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男女共学/別学問題

last edited 2004/04/01


日本国憲法第14条第1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

日本国憲法第26条第1項
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

教育基本法第3条第1項 (教育の機会均等)
すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。

教育基本法第5条 (男女共学)
男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。


教育基本法

学校教育法

「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)
Convention on the Rights of the Child

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女性差別撤廃条約)
Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women
(CEDAW)


ニュース・記事
News & Articles


河北新報 2004/03/30

考える視座 公立高の共学・別学(12完)/投書から

理想求め意見多彩/それぞれの視点で語る

 幾つもの視点やキーワードに沿う形で、公立高校の男女共学と別学の問題を考えた連載「考える視座」には、読者からさまざまな意見が寄せられた。「税金で運営される公立高が男女を振り分けるのはどうか」と共学を支持する声、「別学自体が誇ることのできる教育文化だ」とその特色を強調する声など、意見は多岐にわたった。投書の一部を紹介する。

<高校の性格に着目>

 「宮城、特に仙台の共学化反対論には変なエリート意識があるような気がする」とつづるのは、福島県内の女子高OGという仙台市若林区の主婦(36)。母校は2003年度に共学となった。

 「親しんだ校名や校歌がなくなるのはとてもつらい」としながらも、「高校は卒業生のものではなく、いま高校にいる生徒、さらにこれから高校に入ろうとする世代のものだと思う」と先を見据える。その上で「税金で運営される学校に男女の振り分けがあるのは、やはり問題」と、公立高の性格に目を向けている。

 札幌市から昨年、仙台市に移ってきた泉区の主婦(48)は「宮城県の公立高が共学でないことに、ちょっとカルチャーショックを感じた」との電子メールを寄せた。「小中学校が共学で、高校は別学というのは流れにそぐわない気がする。男女が交ざり合っている状態が自然だと考えるのは単純すぎるでしょうか」と、別学に疑問符をつける。

<将来を見据え選択>

 連載3回目に登場したスペイン人ビセンテ・ルナさん(35)は「公立の学校は、性別で入学できるかどうかを分けてはいけないと思う」と訴えた。その意見を「極めて示唆に富んだ適切な指摘」と評価するのは名取市の団体職員男性(70)。「別学に固執せず、これからの社会を見据えて選択してほしい」と述べる。

 仙台二高卒という40代の男性は「男女が目標や悩みを共有し、協力し、また議論しながら向上することが、高校教育における理想の姿だと思う」との便りを寄せた。

<変容惜しむ卒業生>

 一方、「宮城の別学は他県に誇ることのできる教育文化だ」と言い切るのは、仙台市太白区の司法書士の男性(55)。

 「男らしさ女らしさを磨かずに、個性の確立はあり得ない。男の集団、女の集団で学ぶ別学には、共学にない効能が期待できると思う」「公立高は共学も別学もそれを支持する県民の需要割合に応じて存在を認め、互いに競わせるべきだ」と持論を展開する。

 福島市の福島女子高(現・橘高)を卒業し、現在は白石市で陶芸教室を主宰する女性(52)は「歴史も伝統も実にあっけなく崩れた。男女別学はそれほど時代錯誤か」と母校の変容を惜しむ。「私たちの学校がなくなってしまった」などと、思い入れの強さがにじむ。

 併設型中高一貫校として、05年度に共学化される古川女子高を卒業したばかりの女性(18)は「母校の名前が変わってしまうことには、私も友人たちも残念な気持ちでいっぱい」と書く。ただ「今の学校に誇りを持っているので、校名が変わっても応援していきたい」と前向きだ。

 「共学も別学もそれなりに意義のある教育方法」とするのは仙台市青葉区の無職男性(61)。「いろいろな種類の学校があり、その中から希望に合った学校を選べるよう工夫することこそ大切」とつづっている。

【写真】2003年度に共学となった福島市の橘高。購買部で昼食のパンを求める列に、男子が交じる光景も当たり前になった


河北新報 2004/03/23

考える視座 公立高の共学・別学(11)/転換(私立高)

目立つ柔軟な対応/少子化見据え積極姿勢

 学科の改変やコース制の導入などに合わせて、共学化に踏み切る私立高校が増えている。背景にあるのは中学校卒業者の大幅な減少だ。教育内容を充実させながら共学化によって高校の門戸を広げ、一定の生徒数を確保したいという点で、関係者の思惑はほぼ共通している。経営に直接結び付く問題だけに、その取り組みにも公立高とは違った切実さがある。

<性差の意識持たず>

 仙台市泉区の東北生活文化大高(旧三島学園女子高、生徒558人)に昨年春、初めて男子生徒が入学した。1年生274人のうち、男子は94人。5コースある普通科の保育、美術の2コース、それに商業科で受け入れた。

 今春から普通科進学コースにも男子が入れるようになり、全体で98人が入学する予定だ。

 鈴木衛校長(65)は、宮城三女高(仙台市太白区)など宮城県内の公立高校長も務めた。共学の仙台向山高(太白区)に長く勤務した経験から、男女が共に学ぶことの良さを体験的に語る。

 「校内行事や生徒会活動で、男子も女子も性差の意識を持たずに、真剣に取り組むのがいい。男女平等の成熟した社会を目指すとき、共学はその初歩になる」。しかし、共学化は中身の濃い教育の実践が伴わないと駄目―というのが持論だ。

<定員割れに歯止め>

 「共学化の背景に、少子化で女子の絶対数が減ることがあるのは否定できない」と鈴木校長。私立高には、建学の精神を後世に伝えながら人材を育てる義務があるため、各学年五クラス程度の生徒がいることが、経営的にも望ましいという。

 福島市の福島成蹊女子高(生徒749人)は、4月から普通科(定員300人)のうち、特別進学クラス80人の中で男子生徒を受け入れる。校名も「福島成蹊高」に改め、将来は全校の共学化も検討する方針だ。

 成田努校長(65)は共学実施の理由を「本気で進学に力を入れる私学として名乗りを挙げるには、男子を入れるべきだと考えた」と説明する。金子昭七教頭(57)も「従来は女子教育が柱だったが、今後は広く地域のリーダーになれる人材の育成という意味で、地域に貢献したい」と前向きだ。

 同校では昨年春まで、4年続けて定員割れが続いたが、今春の入試では全体の応募者が前年より350人増え、1180人になった。学校関係者は「共学化が奏功した」とみている。

<選択肢増やす動き>

 日本私立中学高校連合会(東京)によると、全国で共学の私立高は793校(昨年)、2001年5月時点の737校より56校増えた。宗教系の高校以外、別学は減っている。

 この数値について同連合会は「『学齢人口』の減少が大きい」と分析する。減る傾向に対応し、改変やコース制導入によって従来の学科を発展的に解消させ、生徒が高校を決めるときの選択肢を広げようとする動きとほぼ同じ、という見方だ。

 先の成田校長は「何十年も続いた女子高に男子を受け入れるのは、ものすごく勇気がいる」と話す。同窓会やPTA関係者、在校生らに方針を説明、理解を得るといった努力も、共学化方針を示された公立高と変わらない。ただ、それをどう判断するかという点で、私立高ならではの柔軟さがあるのも確かなようだ。

<メモ>東北生活文化大高の「建学の精神」は「励み・謹み・慈み」。福島成蹊女子高の教育目標は「人間を大切にする人間を育成する」。どちらも共学化に合わせて改める予定はない。

【写真】男子と女子が共に学ぶ東北生活文化大高・美術コースの特別講座=仙台市泉区


河北新報 2004/03/16

考える視座 公立高の共学・別学(10)/維持(埼玉)

反対運動広範囲に/保護者巻き込んだ展開

 埼玉県では2002年3月から1年にわたり、県立高校の「共学か別学か」をめぐる大論争が起きた。共学化の検討対象となったのは、大半が全国的にも知名度の高い伝統校。論議の末に県の教育委員会が下した判断は「当面は、現状を維持することとする」だった。共学化を進める動きが全国的に主流となる中で、こうした決着に至った背景には何があったのか。

<県へ早期実現勧告>

 始まりは02年3月、弁護士と大学教授らで構成する「県男女共同参画苦情処理委員」が県教委に出した勧告だった。「公立の高校として、男女の性差にとらわれることなく、個人の能力・個性を発揮していくため、男女別学校の共学化を早期に実現する必要がある」

 埼玉は、全国に先駆けて男女共同参画推進条例を制定した県だ。苦情処理委員はこれに基づき、必要な際に県の施策に対して助言などをする。そうした申し立ての中で、「勧告」は最も強い。

 福島や宮城のように、県が「00年度までに別学校を共学化する」と初めに目標を示したわけではなかった。市民団体「共学ネット・さいたま」代表の秋山淳子さん(65)は「トップダウンの形で共学化方針が示されていたら、違う展開になったかもしれない」と語る。

<現役生徒も加わる>

 埼玉の県立高155校のうち、別学は浦和、浦和一女、春日部、川越女子など14校。高い進学実績を挙げているエリート校が目立つ。

 勧告後、県教委は別学校の将来について各校長から直接意見を聞いた。県内の公立中校長には共学に関するアンケートを実施。ただ、県民の声を広く聞く会、意識調査などは行われていない。

 この問題を審議する教育委員会は03年2月から3月にかけて5回開かれたが、実質的に審議が行われたのは、このうち2回だけだった。

 伝統校の共学化に対しては、他県と同様に同窓会関係者の動きが目立った一方、現役の生徒とその保護者たちも反対運動に加わって大きなうねりを起こした。県教委高校教育課は「保護者を巻き込んだことが大きかった」と漏らす。秋山さんの見方もほぼ同様だ。

 「画一的共学化は反対」とする約27万人の署名を集めた「共学と別学高校の共存を願う県民の会」代表の岩渕均さん(56)は「先生、生徒、保護者、同窓生といった学校関係者が自ら共学を選択したのならいいが、埼玉の場合はそうではなかった」と振り返る。

<少子化のあおりも>

 ただ、人口密度の高い都市が多い埼玉も、少子化と無縁ではない。別学校14校のうち、女子高2校は05年度に再編されて学校そのものがなくなる予定だ。県教委関係者も「ほかにも共学にしていこうという高校が、幾つかは出てくるだろう」と予測する。

 同県の03年の中学校卒業者は6万8384人。1989年は11万5584人だった。推計によると、今後は6万2000人から6万7000人台で増減を繰り返し、7万人を超すことはない見込みとなっている。高校の再編は避けられないとみられ、その辺も見極めた政策展開が今後は求められそうだ。

<メモ>2004年3月現在、埼玉県立の別学校は浦和、浦和一女、春日部、春日部女子、熊谷、熊谷女子、川越、川越女子、松山、久喜、鴻巣女子、行田女子、秩父東、松山女子の14校。このうち行田女子と秩父東は05年度に他校と統合され、共学になる予定。

【写真】別学校に通う現役の生徒たちが、共学化反対を土屋義彦知事(当時)に訴えたことも=2002年10月、さいたま市


河北新報 2004/03/09

考える視座 公立高の共学・別学(9)/前進(福島) 「共同参画」旗印に/広がり欠いた反対運動

「共同参画」旗印に/広がり欠いた反対運動

 保守地盤が厚いとされ、別学の伝統校が各地域で強い影響力を保ってきた福島県。その福島の県立高完全共学化(2003年度)には、他県では驚いた人々も多かったようだ。県教委はどんな思惑の下に共学化を進めたのか。受け入れた社会的背景には何があったのか。共学化を見据え、別学時代から男女平等教育を実践してきた高校の例も交えて流れを見る。

<91年に検討を開始>

 1通の文書が残る。1991年9月、福島県教委が県学校教育審議会に諮問した「生徒減少期における高等学校教育の在り方について」。この中の「課題」に、「より多くの学校で共学校化を進めることが可能かどうか検討する必要がある」との文言が出てくる。

 共学の検討が公式に始まったのはこの時だ。表題にある通り、福島でも宮城などと同様、少子化問題をにらんでいたことが分かる。

 県教委への答申は93年6月。そこには「男女共同社会が一層進行するなかで…共学校化を進めていく必要がある」と記されている。こうして、「男女共同参画社会の推進」を旗印に、94年度から順次、共学化は行われた。

<PTA巻き込めず>

 各校の同窓会はこれに強く反対した。磐城高と磐城女子高(当時)、安積高の同窓会は、「共学化の再考を求める請願」を、99年の県議会9月定例会に提出している。

 福島大名誉教授で、現在は福島学院短大で教える庄司他人男(たにお)教授(教育方法学)は「別学の伝統校を出た人が、それぞれの地元で要職に就くなどして有力者になり、母校を維持しようとする悪循環があった」と指摘する。

 ただ、福島の反対運動は同窓会主体で、生徒やPTAを巻き込んだ動きにまでは至らなかった。ある県教委関係者は「その点が宮城と違う」と言う。福島県議会が共産党を除くとオール与党体制のため、「トップダウンの政策が通りやすかった」と見る向きもある。

<男女平等に温度差>

 共学化の目標が男女共同参画社会の推進なら、「共に学ぶ」ことは通過点のはずだ。だが、男女平等などに関する教育の実践は、高校によって実際は温度差がある。

 福島市の橘高(旧福島女子高、君島整校長、生徒1033人)は、別学時代から共学化を前提に男女平等教育に取り組んできた。中心的役割を果たしてきた角田勝重教諭(60)は「個々人がそれぞれの自由意思で生き方を決められるのが平等な社会だが、女性にとっては必ずしもそうではなかった」と語る。

 具体的には(1)男女混合名簿の採用(2)進路指導で「男女特性論」などに基づいた指導をしない(3)男女別履修となる性別カリキュラムは原則として採用しない―など幅広い。「心の奥底にある性差へのバイアス(偏見)を少しずつ変えていきたい」と角田教諭は説明する。

 しかし、この取り組みは従来の女子高としての伝統を否定しているわけではない。福女高時代に入学した3年生が旅立った今月1日の卒業式。セレモニーの終了直後、2年生が「ぜひ福女の校歌も歌ってください」と提案し、3年生がむせび泣きながら歌うと、一段と大きな拍手が起こった。

 この段取りが決まったのは式当日の朝。「昔の校歌も歌いたいと望むのは自然な感情だ」との思いが、広く受け入れられていたためだった。共学化後の各校に求められるのは、そんな良い意味での柔軟さではないか。

◎福島県立の共学化高校と実施年度(ゴシックは旧女子高、<>内は新校名)

1994 富岡

1995 福島商、福島東

     福島西女<福島西>、須賀川(普通科)

     須賀川女<須賀川桐陽>

1996 郡山(英語科)

1997 白河、白河女<白河旭>

1998 郡山(普通科)、郡山女<郡山東>

2000 喜多方女<喜多方東>

2001 安積、安積女<安積黎明>

     磐城、磐城女<磐城桜が丘>

2002 会津、会津女<葵>

     若松女<会津学鳳>

2003 福島、福島女<橘>

     相馬(普通科)、相馬女<相馬東>

<メモ>福島県教委の調査では、同県の2003年の中学校卒業者数は2万5404人。小中学校の在籍者を基にした推計では、17年には2万60人に減る見通し。


河北新報 2004/03/02

考える視座 公立高の共学・別学(8)/少子化/東北大大学院教育学研究科

東北大大学院教育学研究科教授 水原克敏さん/一定の生徒数必要

刺激し合う機会が大事

 中学校卒業者の減少。いわゆる少子化は、地方での共学化問題を考える際、欠かせない視点の一つだ。東北大大学院の水原克敏教授は、再編によって一定の生徒数を各校に確保し、互いに交流して刺激し合うことの意義を説く。その上で「働く女性が、安心して子どもを育てられる社会を目指した『新しい学び』を、共学の形で実現させるべきだ」と提言する。

<「寺子屋」には難点>

 ―少子化が教育に及ぼす影響をどう考えるか。

 ◆高校では、定員を充足しない「定員割れ」が起こり、適正規模に再編しなければならないという問題が出てくる。

 その場合、人間的な触れ合いを大切にした、寺子屋のような学校を造る方法もあるが、難点も残るだろう。一定程度の人数がいないと、切磋琢磨(せっさたくま)する機会が減る。魅力的な教育カリキュラムを提供できる教員体制を整えるためにも、一定の人数のまとまりは必要ではないか。

 ―小学校ではかなり小さな分校もあるが、高校では、ある程度多くの人数がいる中で交流することが望ましいのか。

 ◆小学生なら自分の住む村ぐらいのレベル、中学生なら町レベル、高校生なら県レベルといったように、範囲を段階的に広げることが人間としての幅を広げる。高校時代は広い地域で異質な人と多く出会うのも大事だ。

<多様な授業を選択>

 ―学びたい教科をいろいろ選択できるカリキュラムを準備するためにも、一定の生徒数は必要だとの見方がある。

 ◆2003年度から高校で実施された新しい学習指導要領は、それぞれの学校に合った、選択できるカリキュラムの意義を強調している。「数学入門」「国際英語」「東アジア文化論」などの授業が考えられるだろう。こうした選択教科を多くつくるには、生徒数も教員数も適正な規模になっている方が、バラエティー豊かな授業を用意することができると思う。

 ―教員の実力を伸ばす意味でも、生徒数の「適正規模」があるという。

 ◆一定の数の生徒たちがいて、各教科の担当も複数そろっている方が、先生たちは緊張感を持ちながら授業を互いに批判したり、討論したりすることができる。

 最近は少子化で生徒数が減ったため、教員の補充が少なくなり、中堅教員がなかなか育たないという問題も出てきた。小中高で広範に見られる現象だ。年齢構成がきちんとした職場集団で、先輩や後輩に挟まれながら、いろいろなことを伝え合うのが望ましいのだが。

