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子の国籍認定、結婚形態で区別は違憲 比女性の子に日本籍〜国が控訴

updated 2005/05/14


国籍法の規定巡る訴訟、違憲判決に国が控訴 (日本経済 2005/04/25)

 フィリピン人女性と日本人男性の間に生まれた男児が日本国籍の確認を求めた訴訟で、国は25日、「婚姻届を出していないことを理由に日本国籍を認めない国籍法の規定は違憲」と、男児の日本国籍を認めた東京地裁判決を不服として控訴した。 (22:00)


国籍法違憲判決で国側控訴 地裁判決を不服 (共同 2005/04/25)

 結婚していない日本人の父と外国人の母の間に生まれた子供の国籍をめぐる訴訟で、法務省は25日、出生後に両親が結婚した場合に限って日本国籍が取得できる国籍法の規定を違憲と判断した13日の東京地裁判決を不服として控訴した。


東京地方裁判所判決 (2005/04/13)

H17. 4.13 東京地方裁判所 平成15年(行ウ)第110号 退去強制令書発布処分取消等請求 判決全文 (2005/04/13)

記事5/14 毎日追加

社説・コラム・意見 4/27 Japan Times追加


記事


共同

国籍法の規定は違憲 母比国人の男児に日本籍 (共同 2005/04/13)

 フィリピン人の母から生まれた後、日本人の父に認知された小学校2年の男児(7つ)=関東地方在住=が「両親が結婚していないことを理由に国籍を認めないのは不当」と、日本国籍の確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁は13日、「国籍法は、出生後に父母が結婚した子(準正子)と、法的に非婚のままの非嫡出子とに不合理な区別をし、法の下の平等を定めた憲法に反する」として、男児の請求を認めた。

 判決理由で鶴岡稔彦裁判長は「価値観が多様化している今日、両親が法的に結婚している家族だけが正常と評価することは困難。国籍取得の可否を親の法的関係だけで区別できない」と述べた。

 原告弁護団によると、国籍法の憲法違反を認めた判決は初めて。さまざまな家族形態が広がる中、実態に即した法の見直しを促す司法判断だ。


時事

比人母の婚外子に日本籍=内縁で不認定規定は違憲−男児の訴え認める・東京地裁 (時事 2005/04/13)

 結婚していない日本人の父とフィリピン人の母を持つ男児(7)が、日本国籍の確認を求めた訴訟で、東京地裁の鶴岡稔彦裁判長は13日、「父母が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない国籍法3条の規定は違憲」との初判断を示し、男児の訴えを認めた。原告側弁護団によると、国籍法の規定に関する違憲判決は初めて。 


毎日/Mainichi

ニュース展望:国籍法違憲判決 井崎憲・社会部 (毎日 2005/05/14)

 未婚のフィリピン人の母親から生まれた後、父親の日本人男性が認知した男児(7)に日本国籍を認めた先月13日の東京地裁判決は、結婚の有無を国籍取得の条件とした国籍法3条を、家族形態の多様化を理由に違憲と判断した。一方で、両親が内縁関係などの共同生活を営んでいない場合には違憲ではないとも指摘。同じ条文が状況により「違憲」と「合憲」に分かれる「玉虫色」の判決と言える。

 両親の都合で日本国籍が認められなかった子供に救済の道を開いた点は評価されるべきだが、内縁関係の判断基準を巡り関係者から戸惑いの声も上がる。国側は1審判決の取り消しを求めて既に控訴しており、控訴審での判断が注目される。

 男児は日本生まれの小学校2年生。父親は日本人妻との婚姻を維持する一方、男児とフィリピン人の母親を経済的に支え、週末には一緒に過ごす関係にあった。国籍法では両親が未婚のケースでも男児の出生前に認知すれば日本国籍を取得できるが、父親は国籍法をよく知らずに出生後に認知し、男児は日本国籍を得られなかった。

 東京地裁判決は、男児と同様の立場にあった女児が国籍法の別の条文を巡って争った訴訟(女児側の敗訴が確定)での最高裁判決(02年11月)の補足意見を基本に据えた。女児側が付随的に違憲を主張した国籍法3条について、2人の裁判官が補足意見で「家族形態も多様化し、両親が結婚しないと国籍が取得できない差別は違憲の疑いが濃い」と指摘した。これを踏まえて地裁判決は「3条の本来の趣旨は子供と日本との一定の結びつきを要求したもの」と解釈。「両親が内縁関係にある男児も、日本との結びつきは結婚家庭に劣らない」として、違憲との結論を導いた。

 しかし、判決は3条について「男児の家族のような内縁関係がない場合、国籍を認めなくても違憲ではない」とも判断したため、この「画期的な判決」(原告側)が、同じ境遇の子供らに朗報となるかは微妙だ。

 原告の山口元一弁護士は「勇気ある判決だが、原告の父親が誠実に母子の生活を支えた特殊性を重視した結果と思う」と話し、「ただちに同様の子供らのケースに当てはまるとは言えない」と慎重な考えを示した。判決の前日、同じ境遇にあるフィリピン国籍の子供たち9人が日本国籍確認を求めて同地裁に提訴したが、日本人の父親と同居しているケースはない。

 日比間に生まれた子供たちを支援するNGO「ジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレン(JFC)を支えるネットワーク」(本部・東京)によると、設立時の94年から昨年までに相談を受けた約700件のうち6割の親が未婚で、このうち内縁関係のような共同生活を営んでいるケースは数例のみという。スタッフは「判決は一歩前進だが、内縁関係の成立という新たなハードルができた気がする。どの程度の関係なら認められるのか」と懸念する。

 男児の父親のように、日本人妻と婚姻関係を保ったままの、いわゆる重婚状態について、判決は「重要な要素とはいえない」とこだわらず、是認したが、この判断に批判的な意見が出ることも予想される。

 しかし、一橋大大学院の木本喜美子教授(家族社会学)は「『重婚』の問題は、男性が妻やその子に責任を持てばいい話で、道徳を持ち出して批判すべきではない」と言う。

 「犠牲になってきたのは『法律婚主義』の枠外にいた子供たち。相続問題などでは救済される司法判断が目立ってきたが、取り残されていた外国人にもようやく光が当てられた」と地裁判決を評価した。

国籍確認訴訟:フィリピン女性の子に日本国籍 結婚で区別は違憲−−東京地裁初判断 (毎日 2005/04/14朝刊)

 フィリピン人の母親から生まれた後、父親の日本人男性に認知されながら、両親の未婚を理由に日本国籍が認められないのは違憲として、日本に住むフィリピン国籍の男児(7)が国籍確認を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。鶴岡稔彦裁判長は「両親の内縁関係が成立しているのに未婚を理由に国籍を認めない国籍法の規定は平等権を定めた憲法に違反する」と判断し、男児に日本国籍を認めた。原告側によると、国籍法をめぐる違憲判決は初めて。

 男児は日本生まれで、母親とともに関東地方に住む小学2年生。03年2月、法務局に国籍取得を届け出たが、両親が結婚していないとして認められなかった。

 判決は、誕生後の認知で両親の結婚を要件とした国籍法の規定について「内縁関係でも事実上の婚姻関係を成立させ、家族として共同生活を営む事例が少なくないのは公知の事実。我が国との結びつきは両親が結婚している場合と変わらない」と指摘。「結婚の有無で区別するのは(平等権を定めた)憲法14条に反する」と判断。男児の家庭については「完全な同居生活ではないが、母子の生計は父親が維持し、父親が定期的に母子宅に宿泊したり幼稚園の行事にも参加するなど夫婦や家族としての交流がある」と内縁関係の成立を認めた。

 ただし判決は、内縁関係のような家族としての共同生活が認められない場合には、国籍取得を認めなくても「違憲と断ずる根拠はない」と述べ、内縁関係の成立を条件として示した。

 同様の境遇にあるフィリピン国籍の子供9人が12日、国に国籍確認を求めて東京地裁に集団提訴している。男児の弁護団は「非常に勇気ある判決だが、父親と母子が家庭として維持されているのを重視した結果で、ただちに他のケースに当てはまるとは言えない」とコメントしている。【井崎憲】

