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第155回国会 参議院法務委員会議事録 2002/12/10 (抄)
全文
uploaded 2002/12/16
(ハイパーリンク・参考条文・西暦は引用者による)
第155回国会 法務委員会 第13号
平成十四(2002)年十二月十日(火曜日)
午前十時一分開会
─────────────
委員の異動
十二月五日
辞任 補欠選任
木庭健太郎君 浜四津敏子君
十二月六日
辞任 補欠選任
川橋 幸子君 鈴木 寛君
山下 栄一君 荒木 清寛君
十二月十日
辞任 補欠選任
鈴木 寛君 高嶋 良充君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 魚住裕一郎君
理 事
市川 一朗君
服部三男雄君
千葉 景子君
荒木 清寛君
井上 哲士君
委 員
青木 幹雄君
岩井 國臣君
柏村 武昭君
佐々木知子君
陣内 孝雄君
中川 義雄君
野間 赳君
江田 五月君
高嶋 良充君
角田 義一君
浜四津敏子君
平野 貞夫君
福島 瑞穂君
衆議院議員
法務委員長代理 鎌田さゆり君
法務委員長代理 漆原 良夫君
国務大臣
法務大臣 森山 眞弓君
副大臣
法務副大臣 増田 敏男君
大臣政務官
法務大臣政務官 中野 清君
事務局側
常任委員会専門員 加藤 一宇君
政府参考人
法務省民事局長 房村 精一君
法務省刑事局長 樋渡 利秋君
法務省矯正局長 中井 憲治君
法務省人権擁護局長 吉戒 修一君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
(名古屋刑務所等矯正施設の処遇に関する件)
○戸籍法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
(中略)
○浜四津敏子君 よろしくお願いいたします。
それでは、戸籍法に関連して一点質問させていただきます。
戸籍法の立法趣旨、また戸籍制度の目的は何かについて確認させていただきますが、それは、私どもが日本人として生まれ、出生届を提出することによりまして、戸籍に氏名、生年月日、出生地、性別、父母の氏名などが記載されることになります。その後も、結婚、出産、離婚、養子縁組等々、個人が一生社会生活を送る上で基礎となる身分関係に関する情報、個人を特定する情報がすべて戸籍に記載されることになります。
私たちが日常生活を送る上で戸籍を意識する機会は通常はそれほど多くありませんが、一方で、例えば小学校入学を始め学校に入る手続の場合には戸籍事項の記載が必要となりますし、また住民票の記載も戸籍が基になります。パスポート、運転免許、選挙権行使など、社会生活を送る上でその記載が基になり、必要不可欠のものであることは言うまでもありません。
その意味で、戸籍というのは一人の人が幸福を追求する権利、つまり基本的人権を遂行する、その幸福を追求しながら健全な、スムーズな社会生活を営むことを保障するためにあると、その点が一番重要な戸籍制度の目的であろうと考えられます。
先日の法務委員会で性同一性障害の方の戸籍の記載について質問いたしましたが、重なりますが、性同一性障害に悩む方が、医学的に厳格なガイドラインによって性同一性障害と診断され性変更の手術を受けて、家裁から名前の変更許可を受けている人も現在多数に上っております。しかし、現実の社会生活においては、例えば女性から男性へという性転換の手術を受け、裁判所の許可を受けて男性の名前に名前を変更し、男性として社会生活を送っているにもかかわらず、戸籍上の性別は依然として女性のままでございます。そうなりますと、海外に行く際のパスポートでの本人確認、あるいは選挙で投票する際の本人確認、また運転免許証を提示した際にも本人確認にその都度、不都合を生じたり混乱を来すという事態が生じております。そこで、海外旅行にもなかなか行けない、あるいは選挙に行くにもちゅうちょするという事態が生じております。戸籍の記載がかえってその人の健全な社会生活を送ることを阻害していると言わざるを得ない状況でございます。また、だれから見ても男性で、男性名の人が戸籍上は女性というのではかえって社会の混乱を来すことになると思われます。
先般、東京小金井市では、市長が性同一性障害者への偏見、差別をなくしたいと述べられて、印鑑登録証明書から性別記載をやめることを明らかにいたしました。地方自治体でも真剣にこの問題に取り組んでいるところもございます。国においても、例えば厚生労働省に性同一性障害認定機関を設けて、その認定を受けた者については家裁の許可を経て戸籍の性の変更を認めるなどの方策が考えられます。
先日の質問に対しまして法務当局は、関係機関と連携の上、真剣に検討したいと答弁されましたが、その検討状況について改めてお伺いいたします。
○委員長(魚住裕一郎君) 房村民事局長、簡潔に。
○政府参考人(房村精一君) 御指摘の性同一性障害、病気であるという認識が非常に社会的にも広がっているということは私どもも認識しておりますし、また様々な面で戸籍の記載が社会生活上の障害になっているのではないかという点も御指摘のとおりであろうと思います。
ただ、なかなか、性別という最も基本的な部分をどうするかという点につきましては、ただいま御指摘のような検討もまた考えられるかと思いますが、そういう点も含めまして引き続き検討をしたいと考えております。
