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福岡県八女市
updated 2004/06/10 (強調・赤字・ハイパーリンクは引用者による)
八女市男女平等のまちづくり条例 (2004/03/22市議会本会議で可決、成立・2004/04/01施行)
第7条第4項
すべての人が、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる場において、性同一性障害を理由とする差別をしてはならない。
八女市男女平等のまちづくり条例(案)(議会に提出された修正前のもの・報道による)
第7条第4項
すべての人が、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる場において、性同一性障害その他性に関する事項を理由とする差別をしてはならない。
八女市男女平等のまちづくり条例(案)
(答申による全文・27KB)
(性別による差別の禁止等)
第7条 すべての人が、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる場において、性別による差別的な取扱いをしてはならない。
2 すべての人が、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる場において、相手の意思に反し、性的な言動により相手に不快感や不利益を与え、又はその生活環境を害することをしてはならない。
3 すべての人が、家庭、地域等において、法律上の婚姻の有無を問わず、配偶者や恋人等親密な関係にある者に対して身体的、精神的、経済的、性的な苦痛を与える暴力行為をしてはならない。
4 すべての人が、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる場において、性同一性障害又は性的指向を理由とする差別をしてはならない。
5 すべての人が、公衆に表示する情報において、性別によって慣習的に固定された役割分担及び女性に対する暴力等を助長する表現、並びに過度の性的な表現を行わないように努めなければならない。
「男女共同参画推進条例制定」についての答申がされました。
市長より諮問されていた、男女共同参画推進条例制定について、平成16年1月7日八女市男女共同参画推進審議会の樋口会長より答申が行われました。答申の内容は次のとおりです。
答申
当審議会は、平成15年6月4日に市長から「男女共同参画推進条例制定について」の諮問を受け、以来、審議会と条例検討部会を併せ計14回にわたる会議を開き、さらには、意見聴取会及び条例案説明会を開催して、広く市民の意見も聴きながら審議を重ねました。その結果、別紙のとおり「八女市男女平等まちづくり条例(案)」を作成しました。
よって、この「八女市男女平等まちづくり条例(案)」をもって答申します。なお、答申の経緯及び条例(案)の趣旨につきましては下記のとおりです。
市長におかれては、この答申を最大限に尊重され、条例を制定されるよう要望します。
記
1.審議の経緯
当審議会が市長から受けた諮問の趣旨は、「男女がお互いに、その人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の形成に関し、必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することを目的として、条例制定についての諮問をいたします。」とありました。
これを受けて、内容論議の前に、条例の必要性や条例に盛り込むべき基本的な事項を理解するため2回の学習会を行い、さらには、男女共同参画に対する市民の声を把握するため意見聴取会を開催し、多数の意見を聴取した上で検討に入りました。
はじめに、条例に盛り込むべき骨子をもって答申するか、又は条文化したうえで答申するかを審議会で検討した結果、条文化したうえで答申を行うよう決定しました。しかし、条文作成という緻密な作業を行うため、7人の委員による条例検討部会を設け、7回にわたり詳細な議論を重ねて条例(案)の素案を作成し、審議会で2回の検討を行い原案を作成しました。
その後、この原案について市民の声を聴くため、当審議会主催で条例(案)説明会を開催しました。その中で出された数多くの意見については、条例検討部会で検討をした後、審議会で議論して、この案を策定するに至ったのです。
2.条例(案)についての基本的な考え方
(1)策定の理由
当審議会では、男女平等社会の実現を「21世紀における八女市の重要課題」として位置付けたうえで、次の4つの理由で条例が必要であると判断しました。
第1には、「男女共同参画社会基本法」(以下「基本法」という。)第9条により、地方公共団体が、基本法に掲げる「基本理念」にのっとり、男女共同参画社会の形成について、国の施策に準じた施策又はその区域の特性に応じた施策を実施する「責務」が定められたからです。
第2には、この条例の制定は、「地方分権の時代」における八女市の姿勢を示すことであると考えたからです。
第3には、いまなお根強く残されている性別による固定的な役割分担及び性別による差別を解消し、「男女平等」を実現することが、「人権の尊重」として急がれているからです。