<「新しい学び」展開>

 ―少子化時代の中で、男女共学を進める意味をどうとらえているか。

 ◆子どもを持った女性が、働きながら損をせずに育児できる。そういう社会を目指した新しい学びを、高校時代から共学の形で展開していくべきだ。サークルや生徒会の活動を一緒にしながら、男性と女性が自然に協力し合う。そうした関係を青年期の学びを通じて経験することが、次の時代をつくっていくと思う。

<メモ>宮城県教委の調査では、同県の中学校卒業者数は1999年から減り続けており、2003年は2万6516人。03年5月1日現在の小中学校在籍者数に、社会的要因による増減を加味して推計すると、13年には2万2023人まで減少する見通し。

<みずはら・かつとし>宮城県柴田町出身。東北大大学院教育学研究科修了。東北大教育学部教授などを経て現職。専門は教育課程論。55歳。

【写真】「異質な人たちが加わるほど豊かになるような学校文化をつくれば、若者たちの資質も大きくなる」


河北新報 2004/02/24

考える視座 公立高の共学・別学(7)/制度

第二高等学校尚志同窓会常任理事 柴田克彦さん/将来見据え変革を
先人の苦労、無視は疑問

 学都仙台の象徴と称された第二高等学校(旧制二高)。その卒業生らでつくる尚志同窓会の常任理事柴田克彦さんは、戦後の学制改革による二高の東北大への合併を体験した。制度の変革に伴い「母校が姿を消す」ことの感覚を知る一人だ。その経験を踏まえ、宮城県の共学化方針に対しては「制度を変える際はこれから先のことをよく考えるべきだ」と慎重論を唱える。

<野球に打ち込めた>

 ―第2次世界大戦直後の教育、学校の状況をどう振り返るか。

 ◆戦時中は「天皇陛下のため戦争に行け」と強調していた先生たちが、「暴力は敵。もう民主主義なんだ」と言うようになった。その変化が信じられず、「こんな学校ならもういいや」と思い、通っていた仙台二中(現仙台二高)から別の中学にいったん転校した。

 二中に戻ってからは打ち込めるものを求め、野球に取り組んで、1947年夏の甲子園で準決勝まで進出した。宮城県内で一番練習した学校だろう。少し飛躍するが、男子校だから迷いもなく、真っ正面に進むことができたのだと思う。

 ―48年春、二高に進学したのはどんな理由からか。

 ◆民主主義に変わった世の中で、これからどうしたらいいのかを考えると結論を出せなかった。周りのみんなが二高に行く、それなら自分も行こうという感じだった。

<真面目な空気漂う>

 ―そのころの二高の雰囲気は。

 ◆年次が一つ違うだけでも、かなりとらえ方は異なる。ただ、私たちのころは価値観が大きく変わった時代だから、この辺で何かきちんとしようとする真面目な空気があった。目的がはっきりしている人と、それをこれから見つけようとする人と半々ぐらいだった。

 ―東北大に合併された時の状況は。

 ◆48年に二高に入った面々は、1年だけの在学で「49年修了」となった。私は東北大理学部に進み、最初は「第一教養部」に通ったが、これは二高の校舎をそのまま使い、先生方もほぼ引き継いでいた。50年卒業となる、二高の最後の生徒たちも同居していたので、彼らをうらやましく思ったこともある。

<別学の意義検証を>

 ―戦後の学制改革をどのように見ているか。

 ◆学制改革は全く問答無用の形で行われた。旧制高校をなくし、大学と一緒にしたことを反省する議論は、75年ごろになって多く出てきた。教育制度を変えるときは、その先のことまでよく考えないと駄目だ。

 ―宮城の共学化問題をどう考えるか。

 ◆共学に絶対反対ではない。だが、われわれの先人が戦後、いかに苦労して別学を残したのか、その真意に迫る必要がある。男性と女性、それぞれの特性を生かした教育のために別学を選んだ素晴らしい歴史がある。

 何が別学で悪かったのか、逆に良かったのかを一つ一つ検証しながら、意見を聞かなければならない。先人の苦労を無視して一律に共学化することには疑問を感じる。

<メモ>旧制二高は1886年創立。第2次世界大戦後の学制改革により、1949年に仙台工業専門学校など4校とともに、東北大に合併された。その際、東北大学第二高等学校と名称を変え、最後の卒業生を送り出した50年3月限りで廃校となった。

<しばた・かつひこ>仙台市出身。東北大理学部卒。仙台三高教諭、名取高教頭などを経て1991年、柴田高校長で退職。73歳。

【写真】「70歳をすぎて、自分の意思で進んだ学校がなくなってしまう寂しさから、やっと脱却できた気がする」


河北新報 2004/02/17

公立高の共学・別学 考える視座(6)/将来

宮城県教委高校改革推進室長 大内仁さん/生徒の選択幅を広く

郡部は少子化にも対応

 東北で唯一、公立で男女それぞれの別学校が制度上も存在する宮城県。県教委は2010年度までに全校を共学化する方針の下、各校の共学化年度を段階的に打ち出しているが、伝統校の卒業生、現役生の間では反対意見も根強い。県教委高校改革推進室の大内仁室長は「性によって入学を制限するのは不適当だというのが、共学化の根拠になっている」と語る。

<県立の性格上必要>

 ―宮城県がいま、共学化を進める理由は何か。

 ◆1994年に家庭科が男女必修科目となり、男子高でも女子高でも、学習指導要領上は教える内容が全く同じになった時が始まり。その翌年にかけて「普通科でも共学化の検討を図る」という論議が、県教委内部の会議で出た。

 01年にまとめた「県立高校将来構想」の検討段階では、各地の説明会で県民の皆さんの声も聞いた。公立高は公的主体が設置し、運営の費用のほとんどが税金で賄われている。その場合、「性が違う」ことで入学を制限するのは不適当との考えから、共学化を進めることになった。

 ―将来構想の素案が出た99年ごろは、男女共同参画社会の実現に向けて共学化するという面が強調されていたのでは。

 ◆そういう時代背景はあったと思うが、再度共学化の理由を考えた際、最も大きいのは県立高校としての性格だ。

 ―共学化のメリットをどのように見ているか。

 ◆これまで男子高だった学校に女子が入れる、女子高だった学校に男子が入れるというように、生徒の学校を選択できる幅が広がることだろう。

教育力維持目指す

 ―郡部などでは、男子高と女子高の統合に合わせて共学化する方針となっているのが目立つ。

 ◆郡部はどうしても少子化が進み、学校規模が小さくなる傾向がある。そうなると、多様なカリキュラムを用意できるだけの教員数を配置するのも難しい。そこである意味の「拠点」として、通える範囲内に、生徒のさまざまな要求に応えられる高校を1校はつくっておくという発想が出てきた。

 この高校で教育を受ければ、大学進学できる力をつけられる。統合によって男女共学になるが、一番の目的は少子化に対応し、学校の教育力を維持しようということだ。仙台地区の共学化とはちょっと違う面がある。

<歴史を踏まえ検討>

 ―10年度までの政策展開は。

 ◆共学化した後、どのような学校づくりをするかが重要だ。これは高校ごとに検討してもらっている。その学校の歴史を踏まえ、今後の生徒の減少傾向や他校の動きも見ながらの検討になる。

 ―伝統校のOB、OGや現役生の間では、共学化への反発も根強いが。

 ◆男子高や女子高で過ごした青春時代の感覚を残したいというのは、ある程度一般的な感情だろう。

 ただ、県立高校将来構想をつくる際の説明会などでも「別学の伝統を守りたい」「一律共学化に反対」といった意見をいただいた。この時と同じ反対理由が、今も挙がっている感じはする。

<メモ>宮城県教委の調査では、2003年の同県の中学校卒業者数は2万6516人。1999年から減少傾向は続き、2010年は2万2908人に減る見通し。仙台一高など6校については、共学化の具体的計画はまだ示されていない。

<おおうち・ひとし>宮城県河北町出身。東北大法学部卒。宮城県総務部行政管理課課長補佐などを経て、2003年4月から現職。48歳。


河北新報 2004/02/10

考える視座 公立高の共学・別学(5)/愛着 (河北新報 2004/02/10)

元宮城三女高生徒会副会長 畠山由姫さん/全力投球した行事

生徒会も自由な雰囲気

 昨年3月、男女共学化が検討されている宮城三女高(仙台市太白区)を卒業したばかりの女子や保護者らが、仙台市中心部で共学化反対の署名を呼び掛けた。これに加わった畠山由姫さん=埼玉県朝霞市=は、2年生の秋から3年生の夏まで生徒会副会長を務めた。「もう一度高校生をやり直せるなら、また宮城三女高に通いたい」と、母校への思いを語る。

<真剣参加の合唱祭>

 ―高校進学の際、宮城三女高を選んだ理由は。

 ◆最初は共学校を考えていたが、宮城三女高の入学案内を見て、行事がとても多いことに引かれた。「体育祭は年に2回もある。何かいっぱい!」と感じて。それで受けたいなあと思った。

 入学してみると、例えばクラス単位で競う合唱祭は、実績のある音楽部に負けないくらい力があった。みんな真剣に参加する。約2カ月前から朝の練習もやっていた。

 ―在学中の思い出で、特に心に残っていることは何か。

 ◆生徒会の活動。楽しくてつらかった。人をまとめるのが大変で、その時は「もう嫌だ」と感じたこともあったが、いま振り返ると、ちょっと違った高校生活を送れたように思う。私はかなりがむしゃらにやっていた。

 ―どんな点が生徒会活動では楽しかったか。

 ◆以前の生徒会は真面目で堅い雰囲気だったのに、自分たちの代になって今風のノリになった。いい意味で「おちゃらけた」感じ。生徒会長は学力はそれほどでもないけれど、人としてみんなに知られているような存在の子だった。私はその子に誘われて立候補した。

 実際に当選した役員たちは、それぞれ友達が多かった。役員同士も、先輩や後輩に関係なく仲がよかった。生徒会室のドアはいつも開けっ放し。一般の生徒たちにとっても入りやすく、遊びに来る人が多かった。

<親しい生徒と先生>

 ―3年間通ってみて、母校の特色はどんなものだと考えているか。

 ◆先生と生徒がとても親しい。言葉遣いが「タメ口」というか、友達同士みたいな口の利き方。けれど、行事への取り組みは全力投球だった。

 ―共学化反対の署名活動をした時のプラカードに「私たちは三女高が大好きです」とあった。

 ◆その気持ちがなかったら、あのような活動はしていない。とにかく皆さんに、特色や個性がある学校だということを知ってほしかった。音楽部の人たちは、その場でコーラスで歌ってくれた。

<自分で将来決める>

 ―宮城の共学化問題について言いたいことは。

 ◆女子だけの環境で過ごしていると、社会に出たときに男子の中にとけ込めないと言われたことがあった。でも、それはただ女子高に行ったから男子と話ができないというのではなく、その人自身の問題だと思う。

 先生方や県の教育委員会は「女子高にいると…将来こういうことになる」というように、高校の段階で将来を勝手に決める傾向があった。自分たちは満足しているのに、将来を勝手に決められるのは、私は嫌だった。

<メモ>宮城三女高は1924年、宮城県第三女学校として設立。48年に現在の校名となった。校訓は「自立・聡明・敬愛」。宮城県教委は同校を、新校舎建設とグラウンド整備が完了する2010年度に男女共学化する方針。

<はたけやま・ゆき>仙台市出身。仙台市八軒中卒。2000年4月に宮城三女高に入学。現在は東京家政大(埼玉県狭山市)文学部に通う。18歳。

【写真】「共学校もあってほしいし、別学校もあってほしい。何でこのままじゃ駄目なんだろうと思う」


河北新報 2004/02/03

考える視座 公立高の共学・別学(4)/校風

磐城桜が丘高同窓会長 秋山純子さん/生徒の自負心培う

反映された校長の個性

 いわき市では長年、磐城高と磐城女子高(現磐城桜が丘高)が、公立高の名門校として名をはせてきた。磐城桜が丘高同窓会長の秋山純子さんは戦時中、東京の有名私立から「磐女」に転校した経験を持つ。共学化が校風や伝統の変容につながるのを懸念する声も他県では聞かれる中、昔の磐女には「人の模範になることを目指すような校風があった」と語る。

<東京の公立は変容>

 ―自身の経験から、私立の長所をどう見るか。

 ◆第2次世界大戦中、3年生の時まで東京の女子学院に通ってから、当時の磐城高等女学校に移った。女子学院では作家の幸田文さんを教えた先生が、私の在学中は教頭だった。同じ先生が長く勤めるので、校風も一貫しているのがいい。

 ―それに対して、当時の東京の公立はどのような位置づけだったか。

 ◆戦時中までの東京府立の中学校、女学校はエリートだった。それが終戦後の学区制導入などで校名が変わり、男女共学になってからは、以前の誇りも何もなくなってしまった。公立が、優秀な私立の後を追い掛けるような感じになった。

<あこがれの気持ち>

 ―自分の学校に対して抱く「誇り」とは。

 ◆府立のいわゆる「ナンバー校」などに、本当にあこがれの気持ちを抱いて入学する、という感じだと思う。

 ―秋山さんが通っていたころの磐城高等女学校の良さ、長所などは。

 ◆私たちのころまでは校長の在任期間が7、8年と長かった。そのため、校風をきちんとするという意味で、校長の個性がよく発揮されていた。ほかの先生たちも、落ち着いて校長の方針に従っていくようなところがあった。

<「人の模範」目指す>

 ―当時の磐女の校風はどんな感じだったか。

 ◆先生方のおっしゃることをきちんと守っていた。戦時中であり、学徒動員で郡山市の紡績工場に行き、絶縁体にするガラス繊維を紡ぐ仕事もした。その意味では質実剛健という感じだ。ただ、宗教に基づく私立の女子学院は、そんな時世でも平和主義を通していた。戦闘に結び付く所に生徒を行かせ、働かせることはしなかったという。

 私のころの磐女は、良妻賢母というか、この学校を出たのだから、社会でも人の模範となるのを目指そうとする空気があった。「えっ、あの人が磐女の生徒?」などと言われたくないという誇りを持っていた。

 先生方もそれぞれの人格や、学問について持っている知識で生徒を引き付けていた。しかし、そういう孤高を守っていては、今の生徒はついていかないのかもしれない。

 ―母校は2001年度に共学となり、校名も変わった。共学、別学問題についてあらためて感じることは。

 ◆女子高だけ「女子」という言葉が入っているから校名を変える、男子高はそれがないから校名を変えないというのが納得できなかった。校名を変えるのは、本当に重いことだと思うからだ。

<メモ>福島県は2003年度までに、すべての県立高を共学にした。磐城桜が丘高は1904年、私立磐城女学校として設立。12年に県立磐城高等女学校、48年に磐城女子高となった。校訓は「調和・勤労・気節」。

<あきやま・すみこ>いわき市出身。東京・阿佐谷で育つ。東京女子大数学科卒。1992年から磐城女子高(現磐城桜が丘高)の同窓会長を務める。75歳。

【写真】秋山純子さん「最近の先生は、生徒の目の高さまで下りて、友達のような関係になるのがいいと思っているようだ」


河北新報 2004/02/02

一律共学化「待った」 別学高の同窓生ら議論 仙台

(写真)県立高の共学化問題を議論した集会「チョット待ってよ!『一律共学化』」

 県立高の男女共学化について議論する集会「チョット待ってよ!『一律共学化』」が1日、仙台市青葉区のエル・パーク仙台で開かれた。仙台市内の男女別学高の同窓生や在校生らでつくる「県立高校の在り方を考える検討会」の主催。県教委が進める一律男女共学化に反対意見が相次ぐ中、賛成意見も出て、活発な議論が展開された。

 集会には約100人が参加した。埼玉県で県立高の共学化反対運動を行った団体の岩渕均代表(55)が講演し、別学高11校のPTAや同窓生らが結集して昨年3月に共学化を阻止した体験談を披露。「共学も別学もそれぞれ長所があり、選択できる方がよい。選択の自由を制限すべきではない」などと主張した。

 パネル討論では、仙台市内の男女別学高の在校生や同窓生、PTA関係者ら計6人が意見を述べた。男子高の生徒からは「在校生に共学化に関する情報が伝わっておらず、これからどんな学校になるかが不透明だ」との声が上がった。

 一方、会場の参加者から「公立高校への入学を、性別で区別すべきではない」といった共学化賛成の意見や、「賛成意見を押しつぶすのでなく、賛否両論を戦わせて議論を深めるべきだ」との指摘も出た。

 集会では「議論が不十分なまま一律共学化を進めることに反対する」というアピールを採択し、検討会が県教委などに異議を申し入れる方針を決めた。


毎日・宮城版 2004/02/02

「推進」の声に一時騒然 県立校の「一律共学化」考えるシンポ−−仙台

 ◇問題の根深さ浮き彫り−−十分な議論求め、アピール文

 県教育委員会が計画する県立男子・女子高の共学化を考えるシンポジウム「チョット待ってよ!『一律共学化』」(県立高校の在り方を考える会主催)が1日、仙台市青葉区のエル・パーク仙台で開かれた。在校生や同窓生が反対運動を繰り広げる中、参加者から出た共学推進の声に会場が一時騒然とするなど、問題の根深さが浮き彫りとなった。【石川貴教】