(中略)
○井上哲士君 戸籍のありようというのは日本人の家意識というのに非常に大きな影響を与えておりまして、当時の民法改正研究会の指摘は今なお新しいという学者の指摘もあります。個人の尊重というのが真に具現化をされる制度を作る必要があるのではないかということだけ指摘をしておきます。
最後に、先ほども性同一性障害の問題で質問がございました。家裁に申立てをして変更が認められたのは、戸籍の性別の変更が認められたのはこれまで一件だけなわけでありますが、性同一性障害を理由として性転換手術を受けた人の社会生活上の不便を考えますと、もっと広く変更が認められるべきだと思います。
この間の答弁では、国民的議論の動向やガイドラインの内容などを踏まえつつ対応していきたいということもあるわけですが、こういう国民的な世論など法務省として何か調べたことがあるのか、またそういう計画があるのか、それも踏まえて今後どのような対応をしていくのか、質問をいたします。
○政府参考人(房村精一君) 国民的議論の動向ということで特段、従来、世論調査等をしたということはございません。この問題をめぐるいろいろな発言あるいは報道等について注意を払っているというところでございます。
今回の御議論、あるいは関係機関とも連携を取りまして、いずれにしても私どもとしても真剣に検討をしていきたいと、こう考えております。
(後略)
参考
戸籍法の一部を改正する法律(2002/12/11成立)全文 理由・要綱
| 戸籍法の一部を改正する法律 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の一部を次のように改正する。 目次を次のように改める。 目次 第一章 総則(第一条―第五条) 第二章 戸籍簿(第六条―第十二条の二) 第三章 戸籍の記載(第十三条―第二十四条) 第四章 届出 第一節 通則(第二十五条―第四十八条) 第二節 出生(第四十九条―第五十九条) 第三節 認知(第六十条―第六十五条) 第四節 養子縁組(第六十六条―第六十九条の二) 第五節 養子離縁(第七十条―第七十三条の二) 第六節 婚姻(第七十四条―第七十五条の二) 第七節 離婚(第七十六条―第七十七条の二) 第八節 親権及び未成年者の後見(第七十八条―第八十五条) 第九節 死亡及び失踪(第八十六条―第九十四条) 第十節 生存配偶者の復氏及び姻族関係の終了(第九十五条・第九十六条) 第十一節 推定相続人の廃除(第九十七条) 第十二節 入籍(第九十八条・第九十九条) 第十三節 分籍(第百条・第百一条) 第十四節 国籍の得喪(第百二条―第百六条) 第十五節 氏名の変更(第百七条・第百七条の二) 第十六節 転籍及び就籍(第百八条―第百十二条) 第五章 戸籍の訂正(第百十三条―第百十七条) 第五章の二 電子情報処理組織による戸籍事務の取扱いに関する特例(第百十七条の二―第百十七条の四) 第六章 雑則(第百十七条の五―第百二十五条) 附則 第十一条の次に次の一条を加える。 第十一条の二 虚偽の届出等(届出、報告、申請、請求若しくは嘱託、証書若しくは航海日誌の謄本又は裁判をいう。以下この項において同じ。)若しくは錯誤による届出等又は市町村長の過誤によつて記載がされ、かつ、その記載につき第二十四条第二項、第百十三条、第百十四条又は第百十六条の規定によつて訂正がされた戸籍について、当該戸籍に記載されている者から、当該訂正に係る事項の記載のない戸籍の再製の申出があつたときは、法務大臣は、その再製について必要な処分を指示する。ただし、再製によつて記載に錯誤又は遺漏がある戸籍となるときは、この限りでない。 市町村長が記載をするに当たつて文字の訂正、追加又は削除をした戸籍について、当該戸籍に記載されている者から、当該訂正、追加又は削除に係る事項の記載のない戸籍の再製の申出があつたときも、前項本文と同様とする。 第十二条第二項中「第九条」の下に「、第十一条」を加え、「これを」を「ついて」に改める。 附 則 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。 (経過措置) 第二条 この法律による改正後の第十一条の二第一項(第十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前に虚偽の届出等(届出、報告、申請、請求若しくは嘱託、証書若しくは航海日誌の謄本又は裁判をいう。以下同じ。)若しくは錯誤による届出等又は市町村長の過誤による記載がされた戸籍又は除かれた戸籍であって、その記載につき第二十四条第二項、第百十三条、第百十四条又は第百十六条の規定によって訂正がされたものについても、適用する。ただし、当該除かれた戸籍が第百二十八条第一項ただし書の規定による改製によって除かれたもの又は当該改製前に除かれたものであるときは、この限りでない。 2 この法律による改正後の第十一条の二第二項(第十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前に市町村長が記載をするに当たって文字の訂正、追加又は削除をした戸籍又は除かれた戸籍についても、適用する。ただし、当該除かれた戸籍が前項ただし書に規定するものであるときは、この限りでない。 |