第4には、少子高齢化や核家族化、女性の社会進出、あるいは女性のライフスタイルの変化など、急激な社会情勢の変化に対応する社会の新たな枠組みを図ることが必要になってきているからです。
(2)策定に当っての留意事項
条例(案)の策定にあたって基本的に留意したことは、次のとおりです。
@男女共同参画に関する条例というと、「女性だけの権利擁護や拡大を図るものだ」と誤解される向きがありますが、そのようなことがないよう、この条例案では、当然のことながら、「すべての男女」の問題であることを基調にしています。
A専門用語による言い回しや外来語による表記をできるだけ避け、分かりやすく平易なことばで表すように努めました。
3.条例(案)の趣旨と特色
(1)名称
この条例(案)の名称は、「八女市男女平等のまちづくり条例」としました。
その理由は、「男女平等社会」は達成すべき目標であり、「男女共同参画」はそれに至るプロセスであると認識したからです。つまり、あらゆる分野において「男女共同参画」を推進していくことによって、「男女平等」が実現されるということです。そして、八女市のあるべき姿を想い、「男女平等」の実現は、いま八女市が進めている「魅力あるまちづくり」そのものであると考えたからです。
(2)前文
この条例(案)には、前文をつけました。この前文を読めば、市民は誰でも、この条例を制定した目的や市の決意を汲み取ることができるようにするためです。
(3)総則
第2条では、「定義」を定めましたが、特に「市民」については、この条例の意義を考慮して「市内居住者」のみならず、「市内の事業所や学校等に通勤又は通学する者」まで拡大しました。
第3条の「基本理念」は、この条例(案)のめざす方向を示したものです。
さらに,他の地方公共団体の条例では、男女平等社会の形成に関して行政や市民、事業者がなすべきことを、共に「責務」として括っていることが多いのに対し、この条例(案)では、市については「責務」(第4条)とし、市民(第5条)と事業者(第6条)は「役割」と明確に区別をしました。「行政責任」と市民や事業者の「役割」は自ずからレベルが違うものであることを強調したいためです。
第7条の「性別による差別の禁止等」の規定では、その発生の実態を考慮して共に法律の範囲を超えて拡大しました。「性的嫌がらせ(セクシュアル・ハラスメント)の禁止」(第2号)については、対象となる場所を「職場」だけでなく「学校」や「地域」まで、「配偶者による暴力(ドメスティック・バイオレンス)の禁止」(第3号)については、対象を「恋人」までそれぞれ広げました。さらに、「性同一性障害や性的指向を理由とする差別の禁止」(第4号)を採り入れたのは、このような理由で、いわれなき差別を受けるようなことは許されないからです。また、「公衆に表示する情報の規制」(第5号)については、男女平等を推進するためには、その理念を尊重したうえでの情報の提供が必要であるとして採り入れました。
(4)基本的施策
この章は、市が取り組むべき基本的施策を列記したものであり、市の施策の根拠となるものです。中でも、「男女平等の実現に関する行動計画」(第8条)は、策定の義務づけとともに、同行動計画が市民の立場に立つようにと、その策定に当たって「審議会の意見と聴取」と、「市民への公表」等を義務付けました。
さらに特筆したいことは、当八女市の地域特性に基づいて、農業や伝統工芸産業を当市の基幹産業であると位置付けしたうえで、「農業における女性への支援」(第14条)と、「自営業における女性への支援」(第15条)を義務付けたことです。
(5)苦情等の処理
第3章の苦情等の処理は、行政の施策に対する苦情の処理と、性別による差別的取り扱い等による人権侵害の救済を市に義務付ける規定です。この条例を実効性あるものにするための最も重要な条項であるところから、ぜひとも尊重されるよう要望するものです。
この章では、苦情等の処理について、行政施策に対する「苦情の申し出」(第19条)と、性別による差別的取り扱いや、その他の要因による差別によって人権が侵害されたときの「救済の申し出」(第20条)の2つをあげています。この2つの機能を行う機関は、本来は市民にとってわかりやすく、両者の統一的処理が望ましいところから、既に発足している「総合オンブズパーソン」に一元化したらという意見もありました。しかし、この「総合オンブズパーソン」は、行政施策に対する苦情処理については対応できるものの、個人や事業所等による人権侵害の救済には対応できないので、二元化方式をとり、新たに人権救済の専門機関としてオンブズパーソンの性格を持つ「男女平等支援委員」制度の設置を盛り込みました。
(6)付則
最後に、付則で、「3年後の見直し」規定を設けました。その理由は、試行錯誤のための単なる見直しではなく、この条例(案)の制定が、「人権」や「男女平等」という新しく大きな理念に基づく試みであり、時代の流れにそって刷新していくべきものであると考えたからです。
八女市男女共同参画行動計画〜男女が共に参画するまちづくり〜