 宮城は、公立の男女別学高が残る全国でも数少ない県。県教委は、男女共同参画社会の推進などを理由に、県内にある22の全日制男子・女子高のうち、▽仙台二▽宮城三女▽古川▽石巻――などで共学化の時期を決定。残る高校も、早期の共学化を検討している。

 この日のシンポジウムには、各校の卒業生や在校生など約150人が出席。パネルディスカッションで、宮城三女高の生徒が「別学は高校の個性。他県に誇れる宮城の特色だ。こんな楽しい学校をなくしたくない」と話すと、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。仙台一高出身の桜井充参院議員も姿を見せ、「個人的には共学化反対だが、住民投票で県民の意見を聞くべきだ」と話した。

 一方、男性参加者が「公立高に性による区別を設けるべきではない。これから高校に入る自分たちの子供や孫を考えると、別学のおかげで学校を選ぶ権利がないのは問題だ」と述べると、「黙れ」「いいかげんにしろ」と、やじが飛んだ。

 最後に、共学化問題について十分な議論を尽くすよう求めるアピール文が読まれると、満場一致の拍手に。参加した宮城三女高3年の佐藤近子さん(18)は「一方的な見方ではなく、賛成派と反対派のお互いの意見を聞いて、問題を考えることが大事だと思う」と話した。


読売・宮城版 2004/02/01

高校共学化推進、ちょっと待って!! 高校生がCD―ROM自主製作 東京朝刊 仙台

 仙台一や宮城一女など仙台市内にある県立の男子高、女子高の生徒らが、男女別学の良さを訴えるCD―ROM「ちょっと待ってよ共学化」を完成させた。県教委が推進する男子高、女子高の一律共学化に疑問を投げかけるのが狙い。一日午後一時から、仙台市青葉区一番町のエルパーク仙台でお披露目のイベントを開き、三千円で配布する。

 このCD―ROMは、六校の在校生二十人が、約半年かけて製作。授業の様子や体育祭など、男女別の学校生活の楽しさがわかる約二百十点の写真と動画、共学化に対する在校生の意見が収められている。共学化問題を考え、CD―ROM作成を支援した市民団体「宮城教育フォーラム」の相沢裕行さん(55)は「問題の当事者である在校生たちの声に、ぜひ耳を傾けてみてほしい」と話している。

 お披露目イベントでは、一律共学化が中止された埼玉県での経緯報告やパネルディスカッションが行われる。入場無料。


河北新報 2004/01/27

考える視座 公立高の共学・別学(3)/海外

マーケティング会社代表 ビセンテ・ルナさん/「一緒に学ぶ」基本

宗教に基づく私立は別

 インターネットを活用した国際マーケティングの会社を経営するスペイン人のビセンテ・ルナさん=仙台市=は、高校時代の4年間を、母国と米国で過ごした。後に日本に留学し、上智大と慶大で学んだ。各国の教育事情を知るルナさんは、日本の共学、別学問題について、「公立の学校は、性別で入学できるかどうかを分けてはいけないと思う」と指摘する。

<スペインと米共通>

 ―共学、別学という点で、スペインや米国の高校は、体験的にどのような状況だったか。

 ◆スペイン・バレンシア州の学校に3年、米国・ケンタッキー州の学校に1年通った。両方ともパブリック(公立)で共学。男女が一緒なのが当然だと思って過ごした。公立で別学にしているところは、どちらの国でもあまり聞かない。

 ただ、両国ともキリスト教など宗教に基づいて運営しているプライベート

(私立)の高校は、男女別学になっているところがある。また、米国でより上級の大学に進むための教育を行う私立の「ミリタリー・スクール」も、別学の高校が多い。ミリタリーといっても、軍事の学校ではない。

<国により解釈に差>

 ―ミリタリー・スクールに女性が入学できないのが、裁判になったことがあるという。

 ◆国や州、郡から公的な補助をもらって運営しているのに、女性が入れないのはなぜかという点で、裁判に持ち込まれた例が何回かあった。「それは、白人しか入れないのと同じ扱いだ」との主張だった。パブリックな形の支援があるなら、性別で入学を差別すべきではないということだ。

 米国はこのように厳しかったが、スペインでは私立高校が公的な補助を受けることと別学との関連については、特に問題になっていなかった。

 ―スペインでの高校時代に、ドイツに夏期留学した経験があると聞く。

 ◆シュツットガルトの同じ公立高校に2年、夏だけ2週間ずつ留学していた。男女が一緒に学ぶ形で、スペインと全然変わらなかった。ドイツ、スペイン、フランスは公立は共学。別学は宗教に関係する私立が多い。

<伝統の意味考えて>

 ―男女が一緒に学ぶ共学と、分かれて学ぶ別学とでは、どちらがいいと考えるか。

 ◆公立と私立の違いから考えたい。少なくとも国や県、市で運営している学校は、性別で入学できるかどうかを分けてはいけないと思う。公立の学校に進む際、女性か男性か、または白人か黒人かといった要素で分類するのはおかしい。共学の中でも男性のグループ、女性のグループは自然にできていくものだ。それ以上に、制度で分ける必要はない。

 男女別々に学ぶのを禁止しなければならないということではない。私立でそうした方針を取るのは構わないだろう。

 ―宮城県や埼玉県では「別学でやってきたことによる良い伝統は残したい」との声が強いが。

 ◆その伝統は、共学にすると内容が落ちるようなものなのか。特にデメリットがなければ、共学にするべきではないか。意味がある伝統なのかどうか、これまで続けてきたことがいいものかどうかを、もう一度考えなければいけないと思う。

<ビセンテ・ルナ>スペイン・ナバラ州パンプロナ出身。米国ハワイ・ロア大在学中、上智大に留学。後に文部省(当時)の国費留学生として慶大大学院でマーケティングを学ぶ。1999年、国際マーケティング会社を設立し、2001年に拠点を仙台に移す。35歳。

【写真】ビセンテ・ルナさん「日本は大学で、勉強以外にアルバイトをしたり、サークル活動に加わったりできる『余裕』がある点がいい」


河北新報 2004/01/27

宮城:仙台二高同窓会 共学化の賛否集約へ 反対意見相次ぐ

 仙台二高同窓会(会長・西澤潤一岩手県立大学長)は26日、仙台市青葉区の同校で臨時常任委員会を開き、宮城県教委が決めた2006年度の同校共学化について協議。同窓会として今後、賛否の結論をまとめる方針を決めた。

 会合には各年度の卒業生代表ら約50人が出席、非公開で行われた。終了後、取材に応じた西澤会長によると、協議では共学化反対の意見が続出したという。「地域の特性や共学のメリット、デメリットをしっかり把握する必要がある」(西澤会長)との判断から、今後、有識者からの意見聴取などを行う方針。

 取材に対し西澤会長は、「(個人的には)どちらかと言えばあまり(共学化に)賛成できない」と述べ、「県教委に(共学化を)できるだけ待つようお願いし、その上で(結論を出した)同窓会の意見を伝えたい」との意向を示した。2月にも県教委に要望する考えを示した。

 一方で、西澤会長は「感情的に反対するのではなく、慎重に議論したい。『共学化はやむを得ない』との結論もあり得るだろう」と話した。


河北新報 2004/01/20

考える視座 公立高の共学・別学(2)/伝統/底流の精神は不変
猪狩常雄さん 仙台一高同窓会監事/誇り大切に反骨心示せ

 仙台一高同窓会監事の猪狩常雄さんは、第二次世界大戦中の4年間、同校の前身である旧制仙台一中に学んだ。後に高校教諭となり、1978年から11年間、母校で世界史を教えた。「質実剛健の校風に非常に鍛えられた」と在学中を懐かしむ猪狩さんは「反骨、在野精神といった伝統は、現代にも受け継がれていると思う」と語る。

<校長排斥の運動も>

 ―在学中の思い出で、特に印象に残っていることは何か。

 ◆同級会で話題に上るのは、塩釜の海で毎年開かれた「水上運動会」。カッターという大型のボートを、クラス対抗形式で15人ぐらいでこいで競争する。午前4時に仙台に集合して、それから歩いて塩釜に。帰りも徒歩で、かなりの鍛錬になった。

 ―仙台一中、1高の伝統的精神とは、どのようなものだと考えるか。

 ◆一中OBで東北学院大の教授だった佐々木慶市さん(1912―2002年)が、東京の同窓会で行った講演に、なるほどと思ったことがある。明治時代に第2代校長が、非常に厳しい服装規定を作り、生徒を締め付けたことがあった。

 生徒の自主性を重んじるのが、創立時からの伝統だ。在校生が強く反発し、校長排斥の演説会などを開いた結果、その校長は更迭された。佐々木さんは「納得できないことに対する猛烈な反骨がある」と言っていた。私も同感だ。

<生徒から問題提起>

 ―そうした伝統は、永続的に守られるものなのか。

 ◆伝統はいつまでも、何としても守り抜かなければならないものではない。時代によって変容することもあるだろう。ただその場合も、反骨のような「底に流れる精神」は不変だと思う。

 1960年代後半、学生運動の影響で高校紛争が起き、「教育の原点は何か。生徒の要望を取り入れた教育も必要ではないか」という問題が生徒から提起された。これもある意味で反骨とつながっている。その問いかけを受け、後に有志で「特別授業」が行われた時期があった。

 ―どんな内容だったのか。

 ◆生徒が聴きたい授業を設定した。私は1981年度から8年ぐらい、ドイツの歴史家ランケの「世界史概観」(岩波文庫)という本の講読会を続けた。3年生が自由にレジュメを作り、出席者に説明する。「超高校級の本を読むことで世界観が身に付く」と、成績評価とは全く関係がないのに、みんな食いついてきた。

<根拠弱い県の方針>

 ―別学、共学の問題をどのように考えるか。

 ◆自分の体験を踏まえれば、別学の形を残してもらいたい。それは、これまで別学でやってきたことに基づく「伝統や誇り」を大切にしたいからだ。別学校と共学校は並存すべきだが、良い別学の伝統は残したい。一律共学化という宮城県の方針には、合理的根拠があるのか、納得できる根拠が欠けていると思う。私なりの反骨精神で、そのように考えている。

<メモ>宮城県は2010年度までにすべての県立高校を共学化する方針。仙台一高は1892年、宮城県尋常中学校として創立され、1908年に現在の仙台市若林区元茶畑に移った。校訓は「自重献身」。

<いがり・つねお>仙台市出身。東北大文学部卒。古川高、白石女子高教諭などを経て、1978年から89年まで仙台一高教諭。東北学院大非常勤講師なども務めた。著書に「航跡・37年」。74歳。

【写真】猪狩常雄さん「『仙台一中魂』の中には、不屈や粘り、最後まであきらめない精神などがあると感じている」


河北新報 2004/01/13

考える視座 公立高の共学・別学(1)/歴史

女子栄養大教授 橋本紀子さん/東北の封建性配慮/異なった占領軍の対応

 宮城、福島、埼玉など東北と北関東の各県では数年来、公立高校の男女共学と別学をめぐる論議が関心を集めた。その中に登場するいくつかのキーワードや視点に沿いながら、識者や関係者に話を聞き、問題の所在とその意味をあらためて考えてみたい。橋本紀子女子栄養大教授はジェンダー(社会的・文化的性差)の視点から、共学制の歴史を研究してきた。

<長期的視点持って>

 ―第2次世界大戦後の日本の教育改革で、男女共学制の導入は画期的だったと評価されている。

 ◆戦前は、教育勅語が公布された翌年の1891年に出された「学級編成等ニ関スル規則」に従って、尋常小学校の1、2年だけが共学で、3年生以降は男女別学が原則だった。男性と女性とでカリキュラムも教科書も分かれ、教育上の機会均等は存在しなかった。

 共学制の導入はその意味で、両性の平等を定めた日本国憲法第二四条や教育を受ける権利をうたった第二六条を具現化した。ある時代の人々が受けた教育は、彼らが大人になった際、どんな行動を取るかにも影響していく。そういう長期的視点で問題をとらえたい。

<県の財政難も影響>

 ―東北と北関東に、別学の公立高が多く残った背景には何があるのか。

 ◆日本を占領した「米国第八軍」のうち、京都で西日本を管轄した「第一軍団」と、仙台で東日本を掌握した「第九軍団」の対応の違いが最も大きい。第一軍団は高校三原則(小学区制、総合制、男女共学)を強く推し進めたが、第九軍団は「東北は封建的」との情報を持っていたこともあり、対応が柔らかだった。米国は、それぞれの軍団に裁量権を認めていたため、地域によって対応も違っていた。

 宮城では、1947年のカスリーン台風と翌年のアイオン台風による県の財政難、教育関係者の反対ムードが強かったことなども影響した。

 ―サンフランシスコ講和条約の調印(1951年)が長引き、米国の占領解除が遅れていたら、宮城でも状況は変わった可能性があるという。

 ◆それは、仙台一高校長や県教育長を務めた宇野量介さん(1909―2000年)も、著書などで触れている。占領が長引いて指導が強まれば、全校の共学化に踏み切っていたかもしれない。

<現代に通じる内容>

 ―男女共学を盛り込んだ教育基本法第五条は、その役割を既に終えたとの見方も出ているが。

 ◆第五条はもともと「女子教育」の振興を定めた条項だったが、連合国軍総司令部の民間情報教育局(CIE)の指導により、「男女共学」に改められた経緯がある。

 これは、戦後に女性が獲得した参政権などとともに、男女が平等な社会を実現させるための制度的基盤だ。教育における機会均等、両性の対等・平等な関係をつくっていきたいとの思いが込められている。男性も含めたよりよい人間関係をどうつくるかという点で、現代にも通用すると思う。

<メモ>全国で公立の別学校が複数残っているのは秋田、宮城、栃木、群馬、埼玉、千葉、和歌山、福岡、鹿児島の9県。福島は03年度に共学化を完了した。埼玉では別学存続派と共学促進派の論議が白熱した末、昨年3月に「当面は現状維持」とすることが決まった。

<はしもと・のりこ>横手市出身。東大大学院教育学研究科博士課程修了。女子栄養大栄養学部(埼玉県坂戸市)教授。専門は教育学、教育史。著書に「男女共学制の史的研究」。58歳。

【写真】橋本紀子さん「男女共学制の中で、両性の自立と平等を実際に進めるような教育を充実させることが重要になってくる」



河北新報 2004/01/10

デスク日誌/共学論争

 正月休み、高校の同級会とクラブの新年会をはしごした。母校は今、宮城県教委が打ち出した2006年度からの共学化方針に揺れている。在校生にも増して、この問題に熱い関心を寄せているのがOBたち。そこで、出席者に意見を聞いてみた。

 興味深かったのは、人によってジェンダー(社会的・文化的性差)や男女共同参画社会をめぐる認識に、相当な開きがあることだった。多感な青春時代を過ごした学びやに対する思い入れや、世代による考え方の違いも加わり、1筋縄ではいかない印象を持った。

 県教委の説明不足を指摘する声も多数あった。この点については十分な議論の時間が必要だろう。地元紙として、この問題を考えるヒントになればと、13日付から「教育のページ」で週1回、インタビューシリーズを組むことにした。

 一口に共学、別学といっても、そこには歴史的な経緯がある。校風や伝統という言葉に込められている意味も多様だ。何より21世紀を担う彼、彼女たちにどんな教育の場を提供すべきなのかという点で、共学(別学)論争は未来志向で考えるべきテーマだろう。読者の皆さんも、どうぞご意見を。(報道部副部長 鈴木素雄)


埼玉新聞 2003/03/26

別学維持を正式決定 県教委

 県公立高校共学化問題を審議している県教育委員会は二十五日、「当面は現状維持」とする報告をまとめ、別学校の共学化を見送ることを正式に決めた。全国の公立高校で共学化が進む中、県教委は「多くの県民の支持がある」「学校の主体性を尊重する」との理由から、独自路線を選んだ。報告を受け取った県男女共同参画苦情処理委員は「最初から結論があったのでは」と反発した。

 まとまった報告は、別学校の現状について「長い歴史と伝統を持ち、県民の高い評価と在校生、卒業生らから強く支持されている」と評価。

 今後の方向性は「当面は現状維持。特色ある学校づくりに取り組む中で、共学化を検討する可能性もある」と、これまでの方針を繰り返した。学校の主体性に任せるため、別学校に共学化を呼び掛けるなどの働き掛けもしないという。

 二○○五年度までの高校統廃合で、県公立の別学校は十二校になる。来年度から別学全四校を共学化する福島県など、全国的には共学化の流れが広がっている。

 県教委の渡辺修一郎委員長は「別学校の卒業生や在校生などの意見を聞きながら総合判断した。埼玉の独自色として別学があり得る」と説明。いつまで「現状維持」とするかは、「具体的には決めなかった」と話した。

 勧告の趣旨とは反する報告を受け取った苦情処理委員は会見を開いた。「最初から何も変えないという結論があったのではないか」「県民全体の意見を聞くべきだった」「埼玉の共同参画実現の意識、その教育は大幅に遅れた」など次々に、県教委の方針と審議過程を非難した。

 昨年三月に出された苦情処理委員の勧告を受けて、県教委は早期共学化の是非の審議を開始。別学校OBらが中心となり二十七万人分の署名を集めるなど、県民各層を巻き込んだ論争となった。

「未来への視点」欠いた審議

 【解説】「過去を振り返るだけではなく、二十一世紀を見据えた教育が不可欠」とした県男女共同参画苦情処理委員の勧告。県教委に突き付けられたのは「共同参画社会をつくる上で、学校がどんな役割を果たしていくのか」という課題だった。