国籍確認訴訟:原告の訴え棄却−−地裁判決/京都 (毎日 2005/04/14)

 出生届の際に、嫡出子と非嫡出子の区別は差別につながるなどとして日本人の母親が一部の欄を記載しなかったために受理されず、戸籍謄抄本に名前が記載されず、日本国籍確認ができないとして旅券発給を拒否された京都市内の女子高校生(15)と女児(8)=共に母親が法定代理人=が、国に国籍の確認と慰謝料各50万円の支払いなどを求めた訴訟の判決が13日、京都地裁であった。水上敏裁判長は、国籍確認について「国は原告らの国籍保有を認めており、訴えの利益がない」と却下、出生届不受理などの慰謝料についても「理由がない」として棄却した。

 判決によると、原告の2人は02年8月に一般旅券発給を申請したが、戸籍謄抄本の不提出を理由に拒否された。1人は同年11月、法務省民事局長に国籍証明書発行を申請したが、拒否された。

 裁判では国籍確認の利益があるかが争点となった。原告は「国籍保有を要件とする資格、職種などは多い。参政権や海外渡航の自由に危険や不安が生じている」などと主張したが、水上裁判長は「仮に国籍が確認されても、判決の効力は国以外に及ばない。旅券不発給も戸籍謄抄本の不提出が理由」などとして退けた。

 判決について、原告側代理人の吉田容子弁護士は「(婚外子や女性への差別を助長する)今の制度を受け入れろというのと同じ」などと、不満を述べた。【太田裕之】


国籍確認:出生後認知でも日本国籍を フィリピン国籍の9児が提訴−−母は未婚 (毎日 2005/04/13朝刊)

 未婚のフィリピン人女性から生まれた後、父親の日本人男性が認知しながら日本国籍が認められないのは違憲として、日本に住むフィリピン国籍の子供9人が12日、国に国籍確認を求めて東京地裁に提訴した。原告側の弁護士によると、こうしたケースでの集団提訴は初めてという。

 9人はいずれも日本で生まれた5〜11歳の男児5人と女児4人。現在はそれぞれフィリピン人の母親と一緒に定住資格を得て、9家族が東京都や千葉、神奈川、埼玉3県に住んでいる。

 訴えによると、9人は出生後に父親の日本人男性から認知され、国籍取得を届け出たが、両親が結婚していないとして認められなかった。

 国籍法では、母親が外国人の場合、未婚でも日本人男性が出生前に認知したり、出生後の認知でも両親が結婚すれば日本国籍が認められる。

 9人は「両親が結婚するかどうかは子供に責任はなく、結婚の有無で国籍取得が差別されるのは平等権を定めた憲法に違反する」と主張している。

 会見したフィリピン人の母親、ロサーナさん(40)は、日本人男性との間に2人の女児をもうけたが、認知制度をよく知らないまま出生後に認知された長女はフィリピン国籍となり、出生前に認知された妹は日本国籍となった。

 ロサーナさんは「同じ父親なのにこんなことがあっていいのか」と訴え、長女で原告の一人、マサミさん(7)も「妹と同じ国籍に変えられたらうれしい」と話した。【井崎憲】

 ◇法務省民事局民事第1課の話

 訴状が送達されていないのでコメントは差し控えたい。

 ◇同ケース、100人以上

 原告側の弁護士によると、母子ともにフィリピンに帰国して父親から認知されないケースを含めれば、父親が日本人でありながら日本国籍を取得できない子供は100人以上いるとみられるという。

 弁護士は「フィリピンにいても、出生前に認知されて日本国籍を持つ子供もいて、内外でアンバランスな状態が生じている。まず、日本在住の子供にこそ日本国籍を与えられるべきで、集団訴訟で問題提起したい」と話している。

Boy born to unmarried Filipino woman, Japanese man wins citizenship (Mainichi Daily News 2005/04/14)

The Tokyo District Court ordered the government to grant Japanese nationality on Wednesday to a 7-year-old boy who was born to a Filipino woman and a Japanese man who are not married.

"Article 3 of the Nationality Law stipulating that Japanese nationality cannot be granted to a child born to a foreign woman and a Japanese man who are a common-law couple is unconstitutional," Presiding Judge Toshihiko Tsuruoka said as he handed down the ruling.

Lawyers for the plaintiff said this is the first court ruling that declared provisions in the Nationality Law are unconstitutional.

The boy, a second-grader, was born in Japan and now lives with his mother in the Kanto region, and has been recognized by his father. He applied with a local legal affairs bureau for Japanese citizenship in February 2003. After the application was rejected because his parents were not married, he launched the suit.

Even though his parents are not always living together, the court pointed out that the boy's father financially supports him and his mother and regularly stays overnight at their home as a family member, and recognized the parents as a common-law husband and wife.

The ruling said, however, that the government's refusal to grant children Japanese citizenship in cases where their parents are not recognized as common-law husbands and wives can not be deemed unconstitutional.

On Tuesday, nine children, who have Filipino nationality and are in a similar situation to the 7-year-old boy, jointly launched a suit with the Tokyo District Court seeking Japanese nationality.


朝日/Asahi

子の国籍認定、結婚形態で区別は違憲 比女性の子に日本籍 (朝日 2005/04/14朝刊)

 フィリピン人女性と日本人男性の間に生まれ、両親が法律上結婚していないことを理由に日本国籍取得を拒まれた男児(7)が国籍確認を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。鶴岡稔彦裁判長は、3人が家族として共同生活をしている実態を重視。「父母が婚姻関係にあるかどうかで国籍取得の可否について不合理な区別を設けた国籍法の規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」と述べ、男児に日本国籍を認めた。国籍法の規定を違憲とした判決は初めて。

 判決などによると、原告は関東地方で生まれ育った男児。既にフィリピン国籍は持っている。母親は40歳代のフィリピン人女性。父親は妻子がいる40歳代の日本人男性。男児は出生後、父親に認知された。

 問題となったのは、未婚の男女の間に生まれた子(非嫡出子)の国籍取得をめぐり、「父母の婚姻と認知」を条件とした国籍法3条。同法では、婚姻関係がない日本人男性と外国人女性との間に生まれた子供の場合、出生前に認知するか、出生後に結婚しなければ、日本国籍を取得できない。男児は認知はされているものの出生後だったうえ、父母が婚姻関係にないため法務局に国籍取得届を受理されず、提訴した。

 鶴岡裁判長は、父親の渡す生活費で母親と男児が扶養されている▽父親が週末などに定期的に母親の家に泊まったり、男児の幼稚園などの行事にも積極的に参加したりしている――などの点を挙げ、「男児と父母の3人は完全同居ではないものの、内縁関係にあり、家族としての共同生活と評価できる」と認定。「価値観が多様化している今、『父母が婚姻関係にある家族こそが正常で、内縁関係は正常ではない』などと言うことはできない」と指摘した。

 そのうえで、内縁関係にある男女の間の子について「日本国民を親の一人とする家族の一員として、(父母が婚姻関係にある子と比べて)我が国との結びつきの点で違いはないのに、国籍取得が認められないのは何ら合理性がない」と判断。同法が、非嫡出子と、父母が婚姻している子(嫡出子)との間で国籍取得について区別している点を違憲と結論づけた。

 一方で判決は、男児のように父母と非嫡出子が共同生活をしているケースではなく、共同生活が成立していない非嫡出子について国籍取得を認めないことは「違憲と断じるだけの証拠はない」と付け加えた。

 東京地裁では12日、法律上結婚していないフィリピン人女性と日本人男性の間の子9人が、国籍確認を求める同様の訴訟を起こしている。


「家族」の願い届いた 国籍取得訴訟 (朝日 2005/04/14朝刊)

 日本国籍を求めた7歳の男の子の願いがかなった。日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれた男の子が、国籍確認を求めた訴訟。東京地裁は、家族としての生活があれば、両親が婚姻届を出していなくても、子供の日本国籍は認められると判断した。

●認定基準、戸惑いも

 「国籍が認められてうれしい」

 判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した原告側代理人の山口元一弁護士は、紅潮した表情で言った。

