非嫡出子相続分差別についての問題
平成17(2005)年度司法試験第二次試験 短答式試験問題(憲法)より

問題全文(法務省のサイト) 正解(下記)


〔No. 5〕 非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定を合憲と判断した最高裁判所平成7年7月5日大法廷決定(民集49巻7号1789頁)における裁判官の見解には,以下のAからCの命題が含まれる。後記の文章群のアからカまでの文章とAからCまでの命題との間の整合性について述べた1から5の記述のうち,正しいものはどれか。

 A 前記規定は,合理的理由のない差別とはいえず,憲法14条第1項に反しない。
 B 前記規定の合理性に疑問があるとしても,これに対処するには本来立法によるべきであって,違憲を宣言すべき段階には至っていない。
 C 前記規定による差別に合理的根拠はなく.憲法第14条第1項に違反する。

 【文章群】

ア 憲法第14条第1項は 国民に対し法の下の平等を保障した規定であって,同項後段列挙の事項は例示的なものであり,この平等の要請は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,差別的な取扱いをすることを禁止する趣旨と解すべきである。
イ 法律が制定された当時には立法目的が合理的でありその目的と手段が整合的であると評価されたものであっても,その後の社会の意識の変化,諸外国の立法のすう勢,国内における立法改正の動向,批准された条約等により,現在においては,立法目的の合理性,その手段との整合性を欠くに至ったと評価されることはあり得るのであって,その合憲性を判断するに当たっては,制定当時の立法目的だけではなく,その後に生じている立法の基礎をなす事実の変化等をも加えて検討されなければならない。
ウ 相続制度は社会の諸条件や親族各人の利益の調整を考慮した総合的な立法政策の所産であって,これをどのように定めるかは立法府の裁量にゆだねられているが,この裁量には限界があり得る。
エ 民法が法律婚主義を採用している以上,法律上の配偶者との間に出生した嫡出子の立場を尊重する前記規定の立法理由にも合理的な根拠があるというべきであり 前記規定が非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1としたことが,前記立法理由との関連において著しく不合理であり,立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものということはできない。
オ 前記規定の合理性の判断は,財産的利益に関する事案におけるような単なる合理性の存否によってなされるべきではなく,立法目的自体の合理性及びその手段との実質的関連性についてより強い合理性の存否が検討されるべきである。
カ 本件の被相続人は,女性が戸主になれなかった時代に婿養子を選ぶため試婚を繰り返すことを余儀なくされた女性であり,本件は,この度重なる試婚の過程で,事実婚により生まれた非嫡出子と,その後に成立した法律婚から生まれた嫡出子間の遺産分割の事案である。前記規定の憲法適合性の審査においては,前記のような事実関係の特殊性は重視されるべきではない。

1.アは,AからCまでの全ての命題と整合するが,カは,Bの命題と整合しない。
2.イは,AからCまでの全ての命題と整合するが,ウは,Aの命題と整合しない。
3.ウは,AからCまでの全ての命題と整合するが,エは,Cの命題と整合しない。
4.力は,AからCまでの全ての命題と整合するが,オは,Cの命題と整合しない。
5.オは,A,Bいずれの命題とも整合せず,カは,B,Cいずれの命題とも整合しない。


正解:3 (法務省発表

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