 勧告が出されたのは昨年三月。この一年間、別学校と中学校の校長アンケート、別学校卒業生らの署名受け付けなど、県教育局は学校関係者の意見を中心に集めてきた。

 その資料を基に県教委の実質審議が始まったのは、今年三月に入ってから。渡辺修一郎委員長が「委員は同じ方向を向いていた」と表現するように、わずか二回の審議で現状維持を確認。学校が果たすべき役割については「時間的な制約で、話せなかった」(渡辺委員長)という。

 家庭内暴力や児童虐待など、男女が共生する社会のひずみが至るところに表れている。県教委はそれらの問題について、教育としてどうかかわるかをまったく示していない。今回の審議は別学校の“伝統”に寄り掛かっているだけで、「未来への視点」を欠いたものだった。


埼玉新聞 2003/03/26

「両方あっていい」
県公立高「別学」存続で高校生
 県公立高校の共学化問題で県教育委員会は二十五日、別学校を当面存続を決めた。問題の火付け役となった県男女共同参画苦情処理委員は反発したが、当の高校生たちから別学維持に反発する声はなく、別学校、共学校ともに、「(別学維持で)よかった」「両方あっていい」とする声が多かった。

 男女別学が当面維持されると聞いて、県立熊谷女子高校の生徒たちは一様に喜びの表情。

 春休みに入ったばかりで、部活動の練習をしていたバスケット部一年の大井さやかさん(16)は「選択の幅が広がる方がよいのでうれしい。女子校の伝統を受け継ぎたい」と話す。陸上部一年の栗原彩さんも「男女別学も学校の個性だと思う。母校の名がなくなってしまうのは嫌だ」と話した。また、「女子校の方が楽しい。文化祭や体育祭で自分を思いっきり出すことができる」「異性の目を気にしない方が、いろいろ楽だし」との声も聞かれた。

 男子校の県立浦和高校。サッカー部の二年生(17)は「変に周りの目を気にしなくていい。(女子生徒と)一緒に下校してみたいと思うこともあるけど、勉強に集中できるので今後も継続してほしい」と話した。

 バスケ部の二年生(17)は「いろんな高校があっていいと思う。でも同じレベルの共学校があったらそちらに行きたかった。一生のうち三年ぐらいはいいですけど、大学が男子校だけだったらさすがに嫌ですね」。

 別の一年生(16)は「部活はもともと男女別だし、生活面でも不自然な感じはない。比較できないけど、団結している感じがする。自分で選ぶのだから(共学と別学)両方あった方がいいと思う」と話した。

 さいたま市で二十四日開かれたライブ会場。県立浦和高生が企画したライブ「URAJAM」は県内六高校を代表するバンドが出演し、高校生を中心に約百五十人の観客が訪れた。ここで高校生に感想を聞いても答えはほぼ同じ。

 イベントの雑用に忙しかった浦和高卒業生の真籠宏一君(18)は「浦高だけでなく、共学にも(学力の)良い学校はある。その中でがんばればいい」。進学でトップクラスの学校が別学校で占められることに疑問はない様子だった。

 カラーコンタクトが印象的な浦和西高(共学)二年の浜野優希さん(17)も「一女などは昔からの伝統があるのだから」と納得。先輩の演奏を聴きに来たという同高二年の清水絵理子さん(17)も「(学校で)男女差別はぜんぜん感じない」と答えた。「別学は校風のようなもの。あってもいいのでは」。

 ライブ会場の高校生の間でも「どっちでもいい」「母校を残したいから共学反対」という意見だった。


東京・埼玉版 2003/03/26

県教委、『別学』を決定
苦情処理委員は不信感

 県の男女共同参画苦情処理委員が昨年三月、公立高校の完全共学化を勧告し、県教育委員会(渡辺修一郎委員長)に共学化に向けた取り組みの報告を求めていた問題で、県教委は二十五日、当面は別学校を存続させることを決め、同日、苦情処理委員に報告書を提出した。県内を大きく揺るがした共学化問題は現状維持という結果に落ち着いたが、苦情処理委員は「勧告について議論が尽くされたのか疑問だ」と不信感を表明した。

 別学維持は渡辺委員長を含む六人全員が支持した。報告書は、公立中学校校長らへのアンケート結果などを基に、別学校存続の理由を「本県の別学校は長い歴史と伝統を持ち、県民の高い評価と在校生、卒業生、地域住民などに根強い愛着があり、強く支持されている」と説明。ただし「各校が主体的に共学化を検討する場合は積極的に支持をしたい」とした。

 報告書提出の際、「当面」としたことに対して苦情処理委員から「いつまでを指すのか」と質問があったが、渡辺委員長は「学校が大きく変革するとき」と言葉を濁し、その後の記者会見で「『当面』の具体的な時期は審議をしていない。そこまで知恵が回らなかった」と述べた。

 共学化問題をめぐっては、二十七万人を超える別学維持の署名が昨秋県に提出されたほか、別学校の生徒会長らが土屋義彦知事に直接、学校存続を訴えた。一方、共学化を主張する市民団体も繰り返し県教委などに要望に訪れるなど、論争が繰り広げられた。

 しかし県教委は、現在ある別学校を早期共学化するかどうかの議論に終始し、男女共同参画社会における学校の役割や、共学化のメリット・デメリットなどについては議論しなかった。その理由について渡辺委員長は「十分な時間がなかった」と説明。今後の教育委員会での議論の予定についても「今のところない」とした。

 県内では現在、公立高校百六十四校のうち、別学校は十六校。来月から女子校一校が共学校となるほか、二〇〇五年三月までの再編整備によって別学校は十二校となる。

 全国的には共学化推進が主流となっており、公立高校で別学校が残っているのは本県や群馬、福島、宮城県など七県。その中でも福島県は新年度から別学全四校を共学化し、宮城県は別学全二十二校を共学化する方針を打ち出している。「埼玉が取り残される」との声もあるが、渡辺委員長は「埼玉県の特色として、別学校というのもあるのでは」と述べた。

 ■苦情処理委会見県教委を批判

 「最初から何もしないという結論があった」。県教委から報告書を受け取った後、三人の苦情処理委員のうち、深尾凱子、栗田和美両委員が記者会見をしたが、二人は県教委の対応に強い不信感を示した。

 深尾委員は「立派な伝統ある学校を変えたくないという姿勢が最初から出ていた感じがする。教育委員会で議論しているようには見えなかった」と述べた。

 報告の基となった中学校校長らへのアンケートについては「対象が限られており、県民全体の総意が反映されているとは思わない」と切り捨てた。

 栗田委員は、県教委が別学校存続を「当面」としたことについて「当面とは何も変えないとしか読めない」と声を震わせた。さらに「県教委は審議する時間がなかったというが、時間がなければつくればいい。『引き続きこの問題を議論します』という報告の仕方もあった」と批判した。

 また、出張のため欠席した松本輝夫委員は「今回の決定で埼玉県における男女共同参画社会実現の意識、そのための教育は大幅に遅れたのではないかと憂慮する」とのコメントを出した。


産経・埼玉版 2003/03/26

公立校 別学維持を決定
県民から強い支持

 男女別学の公立高校について、共学化の是非を検討していた県教育委員会は二十五日、「当面の間、男女別学の現状を維持する」ことを決めた。県内の公立別学校は男子校が五校、女子校が十校。都道府県が公立高校の別学を積極的に維持する方針を固めるのは全国的にも例がない。

 教育委員会の渡辺修一郎委員長が、男女共同参画苦情処理委員の深尾凱子委員に報告書を手渡した。県教委は、県男女苦情処理委員が昨年三月に出した「男女別学高校の共学化の早期実現」の勧告を受けて、一年がかりで審議を進めていた。

 報告書では「将来にわたって共学化を進めていく立場に立つが、本県の数少ない別学校は多くの県民の強い支持がある」として、早期の共学化は必要ないとした。

 一方で、「各学校が主体的に共学化を検討する場合には、県教委として積極的に支援する」と明記。将来の共学化の判断を各学校での議論に任せることにした。

 県教委は県内の公立中学校の校長に対して、共学化の是非についてアンケートを取るなどした。また、県や県教委にあてて、別学維持を求める二十七万人の署名や、共学化を求める団体の意見書などが寄せられた。

 その結果、「別学校は、長い歴史と伝統を持ち、県民の高い評価と地域住民などの根強い愛着があり、強く支持されている」という理由から、別学校を当面維持する方向となった。

 他県の状況を見ると、福島県は六校の別学校を平成十五年度内をめどに全校を共学化する。宮城県も二十二校すべてを共学化する方針を打ち出している。秋田県は七校ある女子高の共学化の計画を、二十二年度までに決める。


読売・埼玉版 2003/03/26

県立高 別学を維持 県教委決定 

「各学校の主体性尊重」

 県立高校の男女共学化を巡る問題を審議していた県教委は二十五日、当面は男女別学を維持することを最終的に決め、「全県立高校の早期男女共学化」を勧告していた県男女共同参画苦情処理委員に報告書を提出した。県教委は「将来的に共学化を進める」としながらも、具体的な期限は設けられず、勧告は全面的に退けられた形となった。
 この日提出された報告書では、「本県の数少ない別学校は、多くの県民の強い支持があり、各学校の主体性を尊重する必要がある」とした。そのうえで、今後の方向性については「各学校が教育内容を大きく再編するなど特色ある学校作りに向けて主体的に取り組む中で、共学化を検討する可能性もあり、そのような場合においては県教委として積極的に支援したい」と結論づけた。

 委員会後に記者会見した渡辺修一郎委員長は、「一律にこの時点では無理だと思う」と述べた。

 県教委によると、委員五人は全員別学維持の方向を支持、「個人の能力や個性の発揮できる場の選択肢は多い方がよい」「共存は埼玉の特色ということも考えられる」などの意見が出たという。

 一方、県教委からの報告書を受理した県男女共同参画苦情処理委員も同日、記者会見をした。埼玉短期大学教授の深尾凱子委員は「唖然(あぜん)とした。早期の共学化への結果が出なかったのは、残念であり遺憾」と話した。弁護士の栗田和美委員も「他県の状況や共学化推進の意見について、十分に審議されたのか疑問が残る」とした。

 苦情処理委員は昨年三月、「男女の性差にとらわれることなく、個人の能力・個性を発揮していくため、男女別学校の共学化を早期に実現する必要がある」と勧告していた。


朝日・埼玉版 2003/03/26

県教委 「当面は別学維持」決定

 溝残し論争決着 苦情処理委員ら反発

 男女別学か共学か。県内を2分した論争は県教育委員会が25日、「当面は現状維持」を正式に決め、一応の決着を見た。昨年3月に県男女共同参画苦情処理委員が、公立高校を早期に共学化するよう勧告してから1年。在校生や市民団体を巻き込んでの議論だった。ただ、全国的な流れは「共学化」にあり、苦情処理委員も不満を隠しておらず、今後、新たな問題提起も予想される。

 委員会は午前10時に始まり、委員らは事務局が準備した報告書案を審議、ほぼそのまま決定した。

 報告書では、別学校の現状について「長い歴史と伝統を持ち、県民の高い評価と在校生、卒業生、保護者、地域住民の根強い愛着があり、強く支持されている」との認識を示し、その上で「数少ない別学校は、多くの県民の強い支持があること、各学校の主体性を尊重する必要があることなどから、早期に共学化を実現するという結論には至らず、当面は現状を維持することとする」と結論付けた。

 現状維持の期間として示した「当面」について、渡辺修一郎教育委員長は報告書提出後の記者会見で「具体的には議論していない」と述べた。

 一方、この日は3人の苦情処理委員のうち、深尾凱子、栗田和美両委員が記者会見に応じ、松本輝夫委員は談話を出した。3人とも別学維持方針については「あぜんとしている」などと反発や落胆を隠さなかった。

 このうち深尾委員は「勧告がきっかけとなって大きな議論が巻き起こったのは良かった」としたが、教育委員会の協議については「議論が尽くされたとは思えない。最初から何も変えないという結論があったのだと思う」と語った。栗田委員は「教育委員5人全員が別学維持の意見だったのは非常にショックだ」と話した。

 松本委員は談話で「今回の決定で県の男女共同参画実現の意識・そのための教育は大幅に遅れたのではないかと憂慮します」とした。

 共学推進派  真摯な議論欠く

 共学化推進を訴える「共学ネット・さいたま」の秋山淳子世話人代表の話

 別学維持の方針には納得していない。21世紀の埼玉県の若者への教育をどう考えているのか真摯(しんし)な議論をしたとは思えない。当面がいつなのかも分からない。元々共学の発想が無かったのではないか。最初からシナリオがあり、それに沿って出した結論のように思える。

 別学推進派  良識ある判断だ

 別学維持を主張してきた浦和第一女子高校の渋井美和子生徒会長の話

 母校が残ることになってうれしい。男女が一緒に生活したり、学んだりする大切さを考えながら、よりよい別学校を築いていきたい。別学校と共学校がお互いの良さを認め合えるように交流を深めたい。

 別学高校生  共学と交流探る

 27万2千人の署名を集めた「共学と別学高校の共存を願う県民の会」の中心メンバー高柳和之さん(浦和第一女子高PTA会長)の話 

 良識ある判断だ。苦情処理委員の勧告内容は納得のゆくものではなく、県条例の拡大解釈であるように思えた。保護者アンケートでも男女共同参画社会の推進と共学化は別次元の問題とする回答が95・5%を占めた。これが常識的な解釈だろう。


朝日 2003/03/25

公立高校、当面は別学維持と決定 埼玉県教委


 埼玉県教育委員会は25日、公立高校の共学化問題で、当面は別学校を維持する方針を正式に決めた。

 第三者機関の県男女共同参画苦情処理委員が昨年3月、男女別学の公立高16校の共学化を勧告していた。県教委は「別学校には多くの県民の強い支持があり、早期に共学化を実現するという結論には至らなかった」などと説明した。

 公立高の別学は東日本に多いが、福島県が新年度から全県立高で、宮城県なども共学化を進める方針を決めるなど、共学化の動きが相次いでいる。埼玉県では勧告以来、共学化に反対する別学校の生徒やPTAらの署名が27万人を超えるなど、大論争になっていた。

(03/25 19:55)


共同 2003/03/18

埼玉の県立高、男女別学維持

 埼玉県立高校の男女共学化をめぐり県教育委員会(渡辺修一郎委員長)は十七日、別学の十二校を現状のまま維持する方針を固めた。二十五日の委員会で正式決定し、県男女共同参画苦情処理委員に文書で回答する。

 苦情処理委員は昨年三月、県立高校の共学化を県に勧告。今年三月末までに取り組みを報告するよう求めた。県教育局が公立中学、高校の校長らから聞き取り調査したところ「別学を存続すべきだ」という意見がほとんどだったことなどから、県教委でも「当面は別学維持で問題ない」という意見が大勢を占めた。


埼玉新聞 2003/03/18

当面は別学維持
県公立高・共学化問題

(写真)教育委員会閉会後、記者会見する渡辺修一郎委員長(左)。右は中川晃県教育局指導部長=17日、県庁

 県立高校共学化問題を審議している県教育委員会は十七日、定例会を開き、当面は現状のまま男女別学校を維持する方針を固めた。全国の公立高校で共学化が進む上、昨年三月には県男女共同参画苦情処理委員が早期の共学化実現を勧告。だが県教委はわずか二回の実質審議で「現状維持」の方向性を決めた。二十五日の次回定例会で苦情処理委員に提出する報告をまとめる。

 前回(十一日)に引き続き、共学化問題は非公開で審議された。閉会後、記者会見に応じた渡辺修一郎委員長は「(報告の)方向性は決まった」と、委員の考えがまとまってきたと解説。だが具体的内容については「意思形成の過程」として説明を拒否した。

 その後、会見を開いた中川晃県教育局指導部長が「方向性は最終確認したものではないが、渡辺委員長が委員の意見を総合的に考えたもの」と補足。「当面は現状を維持する方向」であることを示した。各委員とも同じような意見で、「全部(全校)を早期に共学化する」という委員はいなかったという。

 県教委の高校再編整備が終わる二○○五年四月の段階で、男女別学の県立高校は十二校。来年度から別学全四校を共学化する福島県、全二十二校の共学化方針を打ち出している宮城県など、全国的には別学校は姿を消しつつある。

 苦情処理委員からの勧告は「県教委が別学の公立高校を共学化しないのは男女共同参画社会の形成に反する」というもの。早期の共学化へ向けた取り組みを今月末までに報告することを義務付けた。

 その後、別学維持、共学推進の両派が県民各層を巻き込んだ活動を展開。別学校卒業生らが中心となり二十七万人の署名を集めたほか、生徒も別学維持を土屋義彦知事に要望した。一方、市民団体は、共学化の意義などを訴える要望書を何度も提出してきた。

 県教育局は中学校長にアンケートを行うなど意見を集約。二月に初めて県教委に共学化問題の経過を説明した。県教委は今月十一日、十七日の定例会で意見交換。二回合わせて二時間四十分の実質審議で「現状維持」の方向性を固めた。

5年、10年後に影響

 市民団体「共学ネット・さいたま」秋山淳子世話人代表の話 全国的に男女共同参画が進む中、埼玉だけ取り残されてしまう。その責任をどう取るのか。大事な三年間を男女別れて学ぶのでは、共同参画や国際化社会を担う人材育成は難しい。五年後、十年後に大きな影響が出てくる。教育委員に共学化問題の資料を送るなど活動してきたが、委員一人ひとりが自分の問題として考えているようには見えなかった。