 会見場所に、原告の男の子の姿はなかった。しかし、弁護団から電話で判決を聞いた父親は「勝ちましたか!」「とにかくうれしい」と答えた。

 判決によると、原告の男の子は97年11月、フィリピン人の母親と、妻子ある日本人の父親の間に生まれた。その後99年10月に父親が認知した。

 しかし、出生後に認知されたため、日本国籍を得られなかった男の子と母親は02年10月、退去強制処分を受けた。その後仮放免され、昨年末には、1年間の在留特別許可を得た。

 法務局は03年2月、国籍取得の届け出を不受理とした。母子は国籍確認訴訟を起こした。

 今回の原告と似たケースの子供が、日本国籍の確認を求めた訴訟は過去にもあった。02年に最高裁は国籍取得を認めなかったが、5人の裁判官のうち2人が補足意見で、「国籍取得には子の認知だけでなく父母の婚姻を必要とする」という国籍法の規定を「違憲の疑いが濃い」と指摘した。

 今回の判決が重視したのは、父親と母子の関係だった。父親は男の子が通う幼稚園で開かれる運動会や発表会、参観などに欠かさずに顔を出してきた。今年6月には第2子も生まれる予定だ。地裁は両親は内縁関係にあり、家族として共同生活をしていると認定した。

 日比国際児(JFC)の人数は明らかになっていないが、NGOなどによると、少なくとも数万人はいるという。しかし、父親捜しなどを支援している「JFCを支えるネットワーク」(東京都千代田区)によると、これまで扱った約700件のうち6割が非婚で、ほとんどは日本人男性とフィリピン人女性の関係は破局しているという。

 このため、スタッフの高野美央さんは「判決は評価できる。でも、共同生活が国籍取得の前提になっていて、どれだけのJFCが対象になるのか……」と話している。

 日本国籍がなくとも、在留資格があれば、生活上の支障は基本的にはない。フィリピン人女性が、子供の日本国籍を求めるのは、日本で成長していく子供のアイデンティティーのためというのが一番の理由とされる。

●就職などでの差別不安

 東京地裁では12日にも、結婚していないフィリピン人女性と日本人男性の間に生まれた子9人が日本国籍の確認を求める訴訟を起こした。この際、母親の一人は「子供は生まれたのも日本で、学校も何も全部日本。今はまだ小さいが、成長してから子供に『自分の国籍は何』と聞かれたら、どう説明したらいいのか」と訴えていた。

 さらに、就職などで将来差別を受けるのではないかとの懸念もある。

 米国などでは、生まれた場所で国籍を決める「生地主義」をとっている。だが、日本では親が日本人かどうかによって国籍を与える「血統主義」をとる。このため、片方の親が外国人の場合に、あいまいさが生まれてしまう。

 それだけに婚姻関係をよりどころに国籍を認めてきた法務省は戸惑う。

 「共同生活が営まれているかどうか、誰がどう判断するのか。婚姻という目に見える枠を取り払ってしまえば、基準があいまいになる。国籍取得の要件を何とするかは、立法の裁量にゆだねられている」という。

 「国は控訴するはず。これからが大変だ」。山口弁護士は話した。

◆半歩前進の判決――国籍法の改正を求めてきた大貫憲介弁護士の話

 今回の判決は半歩前進だ。「立法は国会の裁量の範囲内」と簡単に請求を退けなかったのは評価できる。しかし、子供には関係のない「両親同士が内縁関係にあるかどうか」という基準に着目した判決は、合理的とはいえない。国籍という人格の土台がないと、いつ在留資格を失って強制退去になるかも分からず、子供たちは不安定な立場に置かれる。法改正を急ぐべきだ。

Nationality Law struck down in out-of-wedlock baby case (IHT/Asahi 2005/04/14)

The Asahi Shimbun

The Tokyo District Court on Wednesday ruled as unconstitutional a provision of the Nationality Law that requires the parents of a child seeking Japanese nationality to be married.

Presiding Judge Toshihiko Tsuruoka ruled that a 7-year-old boy who was born to a Japanese father and Filipino mother should be granted Japanese nationality.

Legal experts said the ruling was the first time the Nationality Law had been declared unconstitutional.

In the ruling, the court said, ``The three are living as a family, and there is no rational reason for not granting nationality just because the parents are not married.'' The court added that making decisions on nationality based on whether the parents of the child were married would violate Article 14 of the Constitution, which states that all people are equal under the law.

The boy was born in Japan and now lives in the Kanto region with his mother, who is in her 40s. The boy's father, also in his 40s, is married to a Japanese woman and has children with her. The man acknowledged paternity of the boy soon after his birth.

Article 3 of the Nationality Law states as conditions for obtaining nationality: the marriage of the parents and the Japanese parent's paternity acknowledgment. Nationality is given when the father recognizes paternity before the baby is born.

Justice Ministry officials originally did not grant the boy Japanese nationality on the grounds his parents were not married.

Judge Tsuruoka ruled that while the boy, mother and father were not constantly living together, they could be considered a family because of their common-law relationship.

The judge ruled, ``With a greater variety in views on values, the argument cannot be made that `families in which the parents are married are normal and that common-law families are not normal.'''

Lawyers for the plaintiff were guardedly optimistic about the ruling.

``The verdict ruled the law as unconstitutional by focusing on the unified nature of the family,'' said one. ``However, the ruling cannot be said to have an effect for those families that are not unified.''

The boy and his mother had been ordered deported in October 2002. A lawsuit was filed seeking to overturn that deportation order.

While awaiting a ruling on that lawsuit, the boy had his application for nationality rejected by the Justice Ministry in February 2003. That led to the lawsuit seeking confirmation of his nationality.

Group suit filed over children's nationality (IHT/Asahi: 2005/04/13)

By TARO KARASAKI Staff writer


Nine children born out of wedlock to Filipino mothers and Japanese fathers were named in a suit filed jointly Tuesday with the Tokyo District Court demanding the government award nationality to them.

The Japanese fathers of the children have all acknowledged, either voluntarily or through court orders, their paternity-but only after the children were born.

That is the legal sticking point, and why the children, ranging in age from 5 to 11, are being unjustly prevented from claiming Japanese nationality, say their lawyers and guardians.

The government's current interpretation of Article 3 of the Nationality Law is basically: If a Japanese father acknowledges paternity before birth, the child can claim Japanese nationality. When recognition comes after a child is born, the couple must be married for the child to obtain Japanese nationality.

"The distinction between gaining recognition before birth and after is unreasonable, and the government should stop using it to reject applications for nationality," said Hironori Kondo, a lawyer representing the nine, told a news conference.

Kondo said the stipulation violates Article 14 of the Constitution that calls for equality under the law.

While individual cases have been fought in court, it is the first time that a group suit seeking nationality has been filed.

"There are many more children facing the same problem, and we hope to raise the issue with the Japanese people," Kondo said.

Parents of the nine said their children, and they themselves, were subjected to unnecessary stress because of their identity crisis.

"My heart is torn whenever I'm asked why my children have different nationalities," said Rossana, the 40-year-old mother of one of the plaintiffs.

Her daughter, Masami, 7, gained recognition from her Japanese father only after birth, rendering her ineligible for nationality. Her younger daughter, Naomi, 3, has Japanese nationality because the father acknowledged paternity before she was born.

One 35-year-old mother said she told her son, now 7, to use his father's name when he was in kindergarten because classmates taunted him about his nationality.


