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埼玉県和光市
updated 2003/12/20
市議会2003年3月定例会会議録 (2003/03/14)
平成15年 3月 定例会
平成15年和光市議会3月定例会
第17日
平成15年3月14日
(中略)
△市政に対する一般質問(続き)
○副議長(白井伸明 議員) 次に進みます。発言順位16番、21番、阿部かをる議員、通告書に従い、お願いいたします。
〔21番(阿部かをる議員)登壇〕
◆21番(阿部かをる 議員) 通告に従い、一般質問をさせていただきます。
性同一性障害を抱える方々の人権を守る市の対応策について。
12月議会において、国に対し性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書が可決されましたが、現状は、性同一性障害で心と性の不一致に苦しんでいる人々に対し、十分な理解もなされておらず、法的整備もされておりません。実際の体の性と本人が自覚する性の認識が一致しないことに悩み苦しむ状態が性同一性障害であります。発症原因は医学的に解明されておりませんが、精神的にも肉体的にも全く正常な人が、自分の肉体がどちらの性に属しているかをはっきり認知しながら、その反面、意識としては自分が別の性に属していると確信している、本人にとってはとても苦しい大変な障害であります。治療法としてはホルモン投与があり、それでも解消しない場合は性転換手術が行われております。
日本精神神経学会の発表によると、1998年に埼玉医科大学で国内初の性転換手術が行われて以来、手術数は21件行われております。推定患者数は約 2,600人と報告されておりますが、実際には10倍以上いると言われております。日本精神神経学会が1997年に発表した「性同一性障害に関する答申と提言」に基づく診断基準と治療に沿って合法的に性転換手術を受けた場合、家庭裁判所では戸籍上の名前の変更が認められているのに、性別、男女の記載の変更は認められておりません。現行の戸籍法第13条のもとでは、性別記載の変更は困難であるというのが司法の判断となっております。数千人いらっしゃる性同一性障害者の方々は、日々の暮らしの中でさまざまな差別やいじめの対象となるケースが生じており、基本的な生活を送ることができなく、苦しんでいらっしゃいます。
例えば、結婚、パスポートの申請・使用、選挙の投票など、人として基本的な権利の行使にすら支障を生じております。また、治療費は保険が適用されず、医療費の負担も大きくのしかかっております。就職する場合も、性別を記載している住民票を出さなければならず、就職も困難であります。性同一性障害に対する差別、偏見、無認識のために、苦しみ悩みながらの生活を余儀なくされております。
このように、性同一性障害を抱えている方々の人権を守るために、市としてできる対応についてお伺いします。
1、印鑑証明、選挙の投票所入場券の男女記載の撤廃。
2、市が発行する文書、利用申請書等、上位法に触れない限りの性別記入の撤廃。このことについては、公文書の男女記載について、1、上位法に基づくもの、2、必要不可欠なもの、3、市の判断で考え直せるもの、この3項目別に全部リストアップしていただき、市の判断で撤廃できるものについては早急に対応をしていただきたい。
次に、平成12年12月に制定された「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」、地方公共団体の責務第5条に「地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」とあります。そこで、教育現場で人権の観点から性同一性障害の性教育について、また、教職員の研修と生徒に対する意識啓発の教育の実施、そして行政側として市の職員、カウンセラー、保健師等、専門職の方々への意識啓発について、お伺いいたします。
(中略)
1回目は以上で終わります。
○副議長(白井伸明 議員) 21番、阿部かをる議員の質問に対する答弁をお願いします。
市民環境部長。
〔市民環境部長(小島英彦)登壇〕
○市民環境部長(小島英彦) まず、発言事項1の性同一性障害を抱える方々の人権を守る市の対応策についてのうち、印鑑証明と市が発行する文書、利用申請書等、上位法に触れない限りの性別記入の撤廃につきまして、これは相互関係がございますので、一括して御答弁をさせていただきます。
まず、印鑑証明書の男女記載の省略ができないかとの御質問でございますが、印鑑登録証明事務につきましては、昭和49年2月1日付の自治省行政局振興課長から、印鑑登録証明事務要領が示されまして、印鑑登録証明書は印影の写しのほかに、記載事項として、1つ目、氏名、2つ目、出生の年月日、3つ目、男女の別、4つ目、住所を記載するものとされております。この印鑑登録証明書は、不動産の登記ですとか自動車の登録、公正証書の作成等、法令の規定に基づき提出が義務づけられておりますほか、国民の権利義務の発生、変更等の行為について広く利用されております。印鑑自体の同一性のみならず、取引行為者自身の同一性を確認し、取引行為が行為者の意思に基づくものであることを確認する信頼し得る確実な資料として利用されており、紛争の未然防止などの手段として供されるなど、私人の取引上の重要な機能を含んでおります。このことから、市では印鑑登録証明事務処理要領に基づき、和光市印鑑条例を制定をいたしまして、条例の趣旨に沿って、その適用に努めてまいりましたが、条例に男女別等の記載も規定しておりますので、条例の見直しも含め、研究対応をしてまいりたいと考えております。
また、印鑑証明書はもとより、市が取り扱う事務文書は多岐にわたり相当数ございます。法令等に規定される以外の文書につきましては、文書の意義の原点に立ち戻って、必要最小限の事項を表示することとする研究を見直しの中で行ってまいるべく検討したいと考えております。可能なものから順次、御質問の趣旨にこたえられるよう努力をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○副議長(白井伸明 議員) 総務部長。