わが国の憲法には個人の尊重、法の下の平等がうたわれており、男女平等の実現に向け、いろいろな施策が取り組まれてきました。しかし、大事な意思決定の場に女性が加われなかったり、男女間の不平等を感じたりすることもまだまだ多いようです。また、少子高齢化など私たちの生活をとりまく状況が変化していく中で、「男は仕事、女は家庭」といったような性別による固定的な役割分担にとらわれずに、職場で、学校で、地域で、家庭で、それぞれの個性と能力を発揮できるような社会づくりが必要となってきます。
●八女市の取り組み
1996年 女性行政の総合的な窓口設置
1998年 「八女市女性問題懇話会」発足
1999年 「男女共生の社会づくりをめざす市民意識調査」実施
2000年 「八女市男女共同参画計画(仮称)」策定委員会を設置
●現在の状況
平成12年7月31日、八女市女性問題懇話会から市長へ提言書が提出されました。男女が共に支えあい心豊かな社会をめざすため、この提言を踏まえた行動計画の策定を進めています。
■問い合わせ■
企画財政課
電話:0943−23-1346
福岡 男女共同参画のまちづくり条例 八女市が施行 (熊本日日新聞 2004/05/03)
福岡県八女市が、市男女共同参画のまちづくり条例を施行した。性同一性障害を理由とした差別も禁止条項に盛り込んだ。
市は当初、同条例案に「性同一性障害その他性に関する事項を理由とする差別をしてはならない」として、同性愛への差別禁止の趣旨も織り込んで提案。しかし市議会が「小児愛など犯罪につながる内容も容認することになる」と反対したため、市は「その他性に関する事項」を削除し再提案、可決された。
同条例は、学校や職場での性差別、セクシャルハラスメント、ドメスティックバイオレンスなども禁止している。
性同一性障害の差別禁止条例 八女市議会が可決 (西日本新聞 2004/03/22)
福岡県八女市議会は二十二日、性同一性障害者への差別禁止を盛り込んだ「男女共同参画のまちづくり条例」案を本会議で賛成多数で可決した。「性同一性障害を理由とする差別をしてはならない」と記しており、同様の条例制定は全国で四番目、九州では宮崎県都城市に次いで二番目。
同性愛などの「性的指向」に対する差別禁止を想定して原案に盛り込まれていた「その他性に関する事項を理由とする差別をしてはならない」との文言は削除した。
原案は、市長の諮問機関「市男女共同参画推進審議会」が今年一月に答申。答申は「その他性に関する事項」の部分を「性的指向」と表現していたが、「同性愛を示唆する」との意見があり提案時に修正。さらに審議が付託された総務文教委員会では「その他性に関する事項」の部分に対し、「痴漢まで含むような拡大解釈がされる」「教育界に性の氾濫(はんらん)を招く」などと反発が続出。このため本会議での委員長報告は「誤解を招く文言は削除すべきだ」と修正を求めた。
本会議では「伝統や文化ではぐくまれた男女の役割分担を条例で縛るのはおかしい」などの指摘もあったが「その他性に関する事項」を削除した修正案を賛成十、反対九で可決した。
傍聴した審議会の高橋安男委員は「同性愛などへの偏見解消を求めた文言削除は残念だが、男女差別などをなくす条例の制定は前進」と話した。
八女市で性同一性障害条項含む条例可決 (産経 2004/03/23)
福岡県八女市議会は二十二日、性同一性障害者への差別禁止を盛り込んだ男女共同参画条例を賛成一〇、反対九の小差で可決した。
「性同一性障害」の文言を含む条例が成立したのは、全国で三例目。宮崎県都城市では同性愛を含む「性的指向」による差別を禁止する条例が成立している。
八女市議会、原案を2度修正し可決 男女共同参画条例案 (朝日・西部版 2004/03/22夕刊)
差別禁止の対象が原案の「性的指向」から「性に関する事項」と一般的表現に修正された福岡県八女市の男女共同参画条例案について、同市議会は22日、「性に関する事項」の部分を削除した、議会委員会による修正案を賛成多数で可決した。
市が作成した原案には、「性同一性障害または性的指向を理由とする差別をしてはならない」と明記されていたが、市や議会に「同性愛を後押しすることになる」などの批判が相次いだ。市は「性同一性障害その他性に関する事項を理由とする…」と修正したが、議会の反対論が収まらず、結局、総務文教委員会が「性同一性障害を理由とする…」だけ残した修正案の提案を決めた。
同性愛者への支援活動をしている作家の伊藤悟さんは、「最低でも解釈上で同性愛・両性愛者を救済する余地を残しておくべきだった。人権侵害が起きている現実は勉強すればすぐに分かることだ」と話している。
同性愛差別禁止は削除 (共同 2004/03/22)
福岡県八女市議会は二十二日、「男女共同参画のまちづくり条例」案を賛成多数で可決した。市の提案では同性愛への差別禁止の趣旨も盛り込まれていたが削除された。
条例は学校や職場などでの性差別、セクハラやドメスティックバイオレンス(DV)などを禁止。そのほか性同一性障害を理由とした差別も禁止事項に盛り込んだ。
市が提案した条例案では「性同一性障害その他性に関する事項を理由とする差別をしてはならない」とし同性愛も対象に含むと説明していた。しかし、同議会の委員会審議で「あいまいだ」などの批判が出たため、「その他性に関する事項」を削除し、修正提案された。
市は「同性愛も含めいかなる差別もしてはいけないとの趣旨だったが、小児性愛など犯罪につながるものも容認していると受け取られたようだ」としている。