中日/東京

国籍法規定は違憲 東京地裁判決 非嫡出子区別認めず (中日 2005/04/14朝刊)

 結婚していない日本人の父親とフィリピン人の母親との間に生まれ、出生後に父親から認知された男児(7つ)が、国に日本国籍の確認を求めた訴訟の判決が十三日、東京地裁であった。鶴岡稔彦裁判長は「両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない国籍法第三条の規定は違憲」との初判断を示し、男児の訴えを認めた。男児の弁護団によると、国籍法の規定を違憲とした判決は初めて。

 ◆母が比国人 男児に日本国籍

 訴えていたのは、関東地方に住む小学二年生の男児。男児の母親は一九九二年に来日。既婚者の日本人男性と知り合い、九七年に男児を出産した。男児は九九年に認知され、二〇〇三年二月、法務局に国籍取得を届けたが、受理されなかった。

 判決理由で鶴岡裁判長は「価値観が多様化している今日、父母が法的に結婚している家族だけが正常と評価するのは困難。国籍取得の可否は親の法的関係だけで区別できない」と指摘。「国籍法三条は法律上の夫婦の子(嫡出子)と非嫡出子との間で、合理的な理由のない区別をしており、法の下の平等を定めた憲法一四条に違反する。規定は一部無効と解するほかない」と述べた。

 その上で、男児のケースについて「父親は定期的に母親宅に宿泊し、幼稚園の行事にも参加している。完全な同居生活の成立こそ認められないが、三者の間には家族としての共同生活と評価するに値する関係が成立している」と述べ、男児側の訴えを認めた。

 国籍法では、日本人の父と外国人の母との間に生まれた子は(1)法律上の夫婦間に出生(2)出生後に父母が結婚−のいずれかの場合に、日本国籍が取得できる。このほか、出生前に父親から認知されれば、日本国籍を取得できるが、出生後の認知では取得できない。

 同じ境遇の子どもをめぐっては、日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた子ども九人が十二日、日本国籍の確認を求める訴訟を東京地裁に起こしたばかり。

 <国籍法違憲判決骨子>

 ▼非嫡出子の国籍取得には、日本国民との法律的な親子関係に加え、その親と家族関係や共同生活が成立し、わが国と一定の結び付きがあることが要件となる

 ▼国籍法三条一項は日本国籍取得に当たり、非嫡出子が父母の婚姻で「準正子」となった場合と、父母が内縁関係の場合とで合理性のない区別があるから、憲法一四条一項に違反する

 ▼原告は父母が内縁関係で、三者に家族としての共同生活と評価できる関係があるから、届け出によって日本国籍を取得したというべきである

 ◆多様な家族観に理解

 <解説>両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない国籍法の規定を違憲とした東京地裁判決は、現代の多様な家族のあり方に理解を示し、子ども自身に責任のない事情で差別を受ける不合理を否定した。

 判決は、父親と男児らの関係を「家族としての共同生活と評価するに値する」と認定。「内縁の父母が認知した子どもと共同生活を営む例は少なくない」と、伝統的な家族観にはこだわらない考えを示した。男児の父親が二人の女性と重婚的な関係にあることも「重要な要素とは言い難い」と問題にしなかった。

 非嫡出子(婚外子)をめぐっては、民法が遺産相続分を嫡出子の二分の一と規定。一九九五年の最高裁大法廷決定は合憲としたが、その後の判決では「価値観が多様化し、家族の態様も一様でない」などと反対意見が相次いだ。今回と同様の国籍認定訴訟でも二〇〇二年の最高裁判決(原告敗訴)の補足意見が「違憲の疑い」を指摘しており、初の違憲判決の下地はできていた。

 判決は「父母に事実上の婚姻関係はないが、日本人である親と交流していたり、日本に居住していたりする非嫡出子」にも言及。共同生活が成立している今回の男児のケースとは違うとしながらも「一定の要件の下に国籍取得を認めることは考えられないではない。これは立法論の問題」と踏み込んでいる。

 家族観は時代とともに変わる。現代に合った国籍法に向けて、改正の潮時が来ているのではないか。(東京社会部・橋本誠)


読売/Yomiuri

「日比の内縁」子に日本籍 出生後の認知も容認 「国籍法は違憲」/東京地裁 (読売 2005/04/14朝刊1面)

 婚姻関係のない日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれた後、父親から認知されたフィリピン国籍の男児(7)が「両親が結婚していないために日本国籍を認めないのは不当」として、日本国籍の確認を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。鶴岡稔彦裁判長は「生後に認知された子供について、両親が結婚した場合に限り、日本国籍の取得を認めている国籍法は、法の下の平等を定めた憲法に違反する」と述べ、日本国籍を認める判決を言い渡した。原告弁護団によると、国籍法を違憲とした判決は初めてという。〈関連記事39面〉

 現行の国籍法では、結婚していない日本人の父親と外国人の母親の間に生まれた子供は、生まれる前に認知されれば日本国籍となるが、生後に認知された場合、父母が婚姻関係を結ばないと日本国籍を取得できないと定めている。今回のケースでは、男児の父親は既に日本人女性と結婚しておりフィリピン人女性とは結婚できない事情があった。

 判決はまず、同法の規定について、「国籍取得の条件として、日本人との共同生活など一定の結びつきを要求したもの」と解釈。「価値観が多様化している今日、こうした家族としての共同生活は、法律上の婚姻関係がなくても、内縁関係として営まれていることも多い」と指摘した。その上で、「法律上の夫婦の子供(嫡出子)と非嫡出子で差をつけるのは合理性がなく、違憲」と認定した。そして、男児の父親が週末には母親宅に泊まり、親子3人で過ごすなど、密接な交流を重ねている実態に注目し、「男児の両親は内縁関係にあり、日本国籍は認められるべきだ」と結論づけた。

 男児は関東地方在住で、父親と母親はともに40歳代。生後2年の1999年に認知されたが、日本国籍を認められなかったため、2003年に提訴した。

 今月12日には、同じような境遇のフィリピン国籍の子供9人が、日本国籍の確認を求める集団訴訟を東京地裁に起こしている。

 法務省民事局の話「判決文を検討したうえで今後の対応を考えたい」
 
 〈日本国籍〉 国籍法は、日本国籍を得る基本的な条件を、生まれてくる時点で父または母のどちらかが日本人であることと規定し、日本人の母親から生まれると、自動的に日本国籍が与えられる。日本人の父親と外国人の母親の場合には、父親との関係が問題になり、嫡出子なら日本国籍を取得できる。非嫡出子では、生まれる前、つまり、胎児の段階で父親から認知されていれば、その時点で親子関係があるとして日本国籍が認められる。
 
 図=現行法の国籍法での日本国籍取得の可否

国籍法の違憲判決 法改正論議、喚起も(解説) (読売 2005/04/14朝刊社会面)

 外国人の母と日本人の父との間の子の日本国籍取得について、両親の結婚を条件とした国籍法が、憲法に違反すると判断された背景には、内縁関係のまま子供を産み育てている家庭が増えるなど、家族のあり方が大きく変化している現状がある。

 我が国の国籍法はもともと、日本人が父親の場合にのみ日本国籍を取得できる「父系血統優先主義」をとっていた。しかし、国際結婚の増加などで1984年、母親が日本人の場合も出生と同時に日本国籍が与えられる「父母両系血統主義」に改正された。

 さらに、婚姻関係のない日本人の父と外国人の母の間に生まれ、その後、認知された子供でも、両親が結婚すれば、日本国籍が取得できることになった。このため、今回の訴訟で問題になったように、両親が結婚したかどうかで国籍取得の可否が分かれるケースが出てくることになった。

 しかし、家族形態の多様化を反映し、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とした民法の規定が法の下の平等に反するかどうかが問われた訴訟でも、最高裁で「違憲」との意見を表明する裁判官の割合が近年、増加している。

 今回の訴訟と同様のケースで、2002年の最高裁判決は、国籍取得を認めなかったが、5人中2人の裁判官が「親が結婚しているかどうかで子供が国籍を取得できるかどうかに差異を設けるべきではない」と述べ、憲法違反の疑いを指摘していた。今回の判決は、さらに踏み込んで、明確に違憲と結論づけており、今後、法改正の議論を喚起する可能性もある。(吉田尚大)

家族の多様化を反映 国籍法違憲判決 「養育の実態を考慮」関係者、評価の声 (読売 2005/04/14朝刊社会面)

 「父母が結婚しているかどうかで、国籍取得の可否を区別するのは、合理的な理由がない」――。内縁関係にある日本人男性とフィリピン人女性の間に生まれたフィリピン国籍の男児(7)が、日本国籍の確認を求めた訴訟で、東京地裁は13日、原告勝訴の判決を言い渡した。男児の代理人弁護士は、「判決を契機に、どのような子供が日本国籍を取得できるか、国会で議論を深めてほしい」と、国籍法の規定を違憲と判断した判決に声をたかぶらせた。〈本文記事1面〉

 判決後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見した山口元一弁護士は、「同じ境遇の子供が多いので、『何とか日本国籍を取得したい』という思いで訴訟を始めた」と振り返り、「主張が認められてよかった」と笑顔を見せた。判決後、男児の父親に「おめでとう」と電話すると、「とにかくうれしい」と話していたという。

 前日には、日本人の父親とフィリピン人の母親との間に生まれた子供9人が、同様の訴訟を東京地裁に起こしたばかり。

 同じようなフィリピン国籍の子供は、全国に少なくとも約100〜200人いると推定されている。

 この日の判決について、本間浩・法政大教授(国際法)は、「婚姻という形式だけで判断せず、子供が両親に保護され育てられているという実態を考慮している」と評価。「同種の訴訟の行方にも影響を与えるのではないか」と語った。


Plaintiff wins lawsuit over nationality (Daily Yomiuri 2005/04/14)

The Yomiuri Shimbun

The Tokyo District Court ruled Wednesday it was unconstitutional for the government to refuse Japanese nationality to a 7-year-old boy of Japanese-Filipino parenthood born out of wedlock and later recognized by his Japanese father on the ground his parents were not married.