〔総務部長兼選挙管理委員会事務局長(芳野雅廣)登壇〕
○総務部長兼選挙管理委員会事務局長(芳野雅廣) 1番の性同一性障害を抱える方々の人権をお守りしての対応策についてのうち、選挙の投票所入場券の男女記載の撤廃につきましてお答え申し上げます。
選挙における投票所入場券につきましては、公職選挙法施行令第31条の規定に基づき、選挙事務を円滑にするため、選挙期日及び投票所の案内と投票所における受付事務の際に本人の確認の手段として交付しているものでございます。入場券への男女の記載は、その確認を容易にするためであると同時に、投票状況の集計及び統計等作成のため、事務処理上必要なものでございます。
投票所における受付事務に関しましては、今回の統一地方選挙並びに住民投票から電算化をすることといたしました。これは投票所入場券に選挙人ごとのバーコードを付し、それを読み取ることにより受け付け及び名簿対照を行うと同時に、システム上で男女別の投票状況等の集計が行われることとなっております。また、公職選挙法施行令の規定には、投票所入場券の記載内容まで規定されていないため、様式や記載内容については各市町村において任意のものを作成しておるところでございます。これらのことから、形式的にも事務作業の上でも、男女別記載は省略可能でございますので、今回の選挙から導入してまいりたいと存じます。
次に、1番の3番目、教育と意識啓発につきまして、市職員等に関することにつきましてお答え申し上げます。
市職員等に対する研修につきまして、性同一性障害の理解のみに限定した研修としては行っておりませんが、広く人権問題研修として、人権問題の本質を学び、その現状を正しく理解し、行政関係者としての対応と認識を深めるため、毎年2回実施し、全職員が2年に一度は受講するようにしております。
なお、保健師等の専門職につきましても、人権問題研修として広く研修しておりますが、今後の社会情勢を見ながら、特に個別的な対応の必要性があれば、内容を限定した研修を検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(白井伸明 議員) 教育長。
〔教育長(荒井 経)登壇〕
○教育長(荒井経) 性同一性障害のうちの教育と意識啓発についてお答えを申し上げます。
性同一性障害とは、形態的には完全に正常で、自分の肉体がどちらの性に属しているかをはっきり認識している一方、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態と定義されているようでございます。
性同一性障害が我が国で取り上げられるようになりましたのは、平成7年5月から平成8年7月に持たれた埼玉医科大学倫理委員会からの性同一性障害についての答申があってからとのことであるようでございます。
このような状況において、現在、和光市におきましては、性同一性障害を小中学校児童・生徒を対象とした指導をする計画はございません。小中学校児童・生徒の発達段階で、性同一性障害を十分に理解することが難しく、また十分な準備がなされていないと判断しているからでございます。
しかしながら、今後においては、人権教育の一端として取り扱う時代が来るであろうということは否定できないというふうに思っております。また、教育現場におきましては、性同一性障害に関する問題が起こる可能性も、これも否定できませんので、これらを考慮いたしまして、学校職員に対しては機会を見て性同一性障害についての資料や情報等の提供による意識の啓発をいたしてまいりたいというふうに考えております。
(中略)
○副議長(白井伸明 議員) 保健福祉部長。
〔保健福祉部長(石川 幹)登壇〕
○保健福祉部長(石川幹) 教育と意識啓発のうち、保健師の研修の実施についてお答えいたします。
性同一性障害者は、性別違和感のほかに、社会生活のさまざまな側面に深くかかわる問題を抱えており、そのために生ずる苦痛、苦悩は大きく、社会適応も損なわれ、自分自身が満足のいく生活を送ることは著しく困難が生じていると言われております。また、偏見をなくし、広く社会に理解や支持を得られるように意識啓発が必要とされております。
保健師の研修につきましては、正しい認識を持つため、研修等へ参加し、理解を深めてまいりたいと考えております。
(中略)
○副議長(白井伸明 議員) 21番、阿部かをる議員。
◆21番(阿部かをる 議員) まず、1番目の質問からでありますが、印鑑証明に関しては、るる御説明がありまして、49年のということのお話がございましたが、実際、東京都小金井市、また新座市においては廃止の方針が打ち出されております。そういう現実があるわけですので、望ましくはないけれども法律上は違法とならないという観点から、人権上そういう廃止をしている市もあるということで、ぜひ条例の見直しを含めという御答弁をいただきましたが、ぜひ、御検討を具体的にしていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の選挙の投票所の入場券ということは、今回の選挙からということで実施していただけるということなので、ありがとうございました。
次の公文書に関してでありますが、たくさんあるわけで、それを全部掌握してみないと何とも難しい問題があるかと思いますが、調査する期間等、また用紙の切りかえの、いつでも切りかえればいいということではないかと思いますので、その用紙の切りかえ時期も問題があるかと思いますが、ぜひ、できる時点から切りかえていただければ、こういう問題というのは表面化にはなっていませんけれども、本当に全国に何千人といらっしゃるという実態があるわけでありますので、ぜひ早急な対策をお願いしたいと思います。