性同一性障害者の人権守る 八女市、男女参画条例案を可決/福岡 (読売・西部版 2004/03/22夕刊)
◆市民反発「性的指向」は削除
福岡県八女市議会(平井覚一議長)は二十二日、性同一性障害者の人権尊重を盛り込んだ男女共同参画条例案を、本会議で賛成多数で可決した。「性同一性障害」の文言は大阪府堺市、千葉県市川市の条例にあるが、九州では初めて。条文中、差別理由の禁止対象として執行部が原案に盛り込んでいた「その他性に関する事項」は、議会が「定義が不明りょう」として削除した。
条例は「八女市男女共同参画のまちづくり条例」。条文で「すべての人が、性同一性障害を理由とする差別をしてはならない」とした。
市長の諮問機関「市男女共同参画推進審議会」が一月、「性同一性障害または性的指向を理由とする差別をしてはならない」とする条例案を市長に答申。「性的指向」の文言が、同性、異性、両性のいずれかへの恋愛感情を含む趣旨に市民が反発。市には抗議の電話が相次ぎ、市は「性についての差別を広くなくすことが条例の目的」として、文言を削除し、「その他性に関する事項」に置き換えた条例案を議会に提案していた。
「同性愛」削除条例案を可決−−八女市男女共同参画 (毎日・西部版 2004/03/22夕刊)
性同一性障害や同性愛など“セクシュアル・マイノリティー(性的少数者)”への差別禁止を盛り込んだ福岡県八女市の「男女共同参画のまちづくり条例」案は22日の市議会最終本会議で、差別禁止対象を性同一性障害者のみとした内容に修正されて可決された。性同一性障害者の差別を禁止した条例は全国で4例目、九州・山口では宮崎県都城市に次いで2例目。
採決に先立ち、総務文教委員会の川口誠二委員長が条例案について「『性的指向』を『性に関する事項』と修正しても、定義があいまいで誤解を招くので削除すべきだ」と審査報告。修正案は賛成多数で可決された。
同条例は、原案で「性別による差別の禁止」を第7条で定め、同4項で「性同一性障害または性的指向を理由とする差別をしてはならない」となっていた。ところが、市民団体から「同性愛を奨励する」との抗議があり、市は4項の「性的指向」を「性に関する事項」に修正、提案した。しかし「八女に同性愛者保護の条例は必要か」と疑問が出て、「性に関する事項」も削除された。
Fukuoka ordinance excludes same-sex relationships (Kyodo 2004/03/22)
The city assembly of Yame in Fukuoka Prefecture on Monday passed by a majority a draft ordinance aimed at a gender-free society, but the city's proposed provision on banning discrimination against same-sex relationships was shot down.
The ordinance bans gender discrimination and sexual harassment at schools, workplaces and other locations, domestic violence, and discrimination on account of sexual identity disorder. But the assembly did not give the go-ahead on a provision -- initially included in the draft -- that applies to same-sex relationships.
In its draft ordinance, the city drew up a provision that banned discrimination on account of matters "related to sexual identity disorder and other gender issues" and told the city assembly that "other gender issues" would constitute those who are in same-sex relationships.
But the assembly argued that the wording was ambiguous, prompting the ordinance to be revised to exclude that particular clause.
The city said that its intention was to convey that any form of discrimination, including discrimination against homosexuals, will not be allowed, but critics saw this as tolerating pedophilia or other activities that could constitute crimes.