Recognizing the Japanese nationality of the boy, presiding Judge Toshihiko Tsuruoka said a provision of the Nationality Law--under which a child born to a Japanese father and non-Japanese mother can obtain Japanese nationality only provided his or her parents are married--violates the Constitution that provides for equality for all.

It was the first time a court had ruled that the law violates the Constitution, lawyers for the plaintiff claimed.

A child born to a Japanese father and a non-Japanese mother out of wedlock can obtain Japanese nationality if the father acknowledges the child while he or she is in the womb, but not if the child is recognized postnatally--unless the parents get legally married.

Japanese nationality is automatically awarded to a child born to a Japanese mother.

The boy's father was already married when he became acquainted with the woman who would become the boy's mother in 1997. The father filed official recognition papers in 1999.

After the boy's mother unsuccessfully filed a request with the government to obtain Japanese nationality for her son in 2003, she filed a lawsuit against the government.

The boy and his mother live in the Kanto region. Both the mother and father are in their 40s.

Tsuruoka said the provision of the law requires foreign nationals to have a certain commitment with a Japanese, such as communal living, as a condition for acquiring a Japanese nationality.

The judge said, given diversifying values today, people often live together as a family even though they are not legally married forming a common-law marriage.

"Distinguishing between children of legally married parents and children born out of wedlock, with regard to nationality, violates the Constitution," Tsuruoka said.

Having noted that the boy and the parents are have a close relationship as the father visits the boy and his mother regularly on weekends, although he continues to live with his Japanese family, Tsuruoka ruled that the boy's Japanese nationality should be recognized since his parents are in a de facto marriage.

On Tuesday, a class action lawsuit was filed with the district court on behalf of 9 Filipino children who were born in Japan to Japanese fathers and Filipino mothers and are seeking Japanese nationality.

Lawyers for the nine argue that failure to grant them Japanese nationality because their parents are unmarried violates the principle of equality before the law as guaranteed under the Constitution.

Regarding Wednesday's ruling, the Justice Ministry's Legal Affairs Bureau said further responses will be decided upon after studying the ruling.


婚外子の国籍確認 2女性の訴え却下 地裁判決=京都 (読売・京都市内版 2005/04/14朝刊)

 婚外子の子どもに戸籍がないため、旅券の発行を受けられないなど不利益を受けたとして、右京区内の女性2人(いずれも40歳)が国を相手取り、子どもの日本国籍確認と計100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、地裁であった。水上敏裁判長は「国は日本国籍と認めており、確認する必要がない」として訴えを却下した。

 訴状によると、2人は法律婚をせずに出産したそれぞれの子ども2人(8歳と15歳)の出生届を出す際、「戸籍制度は婚外子や女性への差別」として、「嫡出子」「非嫡出子」のどちらの欄にも記入しなかったため、京都市に受理されず、子どもは戸籍に記載されなかった。


アフガン難民不認定 取り消しで国が控訴=広島 (読売・広島版 2005/04/14朝刊)

 アフガニスタンに戻ると、迫害の恐れがあるのに、難民申請が認められないのは不当として、アフガニスタン国籍のアブドゥル・アジズさん(33)(山口県周南市在住)が国に難民申請不認定処分の取り消しなどを求めた訴訟で、国側は13日までに、不認定処分の取り消しなどを命じた3月29日の広島地裁判決を不服として、控訴した。

日本国籍の確認求め提訴 比国籍の子供9人 父は日本人、生後に認知/東京地裁 (読売 2005/04/13朝刊)

 日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれたフィリピン国籍の子供9人が、「両親が結婚していないだけで日本国籍を取得できないのは、法の下の平等を定めた憲法に違反する」として、国に日本国籍の確認を求める訴訟を12日、東京地裁に起こした。外国籍の子供が日本国籍の確認を求めた集団訴訟は初めて。

 国籍法では、婚姻関係のない日本人の父親と外国人の母親の間に生まれた子供は、胎児の間に認知されれば日本国籍を取得できるが、生まれた後で認知されても日本国籍を取得できないと定めている。
 提訴した9人は、東京都や千葉県などに住む5〜11歳の男女で、生後、父親に認知された。原告の中には、妹は胎児の間に認知されたため日本国籍で、姉妹で国籍が異なる少女もいる。

 2002年の最高裁判決は国籍法を合憲と判断したが、2人の裁判官は「憲法違反の疑いがある」との補足意見を述べている。

 法務省民事局民事第1課の話「訴状を見たうえで適切に対処したい」


産経

「非嫡出子も日本人」 国籍法規定は違憲 東京地裁 (産経 2005/04/14朝刊)

≪「母」は比、「父」は日本・生後認知≫


 日本人男性を父とし、フィリピン国籍の女性から生まれた関東地方在住の男児(7つ)が、「生後に認知を受けた非嫡出子について、父母が結婚したときに限って日本国籍の取得を認める国籍法の規定(3条1項)は憲法違反」として、国に日本国籍の確認を求めた行政訴訟の判決が13日、東京地裁であった。

 鶴岡稔彦裁判長は「日本国民を親の1人とし、家族の一員でわが国と結びつきがあるのに、法律上の婚姻関係がない非嫡出子に国籍を認めない国籍法の規定は、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反する」として男児の請求を認めた。

 原告側弁護士によると国籍法の規定を憲法違反と認めた判決は初めて。

 判決などによると、母親は平成4年3月に来日。既婚者の日本人男性(父親)と知り合い、9年11月に男児を出産した。男性は約2年後に男児を認知。母親はそれを受けて15年2月に国籍取得を申し出たが認められず、提訴した。

 現在の国籍法では、日本人の父と外国人の母から生まれた非嫡出子(生後に認知)が日本国籍を取得するには、父母が結婚するか帰化を申請するしかない。ただし胎児段階で認知を受けていれば国籍を取得できる。また日本人の母から生まれた子は、父親の国籍に関係なく出生と同時に日本国籍を取得できる。

 現状について鶴岡裁判長は「価値観が多様化した社会では、父母が法律上婚姻していないからといって、正常な共同生活を営んでいないというのは困難」と指摘。

 また、男性は週末など定期的にこの母子の家で生活し、幼稚園の行事にも父親として参加。母親は妊娠中で、すでに胎児認知を受けている。鶴岡裁判長はこうした実態を重視し、「家族としての共同生活といえる関係が成立している」とした。

 国側は裁判で「仮装認知が多発するおそれがある」と反論していたが、鶴岡裁判長は「仮装認知が横行するかどうかは疑問がある」として退けた。

 国籍法をめぐっては、別の規定が違憲かどうか争われた訴訟の最高裁判決(14年11月)で、原告側の敗訴が確定したものの、2人の裁判官が「国籍法3条1項は憲法違反の疑いが極めて濃い」とする補足意見を述べている。

 ▼法務省民事局民事一課の話「主張が認められず残念。判決文を検討し今後の対応を考えたい」



≪前進、高く評価≫
 二宮周平・立命館大法科大学院教授(民法)の話「非嫡出子に対し例外的に日本国籍を認めた判断は一歩前進で、高く評価できる。ただ、父母のどちらかが外国人の場合は関係が決裂していることも多く、こうしたケースは父母が内縁関係にある場合に限定した今回の判断では救済されない。法理論を積み重ねることで、将来的には国籍取得条件の幅を広げていくことが望ましい」