広い選択肢に問題ない

 署名運動などを別学維持の活動を続けてきた浦和一女高校の高柳和之PTA会長の話 大勢の人たちの願いが通じた当たり前の結論。男女共同参画と別学校は別の次元の問題で、なんでもかんでも男女一緒ならいいとは思わない。別学、共学の広い選択肢があるので現状に問題はない。埼玉の特色ある教育が守られて胸を張れる。男女共同参画苦情処理委員は学校、生徒、保護者の声をしっかり聞いてほしい。


朝日・埼玉版 2003/03/18

県教委が「別学維持」

 公立高校共学化協議 月内に報告書

 県教育委員会が17日開かれ、公立高校の男女共学化について「当面、(別学のある)現状を維持する方向」で協議が進んでいることが明らかになった。委員会後、中川晃指導部長が会見して「委員のみなさんは同じ現状維持の方向だ」とした。次回委員会は25日に開かれ、報告書をまとめ、3月中に県男女共同参画苦情処理委員に提出する。

 この日の教育委員会は午前10時から始まった。前回に引き続き、男女共学化については非公開で、約1時間20分協議されたという。

 委員会後、まず渡辺修一郎委員長が会見し、前回と今回の協議で「方向性は出た」と話した。しかし、「次回、報告書が出来上がって初めて委員会としての意思形成ができると思うので、今はどちらの方向かは言えない」とした。「次回委員会で最後の詰めをして報告書をまとめ、説明します」と話すにとどまった。

 その後、中川部長が渡辺委員長を補足する形で会見に応じた。方向性については最終的に委員会で確認したものではないとしたが、「渡辺委員長が委員会で出された意見を総合的にみて、一定の方向が出たと判断された」として、別学維持の方向で協議していることを説明した。

 共学を強硬に主張する意見はないのかとの問いには「ニュアンスの違いはあるが、一気に早期に共学というものはなかった」とした。


読売・埼玉版 2003/03/18

県立高校の男女別学、当面は維持 県教委が方針 最終決定、来週の委員会=埼玉

 県教委は十七日、県立高校の男女共学化問題について、当面、別学維持とする方針を固めた。

 同日の教育委員会後に記者会見した県教育局の中川晃指導部長が「県教委としての最終的な結論は出ていないが、委員の意見を総合すると、当面は現状を維持していく方向になると受け止めている」と話した。

 中川部長によると、この日の教育委員会は約一時間二十分にわたった。委員の意見を集約したところ、「当面は現状維持」との方向性を得たという。二十五日に予定されている委員会で、この方針を正式に決定するのを受け、報告書を作成し、当面現状維持とした理由を明らかにするとしている。

 現在、県内の公立高校百六十四校のうち、男女別学校は十六校。新年度から女子校一校が共学化、二〇〇五年度からは県立高校の再編整備に伴って女子校二校が新しい共学校として整備される。

 男女別学校を巡っては、県男女共同参画苦情処理委員が昨年三月に、「県立高校の早期共学化」を勧告。これを受け、今月末までに、県教委の審議結果を報告書にまとめることになっていたが、勧告に対して、男女別学存続か共学化かの議論が県内で盛り上がっていた。

 共学化を推進している共学ネット・さいたまの秋山淳子さんは「方針にはあっけに取られている。全国の共学化の流れに逆行しており、恥ずかしく感じる。十分に審議したのか疑問が残るので、議事録を情報公開請求したい」と強い口調で語った。

 一方、別学維持を訴えていた浦和一女の高柳和之PTA会長は「安心した。子供たちの選択肢として共学、別学はあるべき。二十七万人分の署名もあり、県民は別学維持を望んでいる」としている。


毎日・埼玉版 2003/03/18

公立高共学化、「当面は現状維持」 今月末に報告書提出へ−−県教委方針 


 ◇県民を二分、議論白熱

 公立高校の共学化問題で県教委は17日、「当面は共学化せず、現状を維持する」という方針で一致した。別学存続を求める27万人の署名が提出され、一方で共学化を求めるグループも連日、県に要望するなど、県民を二分した議論に、「別学存続」の結論が下された。県教委は今月末に、県男女共同参画苦情処理委員に報告書を提出する。【斎藤広子】

 審議は1時間23分にわたり、前回に引き続き非公開で行われた。県教委によると、同日までの審議では委員から「どうしても異性に対する苦手意識を持つ生徒がいる」「共学化をすすめることが良いこととは思えない」などの意見が出された。早期の共学化を求める委員はいなかったという。

 共学化問題は、苦情2件が苦情処理委員に寄せられ、昨年3月28日に同委員が県教育委員長に早期共学化を勧告したのがきっかけとなった。

 このため、保護者らを中心に議論が白熱。別学存続を主張する市民団体「共学と別学高校の共存を願う県民の会」(岩渕均代表)が、勧告に反対する約27万人の署名を集めたほか、別学校11校の生徒会代表者らが「画一的共学化反対決議文」をまとめた。一方共学化を推進する女性23団体による「埼玉婦人問題会議」(石田都・世話人代表)などが要望書を土屋義彦知事に提出した。

 県教育局は、署名や要望と、中学校長に対するアンケート、別学高校を対象にした聞き取り調査の結果をまとめ、議論をするための報告書として県教委に提出していた。

 県教委の方針について岩渕代表は「生徒に選択肢を与えるべきという主張が受け入れられた。共学も別学もメリットがあるのだから共存が大切」と評価。一方、市民団体「共学ネット・さいたま」の秋山淳子さんは「県の男女共同参画条例や苦情処理委員の勧告をないがしろにする方向性で、恥ずかしいことだ。県教育の後退だと思う。今後も共学化推進の活動を続ける」と話していた。

 県内には浦和や浦和一女など別学16校があり、多くは伝統ある進学校。統廃合などで05年度までに12校になる。公立高の男女別学校は群馬や宮城など7県で残っている。


産経・埼玉版 2003/03/18

公立高の男女別学維持の方向へ
県教委、25日に正式決定

 男女別学の公立高校について、共学化の是非を検討している県教育委員会が十七日開かれ、「当面の間、男女別学の現状を維持する」ことで委員の意見が出そろった。二十五日の委員会で、男女別学維持を正式決定する。

 委員会では、県教委事務局からこれまでの議論を踏まえ、別学維持を最終報告とする素案が示された。委員からは反対する意見は出なかったもようだ。委員会終了後、中川晃指導部長が「当面、現状を維持する方向だと承知している」と審議結果を説明した。

 他県では、教育委員会が男女別学の維持を打ち出した例はない。福島県が六校の別学校を平成十五年度内をめどに共学化することを決定。宮城県も二十二校すべてを共学化する方針を打ち出している。

 この日の委員会は「自由な意見交換と中立性を守る」との理由で前回同様に非公開となった。

 県教委では「県男女共同参画苦情処理委員」が昨年三月に出した「男女別学高校の共学化の早期実現」の勧告を受けて、今月末までに勧告への回答を求められていた。四月一日時点で県内の別学校は、男子校が五校、女子校が九校。

 県教委は県内の公立中学校の校長に対して、共学化の是非についてアンケートを取るなどした。また、県や県教委にあてて、別学維持を求める二十七万人の署名や、共学化を求める団体の意見書などが寄せられ、委員会ではこれらの意見が判断材料とされた。


東京新聞・埼玉版 2003/03/18

公立高校の共学化問題
当面、別学校を維持

 県の男女共同参画苦情処理委員が昨年三月、公立高校の完全共学化を勧告し、共学化に向けた取り組みの報告を県教委に求めている問題で、県教委は十七日、教育委員会(渡辺修一郎委員長)を開催、審議終了後に渡辺委員長は「方向性は出た」と言明。県教委の中川晃指導部長が「方向性というのは、当面は現状維持と承知している」と付け加え、県教委は当面、別学校を維持する方針を固めた。勧告への報告は今月末が期限。県教委は二十五日に行う次回の教育委員会で、報告書をまとめる。

 共学化問題では昨秋、二十七万人を超える別学維持の署名が提出され、稲葉喜徳教育長は昨年十二月の県議会で「別学校を存続させてほしいという県民の方々の強い希望の表れ」と答弁。また、これまで共学化に向けた具体的な動きは出ていなかったため、別学校維持の方向とみられていた。

 十七日の審議もこれまでと同様に非公開で行われたが、中川部長によると、六人の委員全員が同じ方向の意見だったことから、別学校維持が濃厚になった。

 審議は公開が原則だが「意思決定の過程で中立性を確保し、率直な意見交換をするため」との理由で非公開となっていた。


読売・埼玉版 2003/03/12

共学化協議 県教委が非公開に 市民団体から抗議も=埼玉

 県教委は十一日に開いた委員会で、県立高校の男女共学化問題に関する協議を非公開とすることを全会一致で決めた。県教委は「(意思形成過程で)意見をオープンにすると、いろんなところから圧力がある」と理由を説明した。

 県教委の規則では、会議は原則公開とする一方で、出席委員の三分の二以上の賛成で秘密会とできる規定を設けている。この日の協議は約一時間二十分にわたり、委員が自由に意見を述べ合ったという。

 委員会終了後に記者会見した渡辺修一郎委員長は、自らが秘密会の動議を出したことを明らかにした。渡辺委員長は「夜遅く自宅に電話があり、家庭生活に影響を及ぼすと感じた。他の委員にも電話や手紙が来ている。中立性を守るためにも秘密会とし、終了後に議論を報告したい」と説明した。

 これに対し、市民団体からは「審議過程が重要であり、結果だけ出されても納得できない」と抗議の声が上がった。

 傍聴に訪れた埼玉母親大会連絡会の平沢コウ会長は「委員は責任をもった発言をしてほしい。だから非公開は許せない」と話していた。


産経・埼玉版 2003/03/12

男女別公立高共学化
非公開めぐり混乱
市民ら県教委職員に詰め寄る

 県内に十六校ある男女別学の公立高校を共学にするかどうかを決める県教育委員会の審議が十一日、始まった。委員会は自由な意見交換と中立性を守ることを理由に非公開で行われ、詳しい審議内容は明らかにされなかった。これに対して、傍聴を希望していた市民らが内容の公開を求めて、県教委職員に詰め寄るなどの混乱があった。この日は結論が出ず、再度の委員会を開いた上で、月内に結論を出す予定。

 委員会終了後、渡辺修一郎委員長は「私の家に深夜零時過ぎに共学の是非についての電話や、多数の手紙が寄せられた。公開すれば、委員に圧力がかかる恐れがある」と説明。行き過ぎた行動があることを明らかにし、審議公開の妨げの要因として指摘した。

 昨年三月、「県男女共同参画苦情処理委員会」が県教委に対し、「男女別学高校の共学化の早期実現」を勧告したことを受け、県教委は今月末までに、勧告への対応を求められている。

 委員会審議は報道陣のほか共学推進派の市民団体の女性ら六人が傍聴していたが、渡辺委員長の提案で非公開となった。そのため市民団体らは「非公開とするのはおかしい。経緯や内容を説明してほしい」と県教委に抗議した。

 これを受けて渡辺委員長は委員会終了後、市民団体に対し異例の説明を行った。

 記者会見では、一部の報道機関が「圧力を感じたくらいで、(公開の場で)自分の意見を言えないなら教育委員をする資格がないのでは」など、委員の資質にまで疑問を呈す質問をする場面もあった。


東京新聞・埼玉版 2003/03/12

共学化審議を非公開
公立高で県教委

 県の男女共同参画苦情処理委員が昨年三月、公立高校の完全共学化を勧告し、共学化に向けた取り組みの報告を県教委に求めている問題で、県教委は十一日、教育委員会(渡辺修一郎委員長)を開き、報告へ向けた審議を行った。審議は公開が原則だが、共学化問題については「意思決定の過程で中立性を確保し、率直な意見交換をするため」との理由で、非公開で行われた。

 委員会には共学化を主張する市民団体「共学ネット・さいたま」(秋山淳子世話人代表)のメンバーら六人が傍聴に来ていたが、退出を求められ県教委の職員に「納得できない」と詰め寄る場面もあった。

 渡辺委員長は終了後の会見で「審議が終了したらしっかりと説明する」と強調。自宅に深夜、それぞれの主張者から電話があったことを明かし「自分は圧力とは感じないが、他の委員に同じようなことがあれば、率直な意見交換ができなくなる恐れがある」とした。


読売・宮城版 2003/03/04

宮城三女高生徒ら、共学化凍結を求める署名提出=宮城

 宮城三女高(仙台市太白区)の生徒らが3日、共学化凍結などを求める1万7225人分の署名を県教委に提出した。生徒や卒業生、保護者ら約40人で組織する「県立高校の在り方を考える会」の伊達広三代表は「すべての県立高を共学化することに関して、県教委から生徒やPTA、同窓会への説明が全くない。共学を一時凍結し、話し合いの場を設けて欲しい」と話した。


読売・仙台版 2003/03/04

「共学ノー」卒業生ら街頭署名 宮城三女高=宮城

 宮城三女高(仙台市太白区)の生徒らが二日、仙台市青葉区中心部の商店街で、共学化凍結などを求める街頭署名活動を行った。
 県教委は将来構想で、すべての県立高を共学化する方針を打ち出している。宮城三女高は老朽化著しい校舎の改築が七、八年後に計画され、これを契機に共学化が取りざたされている。
 署名活動は卒業式を一日に終えたばかりの三年生と父母ら約二十人が行い、校歌を歌いながら「三女高をなくさないで」などと訴えた。生徒会副会長だった畠山由姫さんは「共学化されると三女高の特色も伝統も失われてしまう」と話していた。署名は三日、県教委に提出する。
 
 写真=共学化凍結などを訴えて署名を集める宮城三女高の生徒ら


読売・静岡版 2003/02/28

全公立女子高が共学化 新たに3校、2005年度までに=静岡

 県教委は二十七日、三女子高を二〇〇四、〇五年度に男女共学にする方針を明らかにした。
 沼津西が新年度から、浜松市立も二〇〇五年度からの共学化がすでに決まっているため、県内にあるすべての公立女子高が〇五年度には消えることになった。
 新しく共学化されるのは、三島北(二〇〇四年度から)と、清水西、静岡城北(二〇〇五年度から)。
 県教委では、「男女共同参画社会の下、共学を望む声が高まっている」として、九一年度には十校あった県立女子高の共学化を進めてきた。すでに共学となった高校では〈1〉志願者数の増加〈2〉野球など部活動を通じた校内の活性化〈3〉進学率の向上――などの効果が表れているという。


読売 2003/02/28

教育基本法見直し 「男女共同参画に寄与」盛る/中教審素案

 文部科学相の諮問機関・中央教育審議会(中教審、鳥居泰彦会長)がまとめた教育基本法見直しを求める答申の素案が二十七日、明らかになった。現行法に追加すべき教育の基本理念として、中間報告で示された「『公共』の精神」「郷土や国を愛する心」に加え、「男女共同参画社会への寄与」を新たに盛り込むことを求めている。焦点の「宗教教育」では、主に知識面の教育に重点を置くこととし、「宗教的情操をはぐくむ」といった心の教育に踏み込んだ提言は避けた。
 素案は来月三日の中教審基本問題部会で公表される見通しだ。素案では、新たな基本理念として、〈1〉社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自律心の涵養(かんよう)〈2〉日本の伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養〈3〉職業生活との関連の明確化〈4〉男女共同参画社会への寄与――など八項目を挙げた。
 男女共同参画については、一九四七年に施行された現行の教育基本法が規定する「男女共学」が一般的になっているため、さらに進めて男女共同参画社会の実現を求めることにした。現行の男女共学の規定は「削除することが適当」としている。
 現行法の前文に関しては素案は「基本的な考え方については引き続き規定することが適当」との判断を示している。このため、現行法にある「個人の尊厳」「真理と平和を希求」などの理念は残される見通しとなった。〈答申素案要旨4面〉


読売・山口版 2003/02/28

県内の男子校ついに消える 宇部鴻城高など共学化へ 2004年4月から=山口

 宇部市の宇部鴻城高は、二〇〇四年四月から学科改編し、男子校から男女共学に変わることになった。県内のもう一つの男子校、多々良学園高も二〇〇四年四月から男女共学になることが決まっており、県内の男子校は姿を消す。
 宇部鴻城高は、二〇〇四年度から普通科の特進コースを男女共学にする。また商業科(定員百二十人)を廃止、女子だけの医療秘書科(同)を新設。機械科、自動車工学科は男子のみの募集。学科改編が、県私学審議会で認可答申され、県が近く認可する。
 同審議会ではこのほか、募集停止中だった宇部市の慶進中が二〇〇四年四月から募集再開(定員二百四十人)することなどが認可答申された。


読売・埼玉版 2003/02/26

県立高共学化で市民団体有志 県教委の審議公開を要望=埼玉

 県立高校の男女共学化を訴える市民団体「共学ネット・さいたま」と「埼玉婦人問題会議」の有志が二十五日、県教委での共学化審議を公開するよう求める要望書を、渡辺修一郎・県教育委員長あてに提出した。
 県教委は、三月末までに意見をまとめる方針で、今月上旬から定例委員会での審議を始めた。これまでは経過報告のため、審議が公開されていた。しかし、出席委員の三分の二が同意すれば非公開にできることから、渡辺委員長は「委員が意見を述べる場は『意思形成過程』として非公開となるのでは」と話している。共学ネットの秋山淳子世話人代表は「県民の合意がほしければ、公開にして広く知らせるべきだ」と話している。