[NEWSインサイド]福岡・八女市の「男女共同参画」条例案 (毎日・西部版 2004/03/22朝刊)
◇気高き理念、軽薄な姿勢−−性的少数者の人権尊重
◇同性愛などの差別禁止は削除へ−−市民団体が反発、議会も難色
性同一性障害や同性愛などセクシュアル・マイノリティー(性的少数者)への差別禁止を盛り込み、注目された福岡県八女市の「男女共同参画のまちづくり条例」案は、2度の修正・削除を強いられ、差別禁止の対象を性同一性障害のみとした条例に落ち着きそうだ。当初、執行部が明文化を目指した同性愛を含む「性的指向」の表現は市民団体の反発に遭い、代わって「性に関する事項」と修正された一般的表現も議会が難色を示した。修正・削除の背景に、市執行部の安易な姿勢もうかがえる。【福岡静哉】
◇識者「安易な提案や修正は無責任」
■提案前に4項を修正
八女市は今年2月、市男女共同参画推進審議会の答申を受けて原案を作成した。答申は、性同一性障害がマスコミに取り上げられ、法務省が性的指向を理由とする差別撤廃を訴えるなど、現状を踏まえた内容。原案は、第7条に「性別による差別の禁止」を盛り込み、同4項で「性同一性障害または性的指向を理由とする差別をしてはならない」となった。
性的指向は恋愛感情などが異性か同性、両性のいずれに向かうかの概念を指す。このため、市民団体が「同性愛は本来あるべき姿でない」と反対を表明。市への抗議は約70件に達し、野田国義市長が配慮して「性的指向」を「性に関する事項」と修正して提案した。
■都城市は1票差で可決
世界保健機関(WHO)は性同一性障害を「精神疾患」と認定する。国内でも昨年7月、戸籍上の性別変更が可能となる性同一性障害特例法が成立するなど、社会的な支援態勢は整いつつある。しかし、同性愛は精神疾患と位置付けられていない。
八女市が提案したものと同様の条例は大阪府堺市と千葉県市川市、宮崎県都城市にある。堺、市川両市には「性同一性障害」の表現しかなく、都城市は「性的指向」と踏み込んだ。このため都城市には「同性愛解放区になる」と抗議が殺到したが、執行部は同性愛者からの要望を受けた経緯もあって修正に応じず、議会が1票差で可決した。
■「差別の根強さ浮き彫り」
「性的指向」の表現を変えた八女市は「『性に関する事項』は同性愛も含み、差別禁止の対象を広げた」と説明。しかし市議の多くは「八女に同性愛者からの要請はなく、なぜ条例が必要か」と疑問を投げ掛け、市議会総務文教委員会は「ロリコンや痴漢まで含むと解釈される」と削除を決めた。
結局4項は「性に関する事項」を削り、「性同一性障害」のみを差別禁止対象と修正し、22日の市議会最終日で採決される。野田市長は「反発は想定外。性的指向にさほどの思い入れはなく、可決のためには削除もやむを得ない」と話す。
一方、市に答申した審議会の高橋安男委員は「同性愛も性同一性障害と同様、いわれなき差別を受けている。市には誤解を解く努力をしてほしい」。性的少数者の問題に詳しいノートルダム清心女子大の東優子助教授(ジェンダー論)は「修正の過程は、同性愛者に対する差別・偏見の根強さを浮き彫りにした。安易な提案や削除は無責任だ。答申が優れていただけに残念だ」と話している。
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■ことば
◇セクシュアル・マイノリティー(性的少数者)
身体上の性的特徴や性別の自己認識、性的指向などが、典型的な男女と異なる人たちの総称。主に▽性同一性障害者▽同性愛者▽両性愛者――などがある。
福岡県八女市、「同性愛」条項を削除 委員会で可決 男女共同参画条例修正案 (産経・東京版 2004/03/16)
福岡県八女市議会は十五日、同性愛者など特定の性的指向者を想定した条文を含む男女共同参画条例案を修正し、こうした条文を削除した修正案を市議会総務文教委員会で全会一致で可決した。
当初、市が提出していた条例案には「性同一性障害その他性に関する事項を理由とする差別をしてはならない」との条文があり、市側は「その他性に関する事項」について、同性愛者や両性具有者などを想定していると表明していた。
これに対し、市民から「伝統的な男女観が破壊される」「わざわざ条例に盛る必要があるのか」といった抗議が殺到。この日の委員会でも「同性愛については多様な考え方があり、条例に盛ると誤解を招く」との意見が出され「その他性に関する事項」の部分が削除された。
「男女共同参画」条例案 同性愛差別禁止を削除−−福岡・八女 (毎日・西部版 2004/03/16)
性同一性障害や同性愛などに対する差別禁止を盛り込んだ福岡県八女市の「男女共同参画のまちづくり条例」案について、市議会総務文教委員会(川口誠二委員長)は15日、差別禁止対象の「性同一性障害その他性に関する事項」のうち「その他性に関する事項」を条例案から削除することを決めた。「表現があいまいで分かりにくい」というのが理由。22日の最終本会議に修正案が議員提案される。