 ■国籍法のポイント■  国籍法の規定によると、非婚の男女間の子は、母が日本人の場合はすべて日本国籍となるが、母が外国人、父が日本人の場合は、父母の法的関係で子の国籍は次のように分かれる。
 【胎児認知】出生前に父から認知された場合は、出生時に日本人の父がいることが分かっており、日本国籍

 【生後認知→結婚】出生後、父母が法律上の夫婦となった時点で届け出れば日本国籍が取れる(準正子)

 【生後認知で非婚】国籍法上、日本国籍取得は認められない


日本経済

国籍法規定は違憲、東京地裁が初判断――母が外国人、非嫡出子に日本籍 (日本経済 2005/04/14朝刊, 1ページ)

 内縁関係にあるフィリピン人女性と日本人男性の間に生まれ、男性から生後に認知を受けた関東地方在住の男児(7)が「両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めないのは不当」として日本国籍の確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁(鶴岡稔彦裁判長)は十三日、「国籍法は法律上の夫婦の子と婚姻届を出していない男女間の子(非嫡出子)の間に不合理な区別をしており、法の下の平等を定めた憲法に違反する」として、男児の日本国籍を認めた。(関連記事を社会面に)

 原告代理人によると、国籍法の規定を違憲と認めた判決は初めて。

 判決理由で、鶴岡裁判長は「我が国との間に国籍取得を認めるに足りる結びつきが存在するかどうかを、日本国民である親と認知を受けた子を含む家族関係や共同生活の成立で判断することには一応の合理性が認められる」と述べた。

 しかし「家族関係や共同生活は法律上の婚姻関係がある場合にだけ営まれるものではなく、法律婚かどうかで国籍取得の可否を区別することに何らの合理性も認められない」と指摘。外国人母が出産した子を日本人の父親が認知した場合に、法律上の婚姻関係がある場合に限って日本国籍取得を認める国籍法の規定は違憲と判示した。

 そのうえで、原告の男児と両親には「完全な同居ではないが、家族としての共同生活と評価できる関係が成立している」として、男児の日本国籍取得を認めた。

 判決によると、男児の母は一九九二年に来日して日本人男性と知り合い、男児を出産。男児は九九年に認知されたが、国籍取得は認められなかった。


国籍認定判決――事実婚の実態重視、同様の事例、全国で100件、迫られる法見直し (日本経済新聞 2005/04/14朝刊, 43ページ)

 外国人の母親から生まれ、日本人の父親が生後に認知した子について、父母に法律上の婚姻関係がなくても日本国籍を認めた十三日の東京地裁判決は、日本で生活し、同種訴訟を起こしている家族にとって朗報といえる。判決は婚姻関係のない父母の子すべての国籍取得を認めたわけではないものの、違憲とされた国籍法の見直し論議が高まりそうだ。(1面参照)

 国籍法では、母親が日本人の場合、子は出生と同時に日本国籍が付与される。一方、母親が外国人で父親が日本人の場合でも、胎児段階で父親から認知されれば国籍を取得できるが、出生後の認知では、父母が法律上の婚姻関係にあることも要件になる。

 生まれた子には責任はないのに、両親の関係や手続きの時期などによって扱いに区別が生じており、十二日にも生後認知を受けたフィリピン人女性の子ども九人が日本国籍の確認を求める集団訴訟を東京地裁に起こしたばかり。原告代理人の弁護士によると、同様に国籍取得を求めている例は全国で百件以上に及ぶという。

 この日の東京地裁判決は「価値観が多様化している今日、法的に結婚している家族だけを正常と評価することは困難」として、法律上の婚姻関係になくても、いわゆる「事実婚」など内縁関係のカップルの子の国籍取得に門戸を広げた。

 今回の原告のケースは日本人男性が生活費を提供していたほか、運動会など保育園の行事に積極的に参加していたことなどを評価し「事実婚」と認定した。

 一方で、判決は法律婚でない両親と子どもの間に共同生活が成立していない場合は「内縁関係とは類型的な差があり、国籍取得を認めなくても違憲と断じる根拠はない」とも指摘。あらゆるケースに国籍取得を認めたわけでは決してない。

 ただ最高裁が二〇〇二年十一月に下した同種訴訟の上告審判決では、五裁判官のうち二人の裁判官が、判決に影響しない補足意見としてではあるものの、父母の婚姻を要件とする国籍法の規定を「違憲の疑いが濃い」と指摘した。

 この日の地裁判決も「立法論の問題」と断りながらも、「父母の間に事実上の婚姻関係が成立していない場合でも、一定の要件の下に国籍取得を認めることは考えられないではない」とも指摘している。

 国際化の進展で、アジア地域を中心にした人的交流が今後さらに進むことは間違いない。一九八四年に改正された現行の国籍法の規定が適当かどうか、改めて見直しが必要な時期に差しかかっているといえそうだ。

 法務省民事局の話 主張が認められず残念。判決文を検討して今後の対応を考えたい。

【図・写真】判決後、記者会見する原告側弁護団(13日午後、東京・霞が関の司法クラブ)

国籍認定判決――原告側の弁護団会見、「とにかくうれしい」 

 男児の日本国籍を認めた東京地裁判決を受け、原告弁護団は十三日午後、東京・霞が関の司法クラブで記者会見し「国籍法を違憲とした勇気ある判断で感謝している。父親も喜んでいる」と高く評価した。

 原告の男児や両親は法廷に来なかったため、山口元一弁護士が判決後、父親に電話連絡。「日本国籍が取れましたよ」と報告すると、父親は「とにかくうれしい」と喜びの声を上げたという。

 山口弁護士は「似たような境遇にありながら、日本国籍を認められない子は多い」と判決の意義を指摘。ただ「今回のケースの特殊性を考慮した面もあると思う。すべての子に国籍取得の道が開かれたとはいえない」と慎重な見方も示した。


Japan Times

DAD'S RECOGNITION BEFORE BIRTH OUTDATED
Court hits Nationality Law restrictions (Japan Times 2005/04/14)

It is unconstitutional for the government to refuse Japanese nationality to a 7-year-old boy of Japanese-Philippine parenthood born out of wedlock and later recognized by his Japanese father, the Tokyo District Court ruled Wednesday.

It is the first time a court has ruled that a provision of the Nationality Law violates the Constitution, lawyers for the plaintiff said.

The boy's mother filed the lawsuit seeking to confirm that her son had the right to obtain Japanese nationality.

"It is unreasonable not to grant Japanese nationality for the reason that his parents are not married," presiding Judge Toshihiko Tsuruoka said in his ruling.

"The Nationality Law, which distinguishes between children of legally married parents and children born out of wedlock, violates the principle of equality before the law as ensured by the Constitution," Tsuruoka said.

Under the Nationality Law, a child will be given Japanese nationality if either of the parents in a legal marriage is Japanese. A child born to a Japanese father and non-Japanese mother can therefore obtain Japanese nationality if the parents are married.

A child born out of wedlock can still obtain Japanese nationality if the father acknowledges the child before birth, but not if the child is recognized after birth.

Tsuruoka said that given today's diverse values, it is difficult to say that a normal family is only one in which the parents are legally married, and that making a distinction on the issue of acquiring Japanese nationality based on the parents' legal relationship is unreasonable.

Genichi Yamaguchi, one of the lawyers, told a news conference that the boy's father said he was happy upon hearing the news.

"It was a courageous ruling," Yamaguchi said, adding that the lawsuit was important because it concerns the "identity" of the boy, who is now in elementary school.

According to the court, the mother arrived in Japan in 1992 and she and the father, who was married at the time, became acquainted. The woman gave birth to the boy in 1997 and the father filed official recognition papers in 1999.

The mother filed a request with the Justice Ministry's Legal Affairs Bureau to obtain Japanese nationality for her son in February 2003, but this was denied.

The boy and his mother live in the Kanto region.

The father continues to live with his Japanese family and visits the boy and his mother regularly on weekends. The father also participated in his son's school activities when the boy was in kindergarten.

