[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック

地方のニュース Local News - TransNews

Trans News > Local News

地方のニュース

updated 2003/12/22
(ハイパーリンク・参考条文・西暦は引用者による)

地方自治体の取り組み Local Governments


意見書・決議 (朝日・東京版 2003/05/19)

 1地方議会の1件の議案が、全国に影響を及ぼすこともある。

 昨年9月、小金井市議会は「性同一性障害の人たちに、戸籍の性別訂正を認めるよう求める」という意見書案を可決、採択した。

 近隣の武蔵野市や埼玉県新座市などが同趣旨の意見書を可決し、自治体の公文書から性別記載をなくそうという取り組みが全国に広まった。

 発案者の若竹綾子市議のもとには、当事者たちから感謝のメールが相次いだ。「知人から『手術で外見が変わっても、戸籍は以前の性のまま』と聞いて、おかしいと思った。でも、あれほどの反響があるとは思わなかった」と振り返る。

■全国で1500件

 意見書は、地方議会が政府や国会、担当省庁などに意思を伝える方法として、地方自治法で認められた権利だ。似たものに決議があるが、こちらには法的な根拠はない。

 全国市議会議長会のまとめによると、全国約700の市区が、12月議会や同じころの臨時会で可決した意見書や決議は1585件に上る。地域雇用対策の強化や改善を求める意見書が121件と最も多く、北朝鮮による拉致問題の真相解明が114件で続く。

 1件だけでは影響力は小さいが、数が増えれば「世論」になる。ある代議士の秘書は「個々の意見書が手元に届くわけではないが、参考にすることがある」と話す。

 このため、共産党などは、議会前に都道府県組織が、可決を目指す意見書の内容やひな型を地方組織に連絡している。同党の市議は「各地で一斉に取り組めば影響力は強まる。組織政党として当然の方法だ」と言う。

 メールやファクスを使って、全国の地方議員に同じ意見書の提出を求めたり、国会議員の事務所に送ったりする無所属議員もいる。

■内輪の権威

 一方で、決議が議員の制裁や、「議会の権威」を誇示する手段に使われることもある。

 ある武蔵村山市議は、「常任委員会で反対した案件に、本会議で賛成した」などとして、96年と02年の2回、「反省を求める決議」を可決された経験がある。

 この市議は「素直に反省した」と言うが、やはり複数回、「反省」「猛省」を求める決議を突きつけられた別の市議は「決議文を議会便りに載せ、市民に配ることが目的だった」と嫌悪感を示す。議会の慣例に従わなかっただけで、反省を求めることも少なくない。

 若竹さんは言う。

 「私も決議で反省を求められたことがあるが、市民が困っている問題は、国の制度が変われば解決できることが多い。積極的に使うべきです」

役所の書類、性別不問の動き 性同一性障害の人に配慮 (朝日 2003/03/11)

 心と体の性が異なる性同一性障害の人たちに配慮し、申請書や証明書などから、性別の記載をなくす動きが地方自治体で広がり始めている。戸籍の性別を訂正するための法整備を求めている当事者たちは、「国の動きにつながってくれれば」と期待している。

 東京都小金井市は来月投票の都知事選から、投票所入場はがきの性別記載をなくす。印鑑登録証明書についても、性別記載をなくすための条例改正案を市議会に提出している。それ以外の申請書などについても、6月末をめどに、本当に性別欄が必要かを点検している。

 障害の当事者は「外見と記載の性別が違う」と窓口で問いただされるのが不安だ。「もし近所の人に知られたら」と悩み、投票に行かない人もいるという。こうした声を聞いた稲葉孝彦市長が「苦痛を和らげたい」と見直しを指示した。入場はがきの性別はバーコードにして、男女別投票率は自動集計する。

 埼玉県草加市も印鑑条例の改正案を提出したほか、新年度から図書館の利用カードの交付申請書や保育所の入所申し込みなど、市の文書90件から性別欄をなくす方針だ。

 同県新座市も新年度に、印鑑登録証明書や図書館の利用申し込みなど85件を見直す。鳥取市も職員採用試験の申込書や奨学金の願書など35件の様式を改める予定。

 各市の担当者によると、国から書式を指定されたり、男女別統計を求められたりしていない文書については、すべて見直しの検討対象にしたという。

 当事者の間では、戸籍の性別訂正による根本的な解決を求める声が強い。現行法では、出生時の性別が勘違いなどで間違っていた時、家裁の許可で訂正できる。しかし性転換手術による訂正は、家裁が「法的根拠がない」などとして却下している。

 当事者たちは1月末、立法での解決を目指して市民団体を結成。性同一性障害と診断されれば訂正を認めるように、国会議員に法整備を働きかけている。

 東京都在住の虎井まさ衛さん(39)は、男性として働くアルバイト先から「正社員にならないか」と誘われたが、女性と書かれた住民票を出せずにあきらめたことがある。「地方自治体の動きはとてもうれしい。耳を傾けてくれる議員も増えており、国レベルの動きにつながってほしい」と話している。 (03/11 17:27)