条例案は市の男女共同参画推進審議会の答申(1月)を受け、執行部が原案を作成。恋愛感情などが異性か同性、両性のいずれかに向かうことを示す「性的指向」も差別禁止の対象と認め、「性同一性障害または性的指向を理由とする差別をしてはならない」との条文を盛り込んだ。
ところが「同性愛を助長する」などの抗議が市内外から相次ぎ、市は「性的指向」の表現を「性に関する事項」と直して議会に提案。しかし、その後も「性道徳の崩壊につながる」などの意見が寄せられた。
川口委員長によると、委員会では「『性に関する事項』は抽象的。ロリコンや痴漢など犯罪も容認すると、拡大解釈される恐れがある」と削除を求める声が続出した。【福岡静哉】
八女市議会 同性愛差別禁止の条例案 委員会が文言一部削除 (西日本新聞 2004/03/16)
性同一性障害や同性愛などを理由にした差別を禁じた福岡県八女市の「男女共同参画のまちづくり条例」案について、同市議会総務文教委員会(川口誠二委員長)は十五日、条文から「その他性に関する事項を理由とする差別をしてはならない」とする文言を削除する修正案をまとめた。「条例が同性愛などを擁護、助長し、性道徳の乱れにつながりかねない」とする反対意見を踏まえた対応だが、「条例の目指す理想が後退した」と残念がる関係者もいる。
条例案の素案は、市長の諮問機関「市男女共同参画推進審議会」が昨年一月に答申。その際は「その他性に関する事項」の部分を「性的指向」と表現していた。
しかし、それは同性愛を示唆していると指摘する市民団体などが「同性愛者の教師が条例を根拠に、同性愛賛美を児童に押しつける事態も考えられる」などと反対を表明。市側は表現を「その他性に関する事項」と改め、「同性や異性、両性などすべての性的指向のほか、先天的に性別が不明確な人などを含む概念」と説明していた。
委員会では「同性愛者などの人権は守るべきだ」との意見では一致したが、「『その他性に関する事項』という部分は拡大解釈され、問題点は解消されない」などの意見が続出。賛成意見はなく、川口委員長は「条例自体に反対する議員もおり、修正して可決しやすい案にした」という。
素案を答申した審議会の高橋安男委員は「同性愛を含め、さまざまな性的指向のある者に対し根強い偏見があり、それを解消したいとの思いで明文化を目指していたので残念。ただ、『その他』という表現が小児性愛などまで含むと誤解された面もある」と話した。
性同一性障害については医学的見地から反対意見は出なかった。二十二日の市議会本会議で委員長報告を踏まえ採決の予定。可決されれば、性同一性障害に関する内容を含む条例は全国四番目、九州では宮崎県都城市に次ぐ制定となる。
福岡県/議会=八女市/ちくごワイド (西日本新聞 2004/03/04)
八女市(3日開会) 会期を22日までの20日間と決め、総額131億8000万円の2004年度一般会計当初予算案のほか、性同一性障害などの理由での性差別を禁止する「男女共同参画のまちづくり条例」案など25議案を提案。一般質問は8、9日。
同性愛への差別禁止盛る 福岡県八女市が条例案提出 (共同 2004/03/03)
福岡県八女市は三日、性同一性障害や同性愛などへの差別禁止も盛り込んだ「男女共同参画のまちづくり条例」案を市議会に提出した。
条例案は、学校や職場などでの性差別、セクハラやドメスティックバイオレンスなどを禁止。市男女共同参画推進審議会の原案では「性同一性障害または性的指向を理由とする差別をしてはならない」との表現もあったが、これに対し「同性愛擁護だ」との批判があり「性的指向」を「その他性に関する事項」と修正した。
市は「『性的指向』が同性愛だけを指すと誤解されたようなので表現を変えた。同性愛も含めいかなる差別もしてはいけないとの趣旨で、内容は変わっていない」と説明している。
消えた「性的指向差別禁止」 八女の男女参画条例案 (朝日・西部版 2004/03/03)
福岡県八女市の「男女共同参画のまちづくり条例」案で、「性的指向を理由とする差別禁止」を盛った原案を作成したところ、市に「同性愛擁護条例だ」といった批判が相次いで寄せられた。市は「性的指向」を「性に関する事項」と一般的表現に修正し、3日開会の議会に提案することにした。市は修正について批判が直接の理由とはしていないものの、「誤解を招くため」などと説明している。
八女市は1月に市男女共同参画推進審議会の答申を受け、原案を作成。原案は、恋愛感情などが異性に向くか同性や両性に向くかという性的指向について触れ、「性同一性障害または性的指向を理由とする差別をしてはならない」とした。
だが、最終案では「性同一性障害その他性に関する事項を理由とする…」に変更された。