国においても、今現在、超党派で障害者の社会参加を阻む、それ自体を取り除くための法律、仮称でありますが障害者差別禁止法に取り組んでいる状況であります。人権教育及び人権啓発の推進に関する法律の目的の第1条に、「この法律は、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、社会的身分、門地、人種、信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外の情勢にかんがみ、人権教育及び人権啓発に関する施策の推進について、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、必要な措置を定め、もって人権の擁護に資することを目的とする」とあります。これは地方だけの問題ではなく、先ほども上位法にかかわる件に関しては変えられないということもありますので、ぜひ行政としても国に法改正の動きを働きかけていただきたいと思いますが、それに関してはいかがでしょうか、市長にお伺いいたします。申しわけありません。
○副議長(白井伸明 議員) 市長。
○市長(野木実) この問題、今もお話がありましたが、国会でも超党派で取り組んでいるということで、必要のないところでの表示というのは、当然もう現状こういう問題解決のためには必要だという共通認識はできていると思います。あとは事務的な整備の問題だと思っておりますので、機会あるごとに申し上げていきたいと思いますし、この流れは間違いなく実現していくというふうに確信をいたしております。
(後略)
「性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書」 (市議会2002年12月定例会会議録 (2002/12/24)
平成14年 12月 定例会-12月24日−08号
(前略)
△意見案第16号の提案説明
○議長(木原直議員) 次に、意見案第16号を議題とします。
提出者の提案理由の説明を求めます。
22番、山口慶子議員、登壇願います。
〔22番(山口慶子議員)登壇〕
△委員会付託の省略について
◆22番(山口慶子議員) 意見案第16号、性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書。
上記の意見案を和光市議会会議規則第14条の規定により提出します。
平成14年12月24日、和光市議会議長、木原直様。提出者、和光市議会議員、山口慶子。賛成者、以下、敬称を略させていただきます。和光市議会議員、山岡清、阿部かをる、白井伸明、井上敬三、山本軍四郎。
案文を朗読して提案理由にかえさせていただきます。
性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書。
我が国では、1997年に性同一性障害に対して日本精神神経学会によるガイドラインが定められて以来、外科的治療による性別適合手術が合法的に可能になりました。しかし、その後 200名を超える手術希望者がいるとされながらも専門医は限られ、保険適用もなく、手術は21例が報告されているにすぎません。
性同一性障害で心と性の不一致のために苦しんでいる人々に対して、我が国では社会も法律もまだ十分な理解と対応を持っていません。
2000年12月にようやく「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制定され、関連の答申「人権救済の在り方について」及び「人権教育・啓発に関する基本計画」の中で性同一性障害の差別を解消し、人権の擁護に資することをうたってはいますが、いまだ、当事者の不自由さは何ら変わっていない現状にあります。
国民の権利である選挙権の行使や就職、また地域社会を含むあらゆる場での人間としての公平な生活ができるよう、早急に必要な法と社会環境の整備を求め、下記の事項を政府に要望します。
記
1 戸籍の性別訂正を可能にする法の改正を行うこと
2 公文書の性別記載の可能な限りの削除を行うこと
3 就職や職場での差別と不当解雇の禁止
4 治療の保険適用、医療機関の拡充など医療面での国の支援を図ること
5 教育、医療関係従事者など、性同一性障害にかかわる専門職の研修の実施
6 性教育の充実(セクシュアル・マイノリティーを含む)及び教育現場での理解を深めること
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成14年12月24日、埼玉県和光市議会。
衆議院議長 綿貫民輔様、参議院議長 倉田寛之様、内閣総理大臣 小泉純一郎様、法務大臣 森山真弓様、文部科学大臣、遠山敦子様、厚生労働大臣 坂口力様。
以上です。
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○議長(木原直議員) お諮りします。意見案第16号については、会議規則第37条第2項の規定により、委員会の付託を省略したいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」という声あり〕
○議長(木原直議員) 異議ないと認めます。よって、意見案第16号については、委員会の付託を省略することに決しました。
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△意見案第16号の採決−原案可決−
○議長(木原直議員) 意見案第16号について、質疑を許します。
〔「なし」という声あり〕
○議長(木原直議員) 質疑がありませんので、質疑を終結します。
提出者、御苦労さまでした。
意見案第16号について、討論、採決を行います。
意見案第16号について、討論を許します。
〔「なし」という声あり〕
○議長(木原直議員) 討論がありませんので、討論を終結します。
採決します。意見案第16号について、原案のとおり決することに賛成の方の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(木原直議員) 起立多数。よって、意見案第16号、性同一性障害を抱える人々が普通に暮らせる社会環境の整備を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
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(後略)