読売 2003/02/20

学びたい ペシャワルで男女共学廃止に反対/パキスタン・ドーン紙
東京夕刊 夕二面

 パキスタンの北西辺境州の州都ペシャワル市議会は18日、州政府が実現を目指している男女共学廃止に反対する決議を全会一致で採択した。19日付のドーン紙によると、決議は、性急な男女共学禁止は、女性が教育を受ける機会を奪うことにつながることから、女性のための教育施設の充実が先決と主張している。
 昨年10月の同州議会選挙では、イスラム系6政党の連合体「統一活動会議」が過半数を制して州政権を握り、州内の大学や高校の一部で行われている男女共学を全面禁止しようとしている。しかし、州世論に影響力を持つ州都の市議会が反対を表明したことで、今後、イスラム原理主義勢力とリベラル派との間で、駆け引きが激化しそうだ。(イスラマバード支局)


東京新聞・埼玉版 2003/02/07

男女共学化問題で本格的審議始める
県教委

 県の男女共同参画苦情処理委員が昨年三月、公立高校の完全共学化を勧告し、共学化に向けた取り組みの報告を県教委に求めている問題で、県教委は六日、教育委員会を開催し、報告についての本格的な審議を始めた。

 教育委員会では、別学校の校長に実施した意向調査の結果や、各種団体から県に寄せられた要望などが紹介された。

 勧告が出てから先月までに、県教委に六十九件の意見が郵便や電子メールで寄せられ、このうち六十二件(89・9%)が現状維持、七件(10・1%)が共学化を主張したことも明らかにされた。

 県教委は来月末までに苦情処理委員に報告を行うよう求められている。


読売・埼玉版 2003/02/07

県立高の男女共学化、審議本格化 県教委=埼玉

 県立高校の男女共学化問題で県教委は六日、本格的な審議を始めた。この日は、これまで県教育局が行ったアンケート結果、県や県教委に寄せられた要望書などが委員に報告された。

 県男女共同参画苦情処理委員が昨年三月、県教育委員長に「すべての県立高校の早期共学化」を勧告。この勧告に対し、県教委は来月末までに審議結果などを苦情処理委員に報告する。


埼玉新聞 2003/02/04

共生社会実現を
福島の先例学ぶ集い  男女共学化で県内市民団体

(写真) 福島県の共学化について報告する「男女共学を実現する会」太田緑子代表(中)ら=さいたま市の県女性センターWith Youさいたま

 県内公立高校の男女共学化に向けて市民団体「埼玉婦人問題会議」(石田都世話人代表)と「共学ネット・さいたま」(秋山淳子代表)は二日、合同学習会「埼玉・共学・新時代」をさいたま市の県女性センターで開いた。

 全公立高校の共学化を来春完成させる福島県から太田緑子元同県教育委員、武藤八重子元福島大学教授ら三人を招き、共学化の市民運動や埼玉との違いについて話を聞いた。

 太田さんは、一九九○年に結成した市民団体「すべての福島県立高校に男女共学を実現する会」代表。福島県教委が共学化の検討を始めた際、市民側からもこの動きを支えようと、県内各地で共学化の必要性を説く出前講座を開いた。全校共学化のめどが立つまで十年間続けた。

 県内トップ校の卒業生・同窓会から共学化反対の声が起きた時も、太田さんらは「学校は県費でまかなわれた、未来を担う子どもたちのもの」と説得したという。

 太田さんは、「性別にかかわりなく一人ひとりが能力を生かした生き方をするために男女一緒に学ぶのが当然。埼玉県だけ取り残されていいのか。息長く共学化運動を続けてほしい」と話した。

 武藤さんは、国連国際婦人年や男女雇用機会均等法、高校家庭科の男女共修などが次々実現した九○年代までの時代の流れが福島の共学化を後押ししたと分析。今は反動で社会的に男女平等を嫌う声が大きくなりつつあり、埼玉の共学化問題はその時期に重なってしまったと指摘した。

 今後、中身を伴った共学化を進めるためには「教師たちにジェンダーバイアス(性による役割分担意識)や男女共生社会を正しく理解してもらうことが重要」とアドバイスした。


読売・栃木版 2003/01/31

男女共学化推進を 県立高校のあり方提言 県教委、再編計画作成へ=栃木

 県立高校の今後のあり方について話し合う「新時代の学校づくり推進会議」(委員長=太田周・宇都宮大教授)は三十日、男女共学化の推進などを盛り込んだ提言をまとめ、岩崎修・県教育長に提出した。県教委は来年度中に、提言内容を柱にした県立高校再編計画を作成する。

 提言は、男女別学校の共学化について「推進することが望ましい」とし、安足地区(足利市、佐野市、安蘇郡)など男女別学の割合が高い学区から早急に取り組む必要があるとした。

 また、県内には一つもない中高一貫教育校は、既存の中学・高校校舎を利用してできるだけ早く、複数設置するよう求めた。

 県教委は、「提言を十分に役立てたい」(教育長)との姿勢で、四月から県立高再編計画作成に着手する。素案がまとまった段階で公表し、県民の意見を募ったうえで、秋ごろまでに正式発表する。


朝日 2003/01/19朝刊・Weekly教育

私立高、共学化進む
「男女共同」視野に少子化対策

志願者増、「活気出る」
毎年20〜30校増/部活で相乗効果

(写真)「情報」の授業でパソコンに向かう工学院付属高の生徒。同校は昨春、女子を初めて受け入れた=東京都八王子市で

 全国の私立高校で、共学化が進んでいる。共通する考え方は、男女共同参画社会への対応だ。もう一つ、少子化時代に直面する私学の生き残り策という意味も大きい。関係者は「志願者数が増え、部活動などで校内の活気も出た」という効果をあげる。一方で、別学の良さをアピールする高校もある。(高橋庄太郎)

 京都府は私大や宗教系の私立高が多く、生徒数でも公立高に引けを取らない。10年前に比べ共学校は倍の約20校に増え、全体の半数を占める。

 今年4月からは、甲子園での野球部の活躍などで知られる京都市の平安、京都成章の男子校2校が共学になり、ともに進学重視のコースで女子生徒を受け入れる。

 95年の歴史がある宮津市の暁星女子は校舎新築に合わせ、初めて男子を迎える。校名を京都暁星に改め、カリキュラムを一新して再出発する。

 「男女が一緒に学び、働く時代。女子校が『堅苦しい』『しつけ』などのイメージで見られ、生徒募集にも影響が出ていた。共学化で幅を広げ、活気を生み出したい」(米田ミチル校長)

 京都府内の中学卒業生はピーク時の約6割に減った。共学化は特進クラス開設などと並ぶ生徒集めの切り札とされる。

 各地の先例を見ても、共学化で入学希望者がかなり増える。

 昨年、山形県唯一の私立女子高から共学校に衣替えした山形城北。志願者は前年の1.4倍に増加した。

 男子校から共学校になった東京都の工学院大付属は1.9倍。男子の志願者数も大きく伸びた。城戸一夫校長は「女子の参加で生徒会活動や文化祭が盛りあがった。効果が早速出た」と話す。

 共学化を機にスポーツなどで特色を打ち出す学校が少なくない。

 北海道室蘭市の聖ベネディクト女子は今年4月、共学の海星学院に生まれ変わる。新しい特色の一つがバスケットボール。実業団チームなどで実績のある有力指導者を教員に採用した。

 野球に力を入れるのは、宮崎市の宮崎学園。今春、宮崎女子から改名し共学化する。社会人野球で鳴らした人材を監督に迎え、甲子園出場をめざす態勢を整える。

 全国では、90年代半ば以降、男女別学から共学へ切りかえる動きが加速した。日本私立中学高校連合会によると、共学校は毎年約20〜30校のペースで増え、現在773校を数える。

 10年前、各都道府県に最低1校、計491校あった女子校は現在373校。4県はゼロになった。男子校も240校から157校へ急減した。

 愛知県のように、昨年までの4年間で計13校が共学化し、「ほぼ出尽くした」(同県私学振興室)と見られる地域もあるが、しばらく各地で共学移行が続きそうだ。

 一方で、女子校の神奈川県横須賀市の緑ヶ丘高校は01年春、校名を変更し、緑ヶ丘女子とはっきり女子をうたった。共学校が増える中、女子教育の伝統を守ることが大切と判断した、という。

公立でも加速
別学存続求める活動も

 公立高でも共学の動きが拡大している。私立高と違うのは、教育委員会が、男女共同参画を強く打ち出すとともに、高校再編計画と関連づけている点だ。

 福島県はかつて県立高の約2割、20校が別学だったが,94年度から共学化が始まり、今年4月に移行する4校(福島、福島女子など)で計画が終了する。

 現在12校の女子校がある千葉県は8校の共学化に着手した。宮城、群馬、秋田の各県も共学化推進を打ち出し、05年から一部校を切り替える計画だ。栃木県は有識者会議の意見などを踏まえ、近く方針を決める。

 男女共学は戦後、新制高校の原則のーつとされたが、西目本と東日本で実施率に差が生じた。とくに関東・東北では、旧制中学、高等女学校の流れをくむ高校の多くが別学でスタートした。

 一律の共学化には伝統校の卒業生らの間で「大事な校風が薄れる」と反発する声もある。埼玉県では、別学の高校の卒業生、PTA、生徒らが大量の署名を集めて存続を訴えている。


朝鮮日報・日本語版 2003/01/08

今は男女共学の全盛時代


 大邱(テグ)市内の4つの高校と27の中学校が今年から男女共学になる。昨年は高校1カ所、中学校13カ所が男女共学になった。大邱地域の男女共学は109の中学校のうちの48%(52カ所)で、77の高校のうちの36%(28カ所)を占めている。

 男女共学の中学、高校が増えている。ここ6〜7年の間に男女共学の比率は中学・高校合わせて10%程度急増した。中学校の場合、80〜95年まで男女共学の学校の比率は52〜57%台だったが、2002年には67%へと大幅に増えた。

 一般高校の場合、男女共学の比率が80年代は30%未満、95年には38.1%だったが、2002年現在は約半分の48.9%に垂直上昇した。実業系の高校も2002年現在65.9%が男女共学だ。10年前の92年は48.6%だったが17.3%増えた。ソウルの場合、中学校は358カ所のうちの243カ所(67.9%)、高校は284カ所のうちの117カ所(41.2%)が男女共学だ。

 ソウル・ノクチョン中学校のヤン・ボヒ(34)教師は「互いを異性ではなく友人として自然に接するようになり、教育の側面でも望ましいと思う」と話した。出産、生理など性の問題に関しても正直に自然に反応するということ。

 しかし内申で不利な面が増えるほか、異性交際のために勉強を疎かにするとの理由で男女共学を避ける父兄も少なくない。高校1年の息子のいる朴某(45)さんは「もうすぐ2年になる息子が、真面目な女子学生のために内申が下がらないかと心配」と話した。

李ジヒョン記者


読売・埼玉版 2002/12/27

高校の男女共学化推進 市民団体が県にアピール=埼玉

 県立高校の男女共学化を巡る問題で、市民団体「埼玉母親大会連絡会常任委員会」(平沢コウ委員長)は二十六日、県男女共同参画苦情処理委員の出した勧告に基いて共学化を推進するよう求めるアピール文を県に提出した。

 アピールでは、「苦情処理機関は、県議会がその意義を認めて全会一致で設置したもの。勧告を尊重し、県の施策に積極的に反映すべきだ」としている。

 また、勧告後に県教育局が行った調査については、「中学校の校長や別学の当該高校の校長の意見聴取という内部の意見集約であり、不十分だ」として、専門家や広く県民の声を聞き取るよう求めている。


産経・埼玉版 2002/12/27

県婦連、県立高男女共学化推進を撤回
県に提出の要望書、会員知らず批判続出

 県立高校の男女共学化の是非をめぐり、三万五千人の会員を持つ県内最大級の婦人団体、県地域婦人会連合会(石井節子会長)が共学化推進の運動から脱退したことが二十六日、分かった。県婦連は十一月、他の婦人団体が県に提出した共学化推進の要望書に名を連ねたが、会員の多くはそのことを知らず、内部で批判の声が相次いでいた。要望書の提出を急ぐあまり、団体内で十分な意思確認をせずに共学推進の要望が提出されていたことが明るみになった。

 十一月二十九日に、県内二十三団体で組織する埼玉婦人問題会議(石田都代表世話人)が「県立高の共学化推進を求める要望書」を県に提出、県婦連も名前を連ねていた。要望署では「高校生活の三年間を一方の性に限ることは人格形成で問題。男女別学校の共学化を早期に実現する必要がある」とした男女共同参画苦情処理委員会の勧告の尊重を求めていた。

 しかし、婦人問題会議から県婦連に連名を求める要請があったのは、提出の前日。会員の了承を得る時間がなかったので、幹部の判断で了承したという。

 そのため要望後に、子供を別学校に通わせている会員を中心に「会として意思統一していないのに、なぜ賛成したのか」「別学校のままでいいという生徒の意見を尊重すべきだ」という声が多数、事務局に寄せられていた。

 県婦連は三日に常任幹事会を開いたが、幹事のほとんど全員が共学化推進に反対。これを受けて「今後は共学化推進の運動には関与しない」との方針を確認し、婦人問題会議に伝えたという。

 石井会長は「婦人問題会議から、県婦連の名前がないと知事に直接陳情できないので名前を貸してほしいと連絡があった。どうしてもというので『あまり過激でない内容なら』と了承したが、あのような形になるとは知らなかった」と話している。

 婦人問題会議が提出した共学推進の要望書には、他に「JA埼玉県女性組織協議会」「県商工会女性部連合会」などが名前を連ねている。

 一方、埼玉婦人問題会議の石田代表世話人は「そういう話は聞いていない。県婦連にも趣旨を理解してもらっていると考えている。時代の流れは共学化の方向にあり、今の時点で運動を退くか否かというような話は、あまり大きな問題ではないと思う」と話している。


埼玉新聞 2002/12/26

「県民アンケートを」
公立高共学化目指す2団体

 公立高校の共学化を目指す「共学ネット・さいたま」(秋山淳子世話人代表)と「埼玉婦人問題会議」(石田都世話人代表)は二十五日、県庁内で県教委高校教育課と話し合いを持った。

 共学ネットと婦人問題会議側は、県教委が実施した中学校長アンケートは県民の意識とかけ離れているとし、中学生や保護者などを対象にした県民アンケートの実施を申し入れた。これに対し、同課の門谷修二郎主幹は「共学と別学のどちらがいいか、一般論で聞けば流れは共学だと思うが、数量で測る問題ではない」と話した。

 また、「中学校長アンケート結果を見て、県が全国に先駆けて制定した男女共同参画推進条例が教育現場で生かされていないと感じた。生かされるようにすべきだ」との意見に、門谷主幹は「おっしゃる通り。条例を生かさなければいけない。しかし、現実には綿々と続いてきた(別)学校があり、私たちとしては苦しいところ。どう整理すればいいか検討する」と答えた。


毎日・埼玉版 2002/12/25

[焦点]公立高共学化問題 「選択肢残して」−−岩渕均代表 
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 ◇毎年、大勢が進学希望−−「共学と別学高校の共存を願う県民の会」岩渕均代表

――なぜ共学化に反対するのですか

 ◆共学そのものに反対しているわけではない。選択肢を残さない画一的な共学化に反対している。県内164公立高校の中で別学は、共学化される3校を除くと13校だけ。全体の1割にも満たない別学を認めないという理由は理解できない。

 別学は戦後50年間、地域に支持され、いまでも毎年大勢の生徒が進学を希望している。特段弊害があったわけでもない。生徒に選択肢を残す意味でも一定数を残すことが必要だ。中等教育の多様化という観点からも選択の自由は重要だろう。

――県条例は「教育現場で男女共同参画の推進」を求めていますが

 ◆男女共同参画と別学は次元の異なる問題だ。別学でも性差にとらわれない教育ができる。まだ「男子が長を務め、女子が副」という認識があるが、別学では生徒会もクラブ活動もすべて性差は関係ない。女子校のある生徒は「男子に遠慮することなく、いろいろなことを経験できた」と利点を強調する。遠山敦子文部科学相も国会で「男女共同参画基本法に抵触しない」という趣旨の答弁をしている。

――別学のメリットは何ですか

 ◆異性の目を意識せずに勉強や課外活動に打ち込めることだ。浦和一女高のある生徒は「一女の良いところは頑張る人を格好いいと認めてくれるところ。だから熱くなれる」と話していた。

 また、一般に「女子は理数系が苦手」と言われるが、女子校では、男子に遠慮せず、自分の適性に合わせて理数系を学ぶ生徒が多い。男子校もそれは同様だ。

 私の長男と長女は別学に進学、友人に恵まれ、充実した3年間を過ごした。今も「なぜ別学が問題なのか」と話している。共学にも良さがあるだろうが、別学にも良さがある。

――「別学は不自然」との批判があります

 ◆同性同士で集まることは不自然ではない。義務教育でないのだから、多様な教育環境として許容されるべきだ。生徒は希望に応じて、別学なり共学に進学できる。

 それに生徒はクラブ活動などで他校の生徒と知り合う機会が多い。周囲が不自然と心配することはない。世界中をみても別学はたくさんある。共学化が世界的な流れとはいえない。