市は1月22日に原案の市民説明会を開催。市によると、明確な反対意見はなかったという。
しかし、2月下旬から、「正しい家庭や性道徳のあり方が壊される」「風紀が乱れる」などと批判するメールやファクス、電話が市に二十数件あった。批判は市外の人が多かったという。
市は原案を修正した理由を「批判があったことは事実だ。市民の声を聞くと性的指向が同性愛を指すと誤解されており、性的少数者全体に枠を広げた。『性に関する事項』には性的指向も含まれる」と説明している。
同性愛者への支援活動をしている作家の伊藤悟さん(50)は「一般的な表現では、どんな差別がありどんな人権救済が必要か分からない。法に明記されることが権利獲得につながる」と話している。
性同一性障害、同性愛差別を禁止−−福岡・八女市が条例案提案へ (毎日・西部版 2004/03/03)
福岡県八女市は2日、性同一性障害や同性愛などに対する差別を禁じる「男女共同参画のまちづくり条例」案を、3日開会の3月議会に提案すると発表した。可決されれば、全国で4例目、九州・山口では宮崎県都城市に次いで2例目となる。
条例案は全25条。第7条で「性別による差別」を禁止し、同4項で「性同一性障害その他性に関する事項を理由とする差別をしてはならない」と明記、「性的マイノリティー(少数派)」への差別禁止を盛り込んだ。
条例は、市長の諮問を受けた「男女共同参画推進審議会」が昨年6月、作成に着手。性同一性障害などに対する理解が高まっていることから今年1月の答申に反映させた。
しかし、条例案に懐疑的な市議は多い。ある議員は「同性愛は自然の摂理に反し、第7条4項は削除すべきだ」。市は「性を巡る差別は社会問題化している。偏見をなくすため、4項は必要」と話している。【福岡静哉】
性差別禁止条例を提案 八女 (西日本新聞 2004/03/03)
福岡県八女市は、性同一性障害や同性愛などを理由に差別することを禁止する「男女共同参画のまちづくり条例」案を、三日開会した三月定例議会に提案した。九州では宮崎県都城市が同様の条例を可決しており、可決されれば福岡県内では初となる。
条例案では、性別による差別の禁止等の項に「すべての人が、性同一性障害その他性に関する事項を理由とする差別をしてはならない」と明記。「その他性に関する事項」について、市は「同性や異性、両性などすべての性的指向や先天的に性別が不明確な人なども含める」としている。
市長の諮問機関「市男女共同参画推進審議会」が一月、条例案を答申していた。答申では「その他性に関する事項」は「性的指向」と明記されていたが、「あえて明文化の必要性はない。同性愛などを結果的に助長、擁護することになる」などの意見があったため、文言に修正を加えたという。
議会内には、この修正案への反対意見もあるが、市は「性的少数者への差別禁止は重要。明文化することで、啓発を主目的とした条例の趣旨が浸透すると考えた」としている。(西日本新聞)
性同一性障害の差別禁止 男女共同参画へ八女市が条例案 (朝日・福岡版 2004/01/30)
八女市は3月定例議会に、性同一性障害や同性愛者への差別を禁じる項目を盛り込んだ男女共同参画条例案の提案を予定している。内閣府によると、同様の条例があるのは全国で3カ所、九州では宮崎県都城市だけという。
有識者や一般公募の市民らによる市男女共同参画推進審議会が7日、条例案を市長に答申。性同一性障害と、恋愛感情などが異性に向くか同性や両性に向くかという「性的指向」による差別の禁止が盛り込まれた。
市はこれを踏まえて条例案を作成中で、市長や副市長ら幹部による2月2日の検討会を経て、最終案が作られる。文言の修正の余地はあるが、柱建てや基本理念は変更されない模様だ。
条例案の市民説明会では「条例に盛り込む必要があるのか」との意見が出されたが、市は「少数派であっても差別を受けるいわれはないことをはっきりさせる」と意義を説明。「削除すべきだ」など明確な反対意見は今のところないという。
内閣府男女共同参画局によると、22日現在、全国222の男女共同参画条例のうち、性同一性障害や性的指向に触れたものは三つある。大阪府堺市は「性同一性障害を有する人、先天的に身体上の性別が不明瞭(ふめいりょう)である人」、千葉県市川市は「性同一性障害を有する人」、宮崎県都城市は「性的指向にかかわらずすべての人」の人権の尊重などをうたっている。
福岡県八女市男女参画条例案 家庭尊重を唱える市民の声が、過激な答申条項変える (世界日報 2004/01/27)
福岡県八女市男女参画条例案 家庭尊重を唱える市民の声が、過激な答申条項変える
福岡県八女市では、「男女共同参画のまちづくり条例案」をめぐって「家庭よりも女性個人の人権尊重」を前面に打ち出す八女市男女共同参画推進審議会(樋口邦雄会長)の答申が出された。しかし、家庭尊重を唱える市民が反対の声を上げ、市もそれを踏まえた素案を準備。二十二日、市民説明会を開いた。