"(The boy, his mother and the father) do not live together in full form, but it can be established that they live as a family since they stay in close contact with each other," the judge said.


Kids born, fathered here by Japanese sue state for recognition as citizens (Japan Times 2005/04/13)

By MASAMI ITO
Staff writer

A lawsuit was filed against the government Tuesday on behalf of nine children born in Japan to Japanese fathers and Filipino mothers who are seeking to be recognized as Japanese, according to their lawyer.

(Photo) Masami (right) displays her Philippine passport as her mother, Rossana, shows the Japanese passport of the girl's younger sister at a Tuesday news conference in Tokyo.

The children, aged 5 to 11, have lived their entire lives here and speak only Japanese. While all of them are legally acknowledged by their fathers, none of their parents is married.

"Forms of families and parent-and-child relationships are diverse," lawyer Hironori Kondo told a news conference after the suit was filed. "These children should be given Japanese nationality by nature."

According to the Nationality Law, parents must be married and a Japanese mother or father must legally acknowledge his or her child before the child can be recognized as Japanese.

Only if a Japanese father legally recognizes his child before the child is born, is the child granted Japanese nationality regardless of the marital situation.

One of the plaintiffs, 7-year-old Masami, is considered Filipino. But her younger sister, born to the same father, is considered Japanese.

Their father only recognized Masami as his after she was born, while her younger sister was acknowledged before birth.

"I would be very happy if I had the same nationality as my sister," Masami told the news conference.

Masami's mother, Rossana, said: "How do you tell your children that they are sisters with the same father but have different last names and nationalities? When I gave birth to (Masami), I thought that if (she) was born in Japan, (she) would be given Japanese nationality."

The plaintiffs and their mothers have permanent residency in Japan as Filipinos.


Refugee status hit

HIROSHIMA (Kyodo) The government has appealed a court ruling that approved refugee status for a 33-year-old Afghan man, government officials said Tuesday.
The appeal, filed with the Hiroshima High Court, argues that the state sees a problem in the March 29 ruling by the Hiroshima District Court that declared Abdul Aziz a refugee, according to the Justice Ministry's Immigration Bureau.


Associated Press

Tokyo court rules citizenship law unconstitutional (AP 2005/04/13)

TOKYO (AP) A Tokyo court ruled Wednesday that a law denying citizenship to children of unmarried foreign mothers unless their Japanese fathers recognize them before they are born is unconstitutional, a court official and news report said.

Tokyo District Court ruled that a child born out of wedlock to a Japanese father and a Filipino mother had been illegally denied citizenship under the law because it violates a constitutional right to equality, Kyodo News agency reported.

Japan's constitution says "all people are equal under the law" and forbids discrimination "in political, economic or social relations because of race, creed, sex, social status or family origin."

Japanese citizenship is based on blood, not birthplace.

"In an age of diversifying values, it is hard to say the only normal families are those in which the parents are married," wrote Judge Toshihiko Tsuruoka in his decision, Kyodo reported. "It is unreasonable to approve or deny citizenship purely because of a legal relationship."

A district court spokesman, speaking on condition of anonymity, confirmed that the court ruled the child is a Japanese citizen. He declined to elaborate on the decision.

The Filipino mother came to Japan in 1992 and gave birth to a baby whom she conceived with a married Japanese man in 1999, Kyodo said. The father is still married to his Japanese wife but visits the child and her mother regularly, the report said.

The ruling came one day after nine children born to unmarried foreign mothers and Japanese fathers filed a joint lawsuit at Tokyo District Court demanding that they be recognized as citizens.


社説・コラム・意見


EDITORIAL
Human rights transcend nationality (Japan Times 2005/04/27)


筆洗  (東京新聞 2005/04/15朝刊)

 いかにも響きの悪い法律用語に「非嫡出子」がある。「婚外子」ともいう。結婚していない両親の間に生まれた子をいうのだが、東京地裁がその非嫡出子の国籍取得を認めない国籍法は憲法違反とした

▼父親は日本人で妻子があるが、フィリピン人女性との間に男児をもうけ、認知もした。しかし「父母の婚姻と認知」を条件とする国籍法三条の規定によって、日本育ちで七歳になった男児の日本国籍取得は認められていなかった

▼判決は、両親は内縁関係ではあるが、父親が母親宅に宿泊、幼稚園の行事にも参加するなど「家族としての共同生活に値する」と認め、伝統的な家族観にこだわらない考えを示す

▼ほかにも日本人の父とフィリピン人の母を持つ子九人が同様の訴訟を起こしているが、父親との関係が破綻(はたん)している場合も多く、母親たちは両親が不仲の場合も認めてほしいと期待する。判決はこれらの場合も「一定の要件のもとに認めることは立法論の問題」と踏み込んでいる。子ども自身に責任のない事情で差別を受ける不合理を否定する心ある判決である

▼一方、東京高裁は同じ日、不法滞在で強制退去処分を受けた長野県佐久市のフィリピン人一家六人の処分取り消し訴訟で、一審が認めた十六歳の長女の在留も取り消し、全員の請求を棄却した

▼日本で生まれ育った長女に対し、裁判長は「環境の変化に順応できる年齢で帰国後の困難を乗り越えることが難しいとはいえない」と判断した。子ども自身に責任はないのに、あえて困難を課そうという心ない判決である。


社説:国籍規定違憲判決 時代に法がそぐわない (中国新聞 2005/04/15朝刊)

 司法の判断は、形式的な法の規定よりも、家族としての「父子関係」の現実に目を向けた。人間味のある判決ともいえる。

 フィリピン人女性と日本人男性の間に生まれ、生後に認知を受けた関東地方の小学二年の男児(7つ)が、日本国籍の確認を求めた訴訟である。「両親が結婚していないことを理由に国籍を認めないのは不当」と訴えていた。東京地裁は今の国籍法について、「法律上の夫婦の子どもと、婚姻届を出していない男女間の子ども(非嫡出子)の間に不合理な区別をしており、法の下の平等を定めた憲法に違反する」と判断した。

 国籍法の違憲判決は初めてだが、世の中が国際化し、多様化している昨今だ。婚姻以外の家族の形が増える時代に、法の規定そのものがそぐわなくなっている「古さ」を指摘したのではないか。

 男児は、来日した母親が既婚者の日本人男性と知り合って生まれた。二年後に認知され、二〇〇三年二月に法務局に国籍取得を届けたが受け付けられず、確認を求めたわけだ。

 国籍法は実に複雑だ。取得を区別した規定では、父親が日本人、母親が外国人の間に生まれた子どもは、父母が結婚していれば日本国籍を取れる。婚姻関係にない非嫡出子も、胎児の時に認知されれば取れるが、出生後の認知ではだめとされる。

 この規定をどうみるか。裁判長は「両親が法的に結婚している家族だけが正常と評価するのは困難」とし、「国籍取得の可否を親の法的関係だけで区別できない」と厳しく認定。内縁関係であっても要件があれば国籍を認めるべき、との判断である。要件とは家族としての実態だ。

 弁護士によれば男児は日本の小学校に通い、父親も運動会などに熱心に顔を出し、結び付きは深い、という。その親子関係を考えれば、当然の判決とも思える。

 法律は厳密なものだが、時代に合わなければ判断の基準になりにくい。国籍法は一九五〇年七月に施行された法律である。問題の規定も五十五年間そのままだ。そうした点への司法の疑義があったのだろうか。

 二年半前に最高裁で判決があった同様の親子関係の国籍取得訴訟で、裁判官五人のうち二人が補足意見で「憲法違反の疑いが濃い」としたのも、その表れではないか。今回の地裁判決はこの流れを反映した判断でもあろう。

 こうした婚外子や外国人らに対するさまざまな差別に対しては、〇四年二月、国連「子どもの権利委員会」からも政府に「法律や規制から差別を撤廃するよう法改正を」との勧告が出されている。しかし改正に結び付いていないのが現実だ。

 まして国籍に関しては、多くの自治体で外国人に対する「国籍条項」の適用が残り、公務員の昇進などの大きな壁になっている現実もある。

 国内では今月中旬、この訴訟と同様の環境にある子ども九人が同地裁に集団提訴した。家族にはそれぞれ事情もあり、今回の判決がそのまま適用される訳ではない。しかし多くの民法規定にもみられるように、時代に即した規定なのか否か。今回の判決を、法の見直しも含めた議論のきっかけにしたい。