――どのような対応を県教委に求めますか

 ◆児童・生徒の学力低下など教育行政の課題は山積している。それに比べれば、共学化は小さな問題でこんなに大騒ぎするべきではない。

 私たちが提出した27万人の署名や在校生の決議文、中学校長の意識調査などで、別学を残す声の多さが示された。そうした意見を尊重して判断してほしい。【加藤潔】

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 ◇岩渕均さん

 旧浦和市出身。県立浦和高OBで、さいたま市内で印刷会社を経営。県立浦和、浦和一女両高校のPTA会長、県高校PTA連合会長を務めた。4月にPTA関係者と「共学と別学高校の共存を願う県民の会」を結成。27万人の署名を集め、10月に土屋義彦知事に提出した。

■写真説明 土屋義彦知事に27万人の署名を手渡す岩渕さん(右)=同会提供


高校共学化・福島からの報告 (埼玉新聞 2002/12/19-23、5回連載)


埼玉新聞 2002/12/19

全国で進む男女共学
都道府県立高校を調査

 埼玉新聞社は、埼玉県を除く全国都道府県教育委員会に都道府県立高校の男女共学化について聞き取り調査を行った。その結果、過半数の都道府県が既に全校共学で、別学校のあるところも関東、東北を中心にほとんどが共学化方針を決定、または検討していることが分かった。「男女共同参画社会づくり」や「教育課程上男女を分ける必要がない」ことなどを理由に挙げている。

 埼玉県は男子五、女子十の県立高校が別学で、県男女共同参画苦情処理委員は県教委に共学化を進めるよう勧告。しかし、県議会答弁などで別学維持の方針をにじませている。

 ■別学県の7割で検討

 四十六都道府県に十二月現在の状況を聞いたところ、東京都や長野県、京都府など半数を上回る二十五都道府県は既に全校共学。生徒募集など制度上は両性が受験できるが実態として毎年片方の性の生徒しか入学しない学校がある県は七県、制度として別学校があるのは十四府県だった。

 別学校がある十四府県のうち、七割の十府県は共学化方針を決定または検討に入っている。

 そのうち青森、福島、富山、大阪、大分の五府県は来年度で共学化を完了。青森県は唯一残っていた男子校の水産高校を共学化する。福島県は旧制中学や高等女学校を中心に二十二校あった別学校を、ほぼ十年かけて共学化してきた。

 宮城、秋田、千葉は、県教委が策定した県立高校の将来構想で全校共学化の目標年度を決めた。二十二校の別学校を持つ宮城は、構想を策定するに当たって中学三年生と高校一年生、その保護者を対象にアンケートを実施。約七割が共学化に賛成した。

 栃木は昨年度から二年かけ外部の有識者会議で検討中。来年一月に結論が出る。現時点で最多の二十三校の別学校を持つ群馬も、男女共同参画社会づくりの観点から共学化方針を打ち出した。全校共学化の目標年度は定めていないが、第一弾で二○○五年度から六校を共学化する。

 ■「事実上」も解消へ

 また、「実態別学」の中でも静岡、岐阜、奈良の三県は、事実上存在する別学も解消を目指す。静岡県は「高校長期計画」で「実態としての男女共学を進める」とし、校舎改築など受け入れ準備を始めた。

 共学化を進める理由としては「多感な時期は男女ともに学ぶのが教育環境として好ましい」(宮城)「教育課程を考えると男女を分ける必要がない」(秋田)「公教育として共学が望ましい」(岐阜)「男女共同参画社会づくりをする中で学校に性による役割分担を持たせるのはよくない」(奈良)などがほとんど。男女共同参画社会づくりの一環ととらえている。

 共学化を積極的に検討していない新潟、愛知、高知、鹿児島は、いずれも男子校はなく、女子校が一、二校残るだけになっている。

 ■埼玉「別学には歴史」

 埼玉県は二○○一年三月策定の県立高校の再編整備方針などを定めた「21世紀いきいきハイスクール推進計画」で、男女共学化について「意義がある」としながらも「別学校は歴史と伝統を持ち地域社会に親しまれてきた」とし、「共学推進」の姿勢は打ち出していない。来春は、別学十五校のうち二校が統廃合、看護科の一校は共学化するが、残る十二校は別学のままで迎える。

 県教委は県男女共同参画推進委員の勧告が出た後、別学高校長と全中学校長にアンケートを行ったが、男女共同参画社会づくりの観点からは「そこまで求められていない」(県教委幹部)とし検討していない。


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 ■すべて共学校(25都道府県)

 北海道、東京、石川、福井、山梨、長野、三重、滋賀、京都、兵庫、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡、佐賀、長崎、熊本、宮崎、沖縄


 ■制度上すべて共学だが、実態として片方の性の生徒しか入学しない学校がある(7県)

 ・岩手(女子2校)うち1校は2004年度から共学化
 ・山形(男子1校、女子2校)
 ・茨城(男子1校、女子3校)たまに異性も入学
 ・神奈川(女子2校)うち1校は統合で共学化する
 ・岐阜(女子3校)今年4月の「県立高校統合再編計画」で全校共学化を決めた
 ・静岡(女子5校)2000年2月にまとめた「高校長期計画」で実態としての男女共学を進める方針を出した。1校は来年度から共学化
 ・奈良(女子1校)今年6月の「高校将来構想中間答申」で別学をなくす方針を出した。学科再編で統合の方向


 ■別学校があるが共学化予定または検討中(10府県)

 ・青森(男子1校)水産高校だが来年度から共学化
 ・宮城(男子11校、女子11校)2001年3月の「県立高校将来構想」ですべて共学化を打ち出した
 ・秋田(女子7校)2001年度からの「第5次秋田県高校総合整備計画」で2010年度までに全校共学化
 ・福島(男子2校、女子2校)来年度から全校共学
 ・栃木(男子8校、女子10校)2001年度から2年間の有識者会議で検討中。来年1月に結論
 ・群馬(男子9校、女子14校)2002年2月の「高校教育改革基本方針」で共学化を進める方針を出した
 ・千葉(女子12校)今年11月に2011年度までの全校共学化を決定
 ・富山(女子2校)来年度から単位制定時制高校とし共学化
 ・大阪(女子1校)衛生看護科で来年度廃止
 ・大分(女子1校)来年度から総合学科になり共学化


 ■別学校があり、共学化の予定なし(4県)

 ・新潟(女子1校)、愛知(女子1校)、高知(女子2校)、鹿児島(女子1校)

 ※埼玉(男子5校、女子10校)来年度2校統廃合、1校共学化。12校が勧告受け検討中。


読売・栃木版 2002/12/18

高校再編 共学・別学ともに必要 県会特別委が報告書=栃木

 ◆中高一貫は相当数設置

 県議会教育環境対策特別委員会(佐藤栄委員長)が十七日開かれ、県立高校の男女別学校について、特色ある学校づくりのために、共学校と別学校の併存が望ましいとする両論併記型とした報告書をまとめた。中高一貫教育校については「地域などのバランスを考え、相当数設置すべき」とした。報告書は二月定例会に提出され、県に示される。

 報告書は、将来の学校の姿について、議会としての考えを示した。

 別学校について、必要に応じて共学化を進める必要を認めたものの、「容認される範囲で残すことも、大きな県民世論の一つ」とした。さらに、特色ある学校づくりを進め、生徒に選択肢を残すためにも、「存置理由が妥当と思われる男子校、女子校は、残すべきだ」とした。

 中高一貫校については、「高校入試の影響を受けず、ゆとりある教育を進めるのに有効」としながらも、「大学進学の予備校的にならないように配慮が必要」とした。

 男女別学校については、教育長の諮問会議である「新時代の学校づくり推進会議」が年内をめどにまとめる提言に、男女共学化の推進を盛り込むことを決めているが、特別委の報告書は、共学校、別学校がともに必要という姿勢を示した。


東京新聞・埼玉版 2002/12/18


男女別学問題
県財政悪化も壁に

 県の男女共同参画苦情処理委員がことし三月、公立高校の完全共学化を県教委に勧告したことをめぐり、「共学推進」と「別学維持」で議論が加熱。別学維持を求める高校生の知事への“直訴”や共学推進派の陳情が続くなどの動きが続いた。県教委は来年二月までに結論を出したいとしているが、県議会では「トイレや更衣室の改修費もばかにならない。今の財政状況で共学推進は無理」との見方がもっぱら。ここに来て「子どもが騒ぎに巻き込まれた」と苦情処理委に矛先を向ける声も出てきた。 (井上洋一)

 苦情処理委員は、二〇〇〇年十月に設置された。定員は三人までで、現在の委員は短大教授や弁護士の女性二人、男性一人。セクハラなどの人権侵害や、男女共同参画に影響があるとみられる県の施策に対する苦情について、調査や審議を行う。

 今回の勧告を受けて、別学維持派の市民団体が十月、「画一的な共学化に反対」として二十七万人の署名を県に提出。これを受けるように県議会も、自民党を中心とする超党派議員五十人が「別学維持を支援する議員連盟」を発足させて気勢を上げた。高校生の“直訴事件”のほか、「共学化」「別学維持」双方の団体が日替わりで県に陳情する騒ぎになった。

 勧告が一人歩きして波紋が広がった形だが、十六日に開かれた県議会総務委員会では、自民党の田島敏包氏が「勧告が本当に正しいかチェックする機関が必要。言いたい放題は危険」と苦情処理委員そのものに矛先を向けた。田島氏は勧告制度について「例えば、勧告を出すときは県議会総務委員会の了承とか、審議会で多数決を取ることなどを条件に付けるべきだ」という。

 これに対し、担当課の県男女共同参画課は「勧告に法的拘束力はないし、尊重の義務規定もない。中立で十分な見識のある人が委員を務めている」と困惑。「今回も両方の当事者から幅広い意見を聞いて、苦情から一年半という長い時間の審議を経て勧告を出した。勧告は公表もしており透明性もある。客観的な判断だ」と説明している。

 県教委は来年二月中旬ごろまでに結論を出したいとしている。しかし、県議会の答弁で稲葉喜徳教育長は、二十七万人の署名や中学校長の約八割が別学維持を求めていることに言及したものの、共学化を求める陳情には触れなかった。

 共学化の是非以外に、県教委には大きな足かせがある。別学校を共学化する場合、トイレや更衣室の改修に大きな費用がかかるからだ。危機的な財政状況の中で、全庁を挙げて歳出を切り詰めているときに、大きな負担となる共学化推進は難しいのも事実。県議会では「このご時世で、ばく大なお金がかかる共学化は無理だ」と、ささやく議員も多い。現状維持となることが濃厚のようだ。


読売・埼玉版 2002/12/17

別学高校存続の請願、継続審議に 県議会文教委員会=埼玉

 県立高校の男女共学化を巡る問題で、県議会文教委員会は十六日、「別学高校の維持、存続を求めることについて」の請願を継続審議とした。この問題の結論は、来年の二月定例県議会に持ち越された。

 「共学と別学高校の共存を願う県民の会」(岩渕均代表)は「別学高校は埼玉教育の大きな特色となっている」などとし、存続を求める請願を出していた。審議では、文教委員から「文教委員会だけで決着するものではない」「十分時間をかけて方向性を見いだすべき」といった意見が相次ぎ、全委員一致で継続審議となった。


朝日・埼玉版 2002/12/16

企画特集

[追う]


共学化促す「勧告」効力は・・・
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●県立高問題で県教委が「棚上げ」

 「性差にとらわれることなく、個人の能力・個性を発揮していくため、男女別学校の共学化を早期に実現する必要がある」。県男女共同参画苦情処理委員が出した勧告をめぐり、共学か別学かの論議が活発化した。県教委は勧告を事実上棚上げし、当面は別学を維持する考えだが、ならば「勧告」はどんな意味を持つのか、持たないのか。

 今年4月、県に1通のメールが届いた。男子高に通う生徒からだった。

 「学校が共学化するらしいと耳にしましたが、本当ですか」

 浦和第一女子高の生徒は言う。

 「勧告が出たと聞き、みんなで『危機意識を高めよう』と話し合った」

 反響は大きかった。だが、苦情処理委員の勧告は、県の施策についてできる「助言・意見表明・勧告」の中で最も強い形のものと位置づけられてはいるが、「従う」「尊重する」など、取り扱いの規定がない。

 同様に大学教授や弁護士3人で構成される県子どもの権利擁護委員会の勧告は「県の機関は尊重しなければならない」と、同委員会条例の中で定められている。

 苦情処理委員の勧告は言い放しなのか。

 県男女共同参画課の担当職員は「尊重や義務についての規定はないが、だからといって執行部が委員の意見を無視してよいわけではない」。うーん、よくわからない。

 そこで、直接取材に踏み切ると、委員の1人が取材に応じてくれた。

 この委員は「議論の高まりは予想されたこと。逆に高まらなかったら変ですから」と話し、「どういう議論が出るのか、もう少し見守りたい。埼玉県民にいろいろ議論を深めてもらうのが筋だと思う」などと続けた。

 さらに突っ込んで聞いた。「勧告が棚上げされたらどうしますか」。

 委員は県男女共同参画推進条例や苦情処理委員制度が、本県が全国に先駆けてつくった新しい仕組みであることを強調、その上で「今回のような大きな問題が寄せられたのも、勧告も初めて。海図のない海にこぎ出したようなもので、時々に遭遇した事情に沿って処理するしかない。既成の道はなく、私たちの後に道ができる。棚上げにされた時の方針は決めていないが、次に同様のケースが起きた時の参考になる」と話した。

 苦情処理委員は昨年1月、出席簿を男女混合にするよう意見表明している。この時県教委は、校長や県教委の集まりなどで、混合名簿について論議した経過を説明。昨年4月現在の導入率が県立高で56・5%、中学は47・2%、小学校は55%で、3年前に比べ、それぞれ30〜45ポイント上昇したことなどを報告した。

 今回の勧告でも共学化の取り組みについて来年3月末までに報告するよう求めている。県教委の職員はぽつりと言った。

 「今回もただ取り組みを報告をすれば良いと思っていたのだが……」


◆苦情処理委員

 00年10月に県男女共同参画推進条例に基づいて設置された。委員は知事が委嘱。現在、短大教授や弁護士ら3人で構成されている。男女共同参画推進に影響があるとみられる県の施策について苦情が寄せられた場合、調査審議する。セクハラや女性への暴力についても受け付けている。


埼玉新聞 2002/12/16

「別学」主張おかしい
共学校から見た男女別学 朝霞西高小論文

(写真)県立朝霞西高校1年生が書いた共学化についての小論文。「男女一緒が自然」という意見が多数だった

 男女別学高校の共学化について、共学校の生徒はどう考えるのか。共学の県立朝霞西高校一年生四クラスの生徒たちが「別学、是か非か」をテーマに小論文を書いた。「社会に出たら男子、女子だけなどあり得ない」「男子もいた方が楽しい」「性別で分けないで」。それぞれの言葉で男女一緒の意義を語っている。

 小論文を書いたのは「現代社会」の授業。担当する田中祐児教諭が時事的な話題として共学化を取り上げ、朝日新聞に先月掲載された県立浦和第一女子高校生徒会長のインタビュー記事をもとに是非を論じさせた。

 その結果、「別学を残してもいい」生徒は三人で、ほとんどは共学化に賛成。

 理由の一つが実社会とのずれ。「男女いるのが本当の社会。卒業したら戸惑う」「企業の重役はほとんど男性という現状。男子のいない中でリーダーシップが取れても意味がない」と指摘する。

 女子だけだからこそ、と強調される別学の良さに違和感を持つ意見も。「男子の目を気にせず勉強や行事に打ち込めるというが、共学でも同じ」「私は共学だけど友達と真の付き合いをしています」「(インタビューで挙げた)伝統は女子校としての特色と関係ない」。

 そして「性別で分ける前にみんな同じ」と訴える。「男らしく、女らしくというジェンダーの考えをなくそうという中で、まだ男、女にこだわるのは変。同じ人間なんだから」「男子がいた方が楽しいです」

 田中教諭は「生徒たちは自然に男女共生を大事だと考え、素直に書いている。学校で名簿も席順も男女混合で、男女を意識しない場面が多いことが影響しているのかもしれない」と話している。

 インタビュー記事 県立浦和一女高校生徒会長が別学を残したい理由として(1)共学、別学の選択肢があった方がいい(2)女子校なら女子がリーダーシップを取れる(3)男子がいると自分をつくってしまう。女子だけなら自分を素直に出せて真の付き合いができる(4)ボート部で大会前に後輩が先輩に励ましのカードを渡したり音楽部で先輩が新入部員に手作りの楽譜入れを贈るなどの伝統を守りたい(5)共学になると成績のいい子は浦和高へ行きレベルが下がる―などとしていた。


毎日・埼玉版 2002/12/14

公立高共学化問題 県教育長、別学維持に含み−−中学校長にアンケート 
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 ◇中学校長のアンケート「80%は存続すべきだ」

 公立高校の共学化問題で、稲葉喜徳県教育長は13日、県議会の一般質問で別学校の維持を求めて提出された27万人署名について「県民の方々の強い希望の表れと受け止めている」と発言し、県内に残る別学13校の現状維持に含みを持たせた。答弁では、全中学校長へのアンケート結果も引用したが、最多の「これまでの県教委の方針がよい」(47・3%)の回答を、別学維持派と位置付け、「80%は存続すべきだという意見」と述べた。一部で根強い共学化要望については、ほとんど触れなかった。【小谷守彦、斎藤広子】

 アンケート結果は、議会後に前島富雄高校教育課長が記者会見して公表した。回答5項目のうち、「これまでの県教委の方針がよい」とした第3項目が、別学維持とも共学化推進とも解釈できることに質問が集中した。前島課長は「これまで共学化した事例は多い」と述べる一方で、「地元の要望があれば検討するが、県教委が共学化を呼び掛けたことはない」などと言を左右した。