| 理 由 虚偽の届出等によって不実の記載がされ、かつ、その記載につき訂正がされた戸籍等について、戸籍における身分関係の登録及び公証の機能をより十全なものとするとともに、不実の記載等の痕跡のない戸籍の再製を求める国民の要請にこたえるため、申出による戸籍の再製の制度を創設する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。 |
| 戸籍法の一部を改正する法律案要綱 第一 申出による再製 一 申出による戸籍の再製 1 不実の記載等及びその訂正がされた戸籍の再製 虚偽の届出等(届出、報告、申請、請求若しくは嘱託、証書若しくは航海日誌の謄本又は裁判をいう。以下同じ。)若しくは錯誤による届出等又は市町村長の過誤によって記載がされ、かつ、その記載につき第二十四条第二項、第百十三条、第百十四条又は第百十六条の規定によって訂正がされた戸籍について、当該戸籍に記載されている者から、当該訂正に係る事項の記載のない戸籍の再製の申出があったときは、法務大臣は、その再製について必要な処分を指示するものとする。ただし、再製によって記載に錯誤又は遺漏がある戸籍となるときは、この限りでないものとする。(第十一条の二第一項関係) 2 文字の訂正、追加又は削除がされた戸籍の再製 市町村長が記載をするに当たって文字の訂正、追加又は削除をした戸籍について、当該戸籍に記載されている者から、当該訂正、追加又は削除に係る事項の記載のない戸籍の再製の申出があったときも、法務大臣は、その再製について必要な処分を指示するものとする。(第十一条の二第二項関係) 二 除かれた戸籍への準用 一は、除かれた戸籍について準用するものとする。(第十二条第二項関係) 第二 施行期日等 一 施行期日 この法律は、公布の日から施行するものとする。(附則第一条関係) 二 経過措置 1 この法律による改正後の第十一条の二第一項(第十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前に虚偽の届出等若しくは錯誤による届出等又は市町村長の過誤による記載がされた戸籍又は除かれた戸籍であって、その記載につき第二十四条第二項、第百十三条、第百十四条又は第百十六条の規定によって訂正がされたものについても、適用するものとする。ただし、当該除かれた戸籍が第百二十八条第一項ただし書の規定による改製によって除かれたもの又は当該改製前に除かれたものであるときは、この限りでないものとする。(附則第二条第一項関係) 2 この法律による改正後の第十一条の二第二項(第十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前に市町村長が記載をするに当たって文字の訂正、追加又は削除をした戸籍又は除かれた戸籍についても、適用するものとする。ただし、当該除かれた戸籍が1のただし書に規定するものであるときは、この限りでないものとする。(附則第二条第二項関係) |
条文新旧対照表(赤字は改正部分−引用者による)
| 改正前 | 改正後 |
| (なし) | 第十一条の二 虚偽の届出等(届出、報告、申請、請求若しくは嘱託、証書若しくは航海日誌の謄本又は裁判をいう。以下この項において同じ。)若しくは錯誤による届出等又は市町村長の過誤によつて記載がされ、かつ、その記載につき第二十四条第二項、第百十三条、第百十四条又は第百十六条の規定によつて訂正がされた戸籍について、当該戸籍に記載されている者から、当該訂正に係る事項の記載のない戸籍の再製の申出があつたときは、法務大臣は、その再製について必要な処分を指示する。ただし、再製によつて記載に錯誤又は遺漏がある戸籍となるときは、この限りでない。 市町村長が記載をするに当たつて文字の訂正、追加又は削除をした戸籍について、当該戸籍に記載されている者から、当該訂正、追加又は削除に係る事項の記載のない戸籍の再製の申出があつたときも、前項本文と同様とする。 |
| 第十二条 一戸籍内の全員をその戸籍から除いたときは、その戸籍は、これを戸籍簿から除いて別につづり、除籍簿として、これを保存する。 ○2 第九条及び前条の規定は、除籍簿及び除かれた戸籍にこれを準用する。 |
第十二条 一戸籍内の全員をその戸籍から除いたときは、その戸籍は、これを戸籍簿から除いて別につづり、除籍簿として、これを保存する。 ○2 第九条、第十一条及び前条の規定は、除籍簿及び除かれた戸籍について準用する。 |
| 浜四津敏子参議院議員(公明党・東京選挙区) 参議院の議員プロフィールページ ホームページ |
| 井上哲士参議院議員(共産党・比例代表) 参議院の議員プロフィールページ ホームページ 活動日誌 2002/12/10(火) @ 今国会最後の質問/デモ激励 法務委員会が10:00から開かれ、今国会最後の質問にたちました。しかも、今日は二回の質問です。(中略) 次に戸籍法改正法案について質問。他人により戸籍が改ざんされた場合に戸籍の再製をできるようにするもので、衆院の法務委員会で全会一致により委員長提案とされたもの。 私は、戸籍を原則非公開にするべきではないか、個人籍に対する見解、性同一性障害により性転換手術をした人の戸籍の変更の問題について質問。戦前の家制度の残滓をなくし、個人を尊重した制度への改革が必要です。 (後略) |