた刑事訴訟法の規定をめぐる訴訟だった。弁護人依頼権を保障した憲法に違反すると訴えて敗れた。
「15人の裁判官の全員一致の合憲判決。1人の反対意見も出ず、ショックでした」
「リベンジ」の機会は意外な形でやってきた。不動産会社の代理人として、経理に穴を開けた元従業員の預金を差し押さえた。だが、郵便局の手違いで裁判所の書類が銀行へ届くのが遅れ、預金を引き出された。
郵便法の規定では、郵便の遅れによる損害の賠償を国に求めることはできない。「国家賠償請求権を認めた憲法に違反する法律だ」。一、二審は簡単に敗訴したが、最高裁で前回とは逆に全員一致の違憲判決を勝ち取った(2002年9月11日)。
上野さんは「遠慮せずに違憲審査権を行使しなさい、という下級審へのメッセージを感じた」と話す。憲法訴訟が活性化すれば、また大法廷に立つ日も、遠くないのかも知れない。
<井手雅春>