 今後は稲葉教育長を含む6委員の合議で審議。渡辺修一郎委員長は「今の時点ではまったく判断はできない。集めた資料をすべて公平に扱った上で相談する」、青山孝行委員は「まったくの白紙。勧告も含めた双方の意見を反映させなければならない」と話した。宮原美佐子委員も「やっとスタートラインに立った。いろいろな意見を出し合って決める」と私見を避けた。

 署名の代表者で「共学と別学の共存を願う県民の会」の岩渕均さんは「別学校の存続を求める意見が教育現場で根強いことが裏付けられた。県教委には、現場や生徒の意見を尊重した結論を期待したい」と話した。

 3月に早期の共学化を勧告した県男女共同参画苦情処理委員(3人)の一人、深尾凱子さんは「論議されるのは喜ばしいこと。期限の3月までは、論議を見守りたい」と述べた。

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 ◇全中学校長へのアンケート結果◇(回答者・全423人)

(1)共学化を早期実現した方がよい。

     …… 28人(6.6%)

(2)学校ごとに年次計画(例えば10カ年計画など)を策定、共学化を進め

ていく方がよい。

     …… 32人(7.6%)

(3)これまでの県教委の方針(学科を再編制するなどの学校として大きく教育内容を変更する時などに、学校関係者や地域の要望等を踏まえて男女共学に変更)がよい。

     ……200人(47.3%)

(4)共学化の必要はない。

     ……146人(34.5%)

(5)その他

     …… 17人(4.0%)


埼玉新聞 2002/12/14

別学存続「中学校長の8割」
県立高校共学化でアンケート

 稲葉喜徳県教育長は十三日の県会一般質問答弁で、県立高校の共学化について全公立中学校長に行ったアンケートの結果を明らかにした。「別学高校を存続させるべきとの意見が80%を超えた」とし、この結果や別学高校長への聞き取り調査などを踏まえ、今後県男女共同参画苦情処理委員への報告内容を決めるとした。

 教育長は「まだ方針は決定していない」としているが、答弁で検討材料として挙げた資料はすべて別学存続を示しており、県教委としては別学を存続させたい意向をにじませた。島田正一氏(自民)の質問に答えた。

 島田氏は「別学の高校は、中学生や保護者からも強く支持されている。特色のある学校として残すべき。別学維持の方向性を出すべき時期ではないか」と質問。

 答弁に立った稲葉教育長は、十月に「共学と別学高校の共存を願う県民の会」が土屋義彦知事に共学化反対の二十七万人の署名を提出したことを「共学校と別学校を共存させて子どもが学校を選ぶ選択の幅を狭めないでほしいという県民の強い希望の表れと受け止めた」と表明した。

 さらに、別学高校長からの聞き取りで、別学存続の意見が寄せられていることと、県内全公立中学校長に行ったアンケートで「当面、現状の男女別学の高校を存続させるべきとの意見が80%を超えた」とした。

 「おおむね意見は出そろった」とし、今後、教育委員会で方向性を定めると答弁。議会後、稲葉教育長は「二月ごろに答えを出したい」と話した。

本当の当事者に意見を聞くべき

 県教委が高校共学化問題の方針を決める上で重要な資料にする全中学校長アンケートは、半数が従来の県教委方針を選択する結果になった。

 「従来の方針」とは、質問項目の文言では「学校側から要望があれば共学化する」と表現されている。しかし、そこに込められた意味を要約すると「県教委からは各学校にあえて共学化を働き掛けない」ということで、県教委は別学維持の意向を示す項目に分類した。

 一読しただけでは共学推進とも取れるあいまいな項目で、”本音“が各校長に伝わったのか疑問が残る。別学維持方針を引き出す誘導項目と受け取られても仕方ない。

 さらに、本当の当事者はこれから高校を目指す中学生やその保護者のはずだが「校長に聞けば十分」として直接意見を聞くことを避けた。県教委が自主的に行ったのは、別学高校長からの聞き取りだけで、身内の意見聴取にとどまった。

半数はあいまい回答

 県教委高校教育課は十三日、高校共学化に関する中学校長アンケート結果を発表した。教育長は「八割が別学維持」と答弁したが、回答の半数近くは共学推進とも別学維持とも取れるあいまいな項目を選択している。

 アンケートは十、十一月、県内全公立中学校長四百二十三人に実施、全員が回答した。

 共学化について、(1)早期に実現すべき(2)学校ごとに十カ年計画など年次計画を策定し進めるべき(3)これまでの県教委の方針(学科再編など学校の教育内容を大きく変更するときなどに学校関係者や地域の要望等を踏まえ共学化)(4)共学化は必要ない(5)その他―の五項目から選択するもの。

 その結果、(1)6・6%(2)7・6%(3)47・3%(4)34・5%(5)4・0%だった。最も回答が多い(3)について、前島富雄課長は「県教委は今まで共学化に積極的に取り組んでこなかった。(3)を選んだということは、今後もあえて共学化を掲げる必要はない、という意味だと理解している」とした。県教委は(4)と合わせ八割の校長が別学維持を選択したと解釈、教育長の答弁となった。


朝日・埼玉版 2002/12/14

「別学、県民が希望」
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 県立高校の男女共学、別学をめぐる論議で、稲葉喜徳教育長は13日の県議会で、「現状維持」の意見が8割以上を占めた公立中学校長へのアンケート結果を披露し、別学維持を支援する議員連盟が設置されたこと、別学維持の署名が27万人分集まったことを挙げ、「こうした動きが『学校を選ぶ選択の幅を狭めないでほしい』という県民の強い希望の現れと受け止めている」と述べた。

 島田正一県議(自民)が質問した。

 稲葉教育長は「県男女共同参画苦情処理委員の勧告以来、共学化に賛成、反対両面から様々な意見が寄せられた」としたうえで、別学維持の動きや意見を列挙し、「これらの状況を踏まえ、教育委員会で審議する」と答弁した。

 県教委はこれまで「共学化に関しては学校関係者や地域の意見を聞いて対応する」との姿勢を貫いている。今回のアンケート結果などは、いずれも県教委の「当面別学維持」の考えを後押しする形になった。

県教委解釈に疑問の声

 県教委は13日、県立高校の男女共学化について県内の全公立中学校長を対象にしたアンケート結果を公表した。「共学の必要はない」「当面は現状維持」との回答が81・8%に上り、「共学化を進めるべきだ」「共学化を早期に進めるべきだ」は14・2%だった。県教委は「結果を重く受け止める」としている。

 アンケートは県立高校の男女共学化について、進路指導にあたる中学校側の意向を把握しようと、県内423校の全公立中学校長を対象に実施、全校長が回答した。

 結果は多い順に「学科再編など教育内容を変更する際に学校関係者や地域の要望を踏まえて決める」(200人、47・3%)、「共学化の必要はない」(146人、34・5%)、「学校ごとに年次計画をたて、共学化を進めていく方が良い」(32人、7・6%)、「共学化を早期に実現した方が良い」(28人、6・6%)、その他(17人、4%)だった。

 県教委は「学科再編など教育内容を変更する際に−−」の設問について、「当面は現状維持という趣旨」と説明した。

 「現状維持」「共学化は必要ない」とした校長からは「多様な進路選択は重要。共学化は十分時間をかけて検討するべきだ」「義務教育と違う。別学も選択肢の一つとしてあった方が良い」などの意見が寄せられた。

 共学化推進の立場の校長からは「生徒や保護者、地域に混乱を招きかねない。年次計画をたてて共学化するのが良い」「男女共同参画は世の流れだ。多感な時期の健全な男女交流は望ましい」などの意見があった。

 県教委は校長から意見聴取した点について「学校の代表者として意見を聞いた。それで足りると考えている」と説明している。

「別学主張のみ尊重おかしい」

 県議会での教育長答弁について男女別学に反対する共学ネット・さいたまの秋山淳子世話人代表は「教育行政が別学維持を推進する人の意見だけを尊重して良いのか。県庁、議会が別学維持側に迎合しているようだ。21世紀なのに時代遅れの方向に進んでいるように思う」と語った。


読売・埼玉版 2002/12/14

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県立高校 別学か共学か〜ニュース・アイ〜  
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全国的には 共学化の流れ 中学校では  現状維持の声強く
 県男女共同参画苦情処理委員が今年三月、「すべての県立高校の早期共学化」を勧告。これを機に「別学」か「共学」かの議論が盛り上がっている。県教育委員会は十三日の県議会一般質問で「おおむね意見は出そろった。今後、教育委員会で審議し、方向性を定める」と答弁、来年三月末までに結論を出す方針だ。
 「別学校が性差別社会の要因とも受け取れる」。浦和一女高のPTAは、こう主張し今年七月、同委員に出した公開質問状が、今回の論争に火をつけた。同校は「開校以来の大問題に直面」(同校PTA新聞)と危機感を募らせている。

 同委員は「高校生活の三年間を一方の性に限ることは、人格形成からも男女共同参画社会づくりの視点からも問題がある」と勧告書で指摘。「男女の性差にとらわれることなく、個人の能力・個性を発揮していくため、男女別学校の共学化を早期に実現する必要がある」と結論づけた。

 県内の公立高校百六十四校のうち男女別学校は十六校。男子校は浦和高や熊谷高など五校、女子校は浦和一女高、春日部女子高など十一校ある。いずれも「伝統校」や「名門校」とされ、これら十一校の生徒代表が十月、知事公館を訪れて、「共学化反対」の決議文を土屋知事に手渡した。

 また、PTAなどで組織する市民団体「共学と別学高校の共存を願う県民の会」(岩渕均代表)は「画一的共学化は、生徒の選択肢を奪う」と反対を表明、二十七万人分の署名を集めた。また、県議五十人が超党派の議員連盟を結成、別学維持の支援に動き出した。

 一方、勧告書に賛同した「埼玉婦人問題会議」(世話人代表・石田都さん)は先月末、公立高校の男女共学推進に関する要望書を土屋知事に提出。浦和一女高出身で「共学ネット・さいたま」の世話人・志磨かおるさんは「出身校に誇りを持っているが、大人になってから女子校だから楽しかったわけではないと気づいた」と共学推進を掲げる。

 双方の要請に、土屋知事は「賛成反対で意見を言うのは結構だが、子供を巻き込むのは感心しない」と、生徒が運動の前面に立つことには渋い表情を見せる。

 別学校の校長は、別学のメリットを次のように話す。「男子の目を気にしないで個性を発揮できる。生徒の中には、男子がいると意見が言いづらい気持ちもあるみたいだ」(石黒覚・春日部女子高校長)。「共学だと遠慮がみられるが、男子校だと精一杯活動に打ち込める。多感な年齢なので、異性を意識することもあると思う。生徒を見ていると、急に共学にしなくてもという気がする」(斉藤勝人・熊谷高校長)。

 これに対し、勧告書は「男子がいると女子がリーダーシップを取りにくいというが、男性も女性もいる現実の社会で、リーダーシップをとる能力がなくては通用しない」と手厳しい。

 文部科学省などによると、現在、別学校が存続しているのは、群馬、福島、宮城など計七県。福島県は来年度をめどに共学化する。宮城県では、多くの県民が賛成する共学化の方向で進んでいる。さらに、秋田県では二〇一〇年度までに共学化への具体的なスケジュールを策定するといい、同省教育制度改革室は「県立高校の共学化は全国的に増えている」という。

 県教育局が十三日に公表した全公立中学校の校長四百二十三人へのアンケート結果では、82%が「現状維持」「共学化の必要ない」とした。別学の県立高校長へのヒアリングでも、別学維持の声が強かった。

 全国的な流れは共学化にあるが、本県では、別学維持にやや分があるようだ。


東京新聞・埼玉版 2002/12/14

男女別学
中学校長8割支持

 県の男女共同参画苦情処理委員がことし三月、公立高校の完全共学化を県教委に勧告していた問題で、県教委は十三日、県内すべての公立中学校長に行った意向調査で「当面」も含め八割以上が別学維持を支持したことを明らかにした。県教委は「別学維持派が多かった。重く受け止めている」としている。稲葉喜徳教育長も同日の県議会一般質問で、二十七万人を超える別学維持の署名が提出されたことについて「別学校を存続させてほしいという県民の方々の強い希望の表れ」と答弁しており、今後は別学維持の方向で進められるとみられる。

 調査は十−十一月にかけて、県内の公立中学四百二十三校の校長に実施し、全員から回答があった。

 「共学化の必要はない」と答えたのは百四十六人(34・5%)、「当面は現状維持で地域の要望などがあったときに共学化する」と答えたのが二百人(47・3%)で、八割以上が別学維持を支持した。

 「共学化を早期に実現した方が良い」は二十八人(6・6%)、「十カ年計画など年次計画を策定した上で共学化を進める」は三十二人(7・6%)、その他は十七人(4・0%)だった。

 別学維持を支持した校長は「別学校も選択肢の一つとしてあった方がよい」、共学化を支持した校長は「多感な時期の健全な男女交流は望ましい」と意見を付け加えた。

 県教委は今後検討に入り、来年二月中旬ごろまでに結論を出したいとしている。


産経・埼玉版 2002/12/14

県立男女別学高、存続へ
県教委アンケート「別学維持」が8割

 県内に十六校ある県立の男子高、女子高が共学化されずにそのまま存続することが濃厚になった。稲葉喜徳教育長が十三日、県議会の一般質問に答えた。稲葉教育長は、共学化反対署名が二十七万人も集まっていることと、公立中学校長を対象にしたアンケートで八割が別学維持を支持したことを挙げ、「これらの状況を踏まえて方向性を固める」とした。

 三月に「県男女共同参画苦情処理委員」が県教委に対して、「男女別学高校の共学化の早期実現」を勧告したことを受け、県教委は来年三月末までに、勧告への対応を求められている。

 そのため県教委では、別学高校の校長らからの意見聴取に続き、十月から県内四百二十三の全公立中学校長に、進路指導をする立場から共学化の是非を問うアンケートを実施していた。

 その結果、「これまでの県教委の方針がよい」が47・3%、「男女共学化の必要はない」が34・5%と、別学校の存続を支持する意見が八割を超えた。共学化を支持する意見は「共学化の早期実現」が6・6%、「年数をかけて共学化する」が7・6%と二割以下だった。

 県教委では「実際に進路指導にあたっている学校の意向で、重く受け止めたい」とアンケート結果を重視する考えだ。

 手続き上は今後、教育委員会などでさらに審議した上で最終決定する。

 現在、県内には公立高校百六十四のうち男子高五校、女子高十一校がある。

 共学をめぐっては、宮城、福島県などが別学校の共学化の方針を固めている。


朝日・栃木版 2002/12/06

企画特集

[私の教育改革論]


県立高校の別学と共学 現役高校生は?
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 県立高校の将来像を話し合う県の有識者会議は、年明けに県教委に提出する提言案を明らかにしました。「共学化が望ましい」としながらも、「男子校や女子校の存在を大切に」という内容も盛り込んでいます。栃木と同じように男女別学の公立高校の多い宮城や福島は「時代の流れ」として、すべて共学にする方針を打ち出しており、全国的にも珍しい提言です。現役の高校生はこの問題をどう受け止めているのか。共学と別学両校の生徒会長に聞きました。  (聞き手・土屋亮)


 ●宇都宮北高校 村樫祐美さん

 −−今の高校を選んだ理由は。

 「父の仕事の都合で小学4年から中学3年まで英国の現地校に通い、帰国後、県内の中学に編入しました。せっかく英語を身につけたのだから、さらに磨きたいと思い、英語教育に力を入れている北高を選びました」

 −−女子校に行こうとは思いませんでしたか。

 「英国の学校は小中高一貫の女子校だったので、今度は共学がいいかなと……」

 −−共学と別学の両方に通った経験を通して感じたことは。

 「帰国後、中学でクラスに男の子がいることに慣れなくて、しばらく男子に対しては話しかけるだけで緊張しました。女の子だけでいる楽しさも分かるけれど、慣れれば、私は共学の方がいい」

 −−それはなぜ。

 「男の人と向き合っても自然に振る舞えるようになるし、男女の考え方の違いを知るのは大事だと思うからです。個人差があるから一口には言えないけれど、男子と女子で考え方はかなり違います」

 −−具体的には。

 「例えば恋愛の仕方。男子は熱しやすく、割合すぐに人を好きになる。でも、つきあい始めて自分の求めているものが相手にないと分かると、途端に冷めてしまう。女子は少しずつ好きになっていくから、足りないものがあったとしても、それも含めて全部好きになることが多いんじゃないでしょうか。身近な男子を見ていてそう思います。友達でも互いの考え方をよく知っている子同士は長くつきあっています」

 −−共学だと男子を意識して女子は遠慮してしまうという意見もありますが。

 「そんな風に感じたことは一度もありません。秋の学校祭では、男子にあまり計画性がなかったので、女子が男子に指示して進めていたくらい。今の生徒会も11人のうち8人が女子です」

 −−共学の高校を増やした方がいいですか。

 「共学が自然な流れとは思いますが、別学がダメというわけではありません。男子校、女子校に行きたい人は行ったらいいと思うし、一気にすべて共学にしなくてもいいのかも。将来は、別学に通いたいという声が残っていれば、少しは残せばいいのではないですか」


 ●宇都宮女子高校 加藤未樹さん

 −−今の高校を選んだ理由は。

 「家から近い進学校だったので、宇女高に行くのが自然だと思っていました。特別に女子校だか