社説:国籍法 子どもの権利は平等に (朝日 2005/04/15朝刊)

 国籍って、何だろう。親のどちらかが日本人であれば、日本の国籍を持つことができる。ところが、日本人の親から生まれた子でも日本国籍を持てない場合がある。

 そんな法律の不備は憲法違反だ、とする判決が東京地裁であった。

 訴えていたのは、フィリピン人の母親と日本人の父親の間に生まれた7歳の男の子だ。父親は別に妻子があり、男の子はいわゆる婚外子である。生まれて2年後に、自分の子だと父親が認知した。ところが、法務局は日本国籍を認めなかった。

 国籍法では、出生の時に父か母が日本国民であれば、その子は日本国民とする、と定められている。生まれた後に認知したのでは、出生のときに父が日本人だったことにならない。だから、子どもには日本国籍を与えられない。それが役所の解釈だった。

 生まれた後の認知でも、両親が結婚すれば子どもは国籍を得られるという条文もある。だが、今回の場合、父母は結婚していないので、あてはまらなかった。

 東京地裁は、父母が法律上の結婚をしていないというだけで、認知された子が国籍を得られないのは法の下の平等に反すると判断した。

 結論は妥当だ。現代の結婚はさまざまな形がある。事実婚の国会議員カップルさえいる。政府の統計によると、日本で生まれる子の50人に1人は婚外子だ。

 だが、判決にはひとつ疑問がある。内縁関係の実態があるのを国籍を認める理由にしたことだ。この父親は週末に母と子の家に泊まり、幼稚園の行事にも参加していた。しかし、例えば、数カ月に1回しか来なかったり、認知しても養育費を払わなかったりした場合は、国籍を認めないのか。あいまいさが残る。

 ここは、生まれた後の認知であっても国籍を認めるように国会が法律を改正すべきだ。認知が出生前だろうと出生後だろうと、父親が日本人であることに変わりはない。国会がすぐに対応できなければ、当面、最高裁が司法の場で、こうした子どもたちの人権を守るべきだ。

 法務省は国籍を得るための偽装認知を招くと反論しているが、そのときは国籍を取り消せばよい。

 婚外子に対する差別をやめようという動きは様々な場で強まっている。

 民法では法定相続分が法律上の夫婦の子の半分だ。この差別をなくそうという改正案を先月、野党が国会に提出した。

 婚外子が戸籍の続き柄の欄に「男・女」と書かれるのはプライバシー権の侵害だ、と東京地裁は昨年、判断した。これを受けて、法務省は「長女」「二男」などと書くよう規則を変えた。

 日本が批准している子どもの権利条約では、国は子どもの出生による差別をしてはいけないと定められている。人と人とのつながりが国際的になり、家庭のあり方も多様な時代である。それに合うように、法律も変えなければならない。


社説:国籍法違憲判決 子の地位を国会が考える番だ (毎日 2005/04/15朝刊)

 子供の立場や法的地位を重視する画期的な判断だ。国籍法の規定を法の下の平等を定める憲法に違反すると断じて、妻子ある日本人の男性とフィリピン人の女性との間に生まれた男児に日本国籍を認めた東京地裁判決。嫡出子と非嫡出子の区別に合理的な理由がない、とした指摘は、国籍問題に限らず、最近の社会の要請にもかなった普遍的原理だろう。

 国籍について日本は、生地主義の米国などと異なり、血統主義をとっているため両親の一方が外国人の場合にあいまいさが生じる。もともと父親が日本人の場合に限って日本国籍を取得させていたが、国際結婚の増加などを背景に84年、母親が日本人の場合も出生と同時に与えられるように改正された。その後、非嫡出子でも妊娠中に日本人の父親が認知した場合、誕生後に両親が結婚した場合には日本国籍を認めていた。

 判決は非嫡出子の国籍取得の要件に、日本国民との法的な親子関係に加えて、親と家族関係や共同生活が成立して日本国と一定の結びつきがあること−−を掲げた上で、「価値観が多様化している今日、父母が法的に結婚している家族だけが正常と評価するのは困難」と述べ、親の法的関係で国籍取得の可否を区別する国籍法の規定を違憲と結論づけた。最高裁は02年、同種の国籍確認訴訟で原告の訴えを退ける判決を下したが、5人中2人の裁判官が補足意見として同じ規定を「違憲の疑いが濃い」と指摘していた。今回はそれを一歩進めた判断で、社会情勢の変化などを勘案したものだろう。

 判決には異論の余地もある。重婚的内縁関係を正常な家族関係と同列に論じたとも受け取れる点に対しては、倫理面や正妻とその子供への配慮の視点を欠く……といった批判が出るかもしれない。両親が結婚しているかどうかで子供の地位を区別するのがおかしいとするなら、両親が共同生活をしているかどうか、を国籍取得の可否基準にしたことに疑問が残る。現実問題として、共同生活の実情を調査するのは困難だろう。

 フィリピン人女性と日本人男性との間に生まれた子供は、両国に数万人もいるという。多くは両親の関係が破たんし、認知も受けられないでいるのが実情だ。男性の不誠実さが悲劇を招くケースも目立ち、日本人全体の責任を論ずる国際世論も軽視できない。せめて認知を受けた子供には、国籍取得の門戸を広げるべきではないか。

 もはや司法で解決すべき問題ではない。立法府の国会が、時代の変化に対応する改善策を練り、法整備を進める必要がある。最高裁の補足意見も踏まえ、下級審の判断とはいえ、違憲とされた国籍法を早急に見直さねばならない。

 判決は「民法の局面とは事情が異なる」と断っているが、嫡出子と非嫡出子の区別を認めないとの判示は重要だ。非嫡出子の法定相続分を嫡出子の半分としている民法の規定も、これを機に改正を検討すべきだ。少子化対策としても、非嫡出子を差別する規定や考え方は障害以外の何ものでもない。


【主張】国籍法 多くの問題提起した判決 (産経 2005/04/15)

 結婚の形態で国籍取得を区別するのは法の下の平等を定めた憲法一四条一項違反だ、として国に日本国籍の確認を求めた行政訴訟で、東京地裁は「違憲」との明白な判断を下した。

 一審判決とはいえ、国籍法の規定を違憲と断じた判決は初めてだけに、その影響は大きい。今回の判決は、家族の多様化など現代の時代背景を強く配慮しているが、判決内容を検討すると違和感を覚える。

 この行政訴訟は、婚姻関係のない日本人男性の父とフィリピン人の母との間に生まれ、生後父から認知された小学二年の男児(7つ)が「両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めないのは不当だ」と訴えていた。

 わが国の国籍法は、もともと、日本人が父親の場合にのみ日本国籍を取得できるとされていた。しかし、その後、国際結婚の増加など国際化に伴い、昭和五十九年に母親が日本人の場合も出生と同時に日本国籍が与えられるよう改正された。国籍法も、いわばその時代にマッチした法律に改正されたと評価できる。

 また、出生後、父母が法律上の夫婦となった時点で届け出れば、日本国籍が取れる。しかし、今回のケースのように生後認知しても結婚していなければ国籍法上、日本国籍は取得できないと規定されている。

 勝訴した男児の父は、すでに日本人の女性と結婚しており、フィリピン女性とは結婚できないという事情がある。出生後認知した「日比の内縁の子供」に日本国籍取得の権利があるかどうかが最大の争点だった。

 判決は「価値観が多様化した社会では、父母が法律上婚姻していないからといって、正常な共同生活を営んでいないというのは困難である」とし、「一定の要件の下であれば内縁関係で生まれた子にも国籍取得を認めるべきである。法的関係に限定しているのは誤りだ」と踏み込んでいる。家族の複雑化、多様化が現実だとしても、これは釈然としない。

 今回の東京地裁違憲判決は、結婚とは何かや、内縁関係、家族形態のあるべき姿など、多くの問題点を提起したのではないか。国籍法改正の是非なども含め幅広い論議を国民に投げかけたといえる。


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子の国籍認定、結婚形態で区別は違憲  - TransNews