(山本 彰)
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市素案前文で「身体的特徴を理解」と明示
性の自己決定権も削除/市の説明会は賛否両論で白熱
八女市男女共同参画のまちづくり条例案の説明会で熱心に耳を傾ける参加者=22日、八女市町村会館小ホール
この日の夕方、説明会の会場になった八女市町村会館小ホールは、積雪を伴う厳しい寒波に見舞われながらも、集まった約百人の市民でぎっしり。配られた資料を手に、市民は熱心に市担当者の説明に耳を傾けた。
その「審議会答申/市素案の比較表」を見ると、ポイントとなる条項でその違いがくっきり表れている。
まず前文で、答申が「男女が、お互いの人権を尊重しつつ…対等な構成員として(中略)男女平等のまちづくりを実現」としているのに対し、素案では「男女が、お互いの身体的特徴を理解したうえで、人権を尊重しつつ…」と変更。男女の違いを認識して共同参画を推進する内容になっている。
前文でこの点を明記しているのは「男らしさ、女らしさを一方的に否定することなく」の文言を入れた山口県宇部市、岐阜県高山市と、「男女の違い」と記している東京都、大阪府の条例などごくわずか。
また、審議会答申が基本理念で明記していた「妊娠、出産…について自分の意思が尊重される」という性の自己決定権(リプロ)の文言もカット。「男らしさ、女らしさ」を固定的と否定し、家庭や胎児の生命尊重より自己の決定を優先する過激なフェミニストの方針にブレーキを掛ける内容となっている。
さらに大きな変更は、男女共同参画を阻害する行為に対する「苦情処理」の部分。これを担当する男女平等支援委員(以下、支援委員)の役割、権限が素案で大幅に削られたのだった。
答申では支援委員の責務等が細かく決められた上、人権を侵害した者に対して勧告したり、勧告内容を公表したりできる。そればかりか、「職務の遂行を通じて明らかになった人権に関する社会構造上の課題について…意見を公表することができる」としていた。
この強大な権限が、素案では「指導、助言等を行う」だけとなり、関連の条項がごっそり削除された。
この変更に対して、市民から「時代に逆行するもの」との批判と「適切な判断だった」と評価する声とが交互に上がり、活発な意見が相次いだ。会場の雰囲気は白熱し、予定の二時間を過ぎても質問が後を絶たなかったほどだ。
ただ、なぜ変更や削除が行われたかについては「リプロは簡単な文言では表現しきれないため、条文に盛り込むよりまずその理解を深める期間が必要」(平井凡・市企画財政課係長)などと玉虫色の説明。市民の理解が進めば復活する可能性を残した格好だ。
また、「すべての人が、性同一性障害者又は性的指向を理由とする差別をしてはならない」(性別による差別の禁止等)との文言が入っているのに対し、「プライベートな趣向に言及するのは条例にそぐわない」として、強く削除を要求する意見が出されたが、市側は全く方針を変える姿勢を見せなかった。
市素案のジェンダーフリー思想
八女市側は明言避ける/問われる保守系市議の判断
(写真)二階に市議会がある雪化粧した八女市役所
八女市は保守市政だが、日教組など旧社会党系団体の影響力も強いとされる。昨年六月、八女、大牟田、大川、柳川などの市から成る福岡県南部地域で、保守系市民が「日本の心を育む会」(江頭和彦会長)を発足させ、条例案が偏らないように、講演会などで男女共同参画の啓もう活動を行ってきていた。
審議会も同六月に設置され、労組出身者など左派系人物もかなり名を連ねる中、急ピッチで条例案を検討、この一月に答申を提出した。それを市が素案にまとめ説明会が開かれた。
だが、「男らしさ女らしさ」や男女の役割分担を否定するジェンダーフリー思想が、男女共同参画社会基本法に入り込んでいるため、条例案もその影響を受けやすい。この日の説明会でも、「市の素案は、ジェンダーフリー思想が入っているか」との質問が出たが、市側は明言を避けた。
このため、「改善されたとはいえ、根本の思想に問題があり、抜本的な作り直しが必要だ」(参加者)との指摘もある。
また「性同一性障害者又は性的指向を理由とする差別の禁止」を入れた条例となれば、宮崎県都城市に続くことになり、九州各市で条例案にこの文言をうたうパターンが生まれかねない。
記者(山本)の質問に、市側は「同性愛者の“結婚”の容認までは想定できない」(平井係長)と明言したが、「それを容認しないのは差別」とし、この問題を政策課題化する動きに利用される、との見方もある。
条例案は、三月議会に上程され審議される。保守系議員の問題をはらむ条項に対する判断が、今後、条例制定を検討している県南部各市の方向性を左右することになる。
☆編集者へ=八女市の近藤将勝さん(福岡工業大学社会環境学部二年・22歳)から。 (正論 2004/01)