こちら特報部 『改革』の波 地方から 性同一性障害 性別記載の削除 印鑑証明、投票入場券… 戸籍法改正は“難” (東京新聞 2003/03/03 朝刊 22頁 特報1面)

 性同一性障害(GID)の当事者に配慮し、複数の地方自治体が新年度から印鑑登録証明書などから性別の記載を削除する方針を固めた。国が統轄する戸籍の性別(続柄)訂正は依然、難しい状況だが、地方から「改革」の波が押し寄せている形だ。(田原拓治)

 「選挙行けぬ」 当事者の苦痛

 証明書や申請書などからの性別欄削除に四月から取り組む方針を明らかにしているのは東京都小金井市、府中市、埼玉県新座市、草加市、鳥取県鳥取市など。

 昨年九月に全国に先駆け市議会が国に戸籍の性別訂正を求める意見書を可決した小金井市では、三月議会に性別欄を削除する印鑑条例改正案が提案された。

 戸籍謄本や住民票は戸籍法や住民基本台帳法で性別記載が義務付けられているが、印鑑証明の項目については旧自治省(総務省)の通達はあっても義務ではなく、各自治体が条例で策定できる裁量を持っている。

 同市ではほかに四月の統一地方選で用いる投票入場はがきの性別欄もなくし、各行政文書も可能な限り男女の記載をやめる方針だ。

 こうした動きは他の自治体にも波及している。総務省市町村課は「全国の動向は把握していない」とするが、府中市でも三月議会で生活文化部長が「不必要な性別欄は見直す」と述べ、具体化の検討を表明。新座市も印鑑証明や投票入場券の性別欄の廃止に加えて、百八十一件の申請書類と四十の文書の再検討を始めた。

 草加市は印鑑登録申請書など約七十件の申請書で性別の記載をやめ、鳥取市は三十五の公文書から性別欄を削ることを決めた。

 ほかに神奈川県大和市議会では、三月議会で小金井市と同様、戸籍訂正の意見書を可決する見込みだ。

 すでに男性から女性への性別適合(性転換)手術を済ませた埼玉県在住の当事者(30)の一人はこうした状況を「一歩前進」と評価する。「投票所にはアルバイトの子たちもいる。こうした子たちにプライバシーをさらすのは苦痛で、選挙には行けなかった」と言う。

 「不利益与える 戸籍制度不要」

 とはいえ、現状は旅券取得や就職などに必要な住民票や戸籍謄本の性別記載を変えるまでには至っていない。この当事者は「就職するのに憶病になる。自分にとり元の性が分かるのは裸を見られるよりつらい。生きているうちに法整備が進んでほしい」と話す。

 この高いハードルを変えようという運動も勢いを増しつつある。先月二十七日には衆院予算委員会で、森山真弓法相が「戸籍法の改正は難しい」としながらも当事者救済のための議員立法の動きがあれば「お手伝いしたい」と答えた。

 四月の東京都世田谷区議選には性別記載訂正の運動に携わる当事者のAさん(35)が立候補する。Aさんは「自らが暮らす地域で問題への理解を広げたい。自分の体験から他の少数者の人権にも光を当てたい」と語る。

 大和市議会での意見書作成に携わった拓殖大学の松村比奈子講師(憲法学)は「プライバシーの権利には自己の情報を操作する権利と情報に対する自己決定権がある。前者は自治体の性別記載削除の動きと絡み、後者は戸籍の性別訂正にかかわる」と説明する。

 そのうえで「戸籍制度には嫡出児か否かを含め、人の序列化と排除の論理が貫かれている。これは普段、気づかないがGID当事者のように不利益を被るとこの本質にぶつかる。性別訂正の権利を持つことは当然だが、記載は残る。長子相続がなくなったいま、制度自体が不要」と指摘する。

 全国のGID当事者数は精神科への受診数などから約二千六百人との推定があるが、実数はその十倍ともいわれる。

 一九九七年に日本精神神経学会が治療ガイドラインを発表して以来、社会的な注目を集め始め、かつて困難だったGIDを理由とした戸籍上の改名は現在、ほぼ認められている。

豆辞典 性別欄廃止 (中国新聞朝刊 2003/02/03)

 身体的な性に強い違和感を抱く性同一性障害の住民に配慮しようと、市が発行する印鑑登録証明書や市施設利用の申請書などから男女の別を記載した性別欄を廃止する埼玉県新座市の計画。2003年度からの実施を目指しており、東京都小金井市も同様の方針を打ち出している。

 新座市は条例や規則で、証明書発行などの際には性別の記入が必要と規定。公民館など市施設の利用許可申請書でも性別の記入を求めているが「行政情報として性別が不可欠とは言えず、記入したくない人たちの心情にも配慮すべきだ」として、なくすことにしたという。他の行政文書についても廃止を検討している